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院長日誌

2012.07.09 学会・セミナー 第10回 ESLO開催さる

昨年の7月25日、会長の Dr.Thomas Drechslerから直々のメールで、2012年6月28日〜7月1日、フランクフルトでヨーロッパ舌側矯正学会大会が開催されるから、Pre-congress courseをやってくれないかというオファーを頂きました。
ESLOは自分の好きな学会なので、いつもどおり、2つ返事でOKと返事をしたものの、大変でした、、準備が。
知らされてから、約1年間準備期間があったわけですが、いつもどおり朝から晩まで毎日診療に追われ、他にも日本矯正歯科学会やら、日本臨床矯正歯科医会での展示発表やら、アメリカの矯正歯科学会の準備やら、3月の Toulouseでの Instructorやら、その他諸々ここには書けないような extra workに毎日追われていましたので、準備する時間がない。
その上、20分、30分の依頼講演ならサラっと片付くのですが、朝から晩まで1日の講演となると、その準備たるや、ほんとうに大変です。
いつものごとく、毎朝5時に起きて仕事を始める生活が数ヶ月、行きの機内でも 寝ないでずっと仕事、プレゼンが完全に完成したのは、フランクフルトのホテルで学会前日の夜ですから、もう大変です。
機内では隣に座っていた社長さんぽいお方から、「歯医者さんですか? 一睡もしないでお仕事されていて、本当に大変ですね。」とお声がけを頂きましたが、本当に大変なんです!
しかも、これだけ大変な思いをしても、報酬は無し、医院を閉めて行きますので、赤字だらけです。
なので、その分正当に評価をして貰って初めて、やった甲斐が出るというものですが、、。


6月27-28日
いつもどおり、何かあってはいけないので、1日早く Frankfortに入りました。
ホテルに着いたのが17時頃、まずは会場を確認に行きます。


これが会場の筈ですが、Flagも Billboardも何もない、、どうなっているんだ??
不安になって会場の写真を Facebookにアップしてみると、すぐに Germainと Thomasから、ここで良いんだとの書き込みがあり、一安心。


会場は確認したので、ホテルに帰って晩御飯。 ソーセージとビールだけで お腹いっぱい、、。
そのあとも、仕事を続けます。

翌28日は朝3時に起きて、準備・準備・準備。 
お昼御飯も食べないで、1日中、準備・準備・準備!
19時半に Thomasが迎えに来るという約束でしたので、ホテルのロビーで待ちますが、1時間経っても来ない!
いい加減頭に来て、部屋に帰って仕事の続きを始めると、Facebookに会場前のレストランで待っているという書き込みが!
なんてこった、そりゃないでしょう、、!
気が向きませんが、しょうがなく レストランまで出向きます。


むくれていてもしょうが無いので、楽しく食事を。
晩飯を食べたあとはホテルに帰り、最終チェック、、OK!!


6月29日
1時間前に会場に到着、プレゼンの準備をします。
最近の学会では、Power pointのデーターを学会側がコピーして、演者はボタンを押すだけなのですが、今回 1日のプレゼンは、じつにスライド枚数1092枚! 動画12本! サウンド15本! 総計3.21GB!
しかも、iTunesに入っているサウンドの再生がうまくいかない事がわかっていましたので、自分の PCでプレゼンをしたいと主張、現地のスタッフの方が特別にファイバーケーブルを張ってくれて、開始時間に遅れることなく、無事講演を開始しました。
ここのスタッフの技術は素晴らしく、過去15年間を振り返っても最高のサポートをしてくれました。
本当に素晴らしかった、、。

私の講演内容の本題は、矯正歯科医に対する警告。
すなわち、世の中、何でも自動化されてきており、矯正歯科学の分野に於いても然りで、レントゲン分析、模型分析だけで無く、診断・治療方針の立案もパソコンが行う。
ブラケットの調製もパソコンが行い、ワイヤーベンディングもベンディングマシンが行う。
矯正医がするのは、パソコンが下した診断した内容に従って治療を進め、パソコンが作った装置を装着し、マシンが曲げたワイヤーをセットするだけ。
どんどん頭を使わなくなって、どんどん馬鹿になってゆく。
時間があれば、やることは携帯ゲームだけ。
私自身、オートマ車に乗りますし、自動化が必ずしもいけないとは言いませんが、医療ってのはそんなもんじゃない、日々勉強と努力の積み重ねだと思うのです。
こういったツールやソフトウエアは、あくまでも補助であり、診断は矯正医自らの知識と経験をもとに、自らが行う。
患者の来院毎の調整に際しても、現状を瞬時に把握し、必要な処置を的確に判断し、最適なワイヤーを選択し、その状況に応じた最高の処置をする。
全て他人任せに治療を進め、計画どおりに治療が進まなくなった場合、誰が問題解決するのか?
パソコンか?
矯正装置か?
Wire bending machineか?
違います。
私たち自身で対応するしかないのです。
つまり、患者さんの治療をするのは、パソコンでもなければ、矯正装置でもなくて、私たち矯正歯科医なのです。
「○○社のPre fabricated wireが一番イイ」、こんな馬鹿なことを言っていてはいけないのです。
この事を一人でも多くの方に再認識して頂きたく、USC Dr. Harry L. Doughertyの 3H, すなわち、“Heart, Head, Hand”や、Dr. Thomas F. Mulliganの名台詞、“Who does your thinking? You or your appliance?” というフレーズを引用し、私たちは常に Thinking Orthodontistでなければならないということを強調しました。
そして、そのためには何をしなければならないのか、舌側矯正に於いては、セットアップの重要性、ブラケットポジショニングの重要性、ワイヤーのベンディング方法等々について、動画を多用して説明、さらに JOBや EBOの症例、オクルソグラムの応用や、右脳活性エクセサイスについても紹介しました。
よく、「あの先生は器用だ、羨ましい」と言う人がいますが、器用だということは、どこをどうしたらよいか、頭で理解しているから手が動くわけで、何もわかっていないのに、手だけが勝手に動くことなどあり得ないのです!


熱心に wire bendingする先生達。 
世界各国から御参加頂き有り難うございました。

講演は 9:00から 16:00までの予定でしたが、終わってからも質問がいっぱいで、結局、会場を後にしたのは 17:00頃でした。
その夜は、学会場隣接の Hotel Jumeirahの4階パティオで Welcome party。
空腹にシャンパンが効きました。


6月30日〜7月1日
翌日から ESLOの通常プログラムが始まりましたが、、、私の Abstractを読んだのでしょう、私が昨日講演した “考える大切さ” を真似して講演、さらには、ラボの手技も Hiro systemと少し材料を変えただけで殆どコピーという講演を聞いた時には、正直、驚きました。
さらに、私が Cannesで世界第一号の World Board of Lingual Orthodonticsを受賞して以来、にわかに有名になった接着方法の講演に際しては、挙手質問すべく準備をしていましたが、残念ながら演者の先生は、肝腎の部分には触れずに講演終了、質問の機を逸しました。
私の言いたいのは、最初から精度が出ないことは明らかなのに、有名希望で紹介して広め、精度が出ないと苦情が来れば、今度はベースを延ばして切縁・隅角にコア引っかけを作り、接着後はその部分をバーでカットする。
これは、私が15年前にやっていたことと同じ、材料と色と形を変えただけで、一体何をやっているのか、ということです。
本当に優れたものなら、私は即刻、Hiro systemはやめてその方法に変えますが、実のところ、とても比較できるレベルではありません。

何を使おうが、どんな方法で治療しようが、それはその先生の自由であり、その先生の選択ですから、Hiro systemを使えなどとは言いませんが、私たち医療人たる者、過去のリサーチをしっかりとして仕事をする、さらに、良いものと良くないものを見分ける選球眼を持つということ、これはとても大切なことです。



Active memberの Case presetationでは、Dr.Fernando de la Igresiaが最高得点を獲得しました。
彼の症例はいずれもHiro systemと Hiro bracketsを使って治療されたものです。



Gala dinnerにて。 
いつもは Gala dinnerは格式高いフルコースですが、今回はビュッフェスタイルでした。
僕は、並ぶのが大嫌いなので、殆ど食べませんでした。



今年の3つの大きな仕事は、この学会をもって終わり、少し気が楽になりましたが、明日からも遊んでいる暇はありません。
年内のアレと、来年のアレとアレ、準備をしなければ、、。
アレの内容については、また院長日誌で報告しますので、お楽しみに。



プロフィール

院長

長野県松本市在住

  • 1960年生まれ

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