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院長日誌

2015.06.17 学会・セミナー 東へ西へ

井上陽水の「二色の独楽」というアルバムに、「東へ西へ」という曲がありますが、、、6月5日の診療が終わってから東京に向かい、土曜日の朝から技工のセミナーに参加、セミナー終了後に新幹線で大阪に向かい、日曜日の朝から近畿東海矯正歯科学会に参加、学会終了後は松本に戻って来て、月曜日は朝からデスクワーク、火曜日は朝から診療、そして水曜日は、また朝から大阪に向かい、日本臨床矯正歯科医会に出席、、、木曜日の夜戻って来て、金曜土曜と診療して、土曜の夜から私用で出掛け、、、行ったり来たり忙しいですが、これらの学会は全て聞く側で、講演準備の必要がないので、気が楽です。

金曜の夜、診療が終わってから、歯科技工士の川端下君と松崎君を連れて上京しました。
宿泊は、会場近くの格安ホテルを取り、晩御飯は3人でホテル近くの「世界の山ちゃん」で一杯やりながら、ラボの事や、自分が今考えていることなどを話しました。
普段は忙しくてあまり話す機会が無いので、こうゆう時間はとても大切です。
何のセミナーを受講しに行ったか、詳細は、またの機会に書きます。


 

お昼御飯、鬼のような かき揚げ丼に挑戦する川端下君


なかなか刺激的なセミナーで、1日が「あっ」と言う間でした。
セミナー修了後、講師の先生に挨拶をし、川端下君と松崎君は あずさで帰路に、自分は新幹線で大阪に向かいました。
7日の日曜日に大阪国際会議場で開催される近畿東海矯正歯科学会に参加するためです。
東京から大阪まで新幹線では「あっ」と言う間で、大阪には20時頃到着、晩御飯は蛸の徹でたこ焼きを食べたあと、会場近くのスーパーホテルに向かいました。



この蛸の徹という店は、お好み焼き屋のようにたこ焼きの鉄板が各席に有り、自分でたこ焼きを焼くのですが、これがまたなんとも美味しくて、やめられないのです。
場所は大阪駅前、丸ビルの地下2階にあります。
自分で焼くたこ焼き以外にも、焼きそばや お好み焼き、とん平焼きなど、メニュー豊富でとても美味しいので、皆さんも大阪に行く機会があれば是非行ってみてください。


たこ焼き、外はカリカリ、中はとろ〜り! おむそばも美味しいです。


矯正の話しに戻しますと、日本矯正歯科学会には地方学会があり、長野県は甲北信越矯正歯科学会に属しているのですが、自分が松本歯科大学の矯正科に入局した当時は、甲北信越はまだ発足しておらず、近東学会に所属していました。
甲北信越が出来た時点で退会しても良かったのですが、近東学会というのはアカデミックな会で、送られてくる学会誌も読みたいので、そのまま会員資格を継続しています。


会場の大阪国際会議場


今回の参加の目的は、USCGlenn T. Sameshima教授の “矯正歯科の歯根吸収 Q&A”という講演で、この先生の講演を聞くために出掛けました。

私達、矯正歯科医は歯に矯正力をかけて歯を移動します。
歯に矯正力がかかると、歯の回りを取り囲む骨の表面に骨を溶かす細胞が出て来て、骨が融けて歯が移動し、その反対側の空いた所には、骨を造る細胞が出てきて、新しい骨が出来、この骨改造が繰り返して起こることで歯が移動してゆくわけです。
骨は、骨折した所のように新しい骨が造られて再生するのですが、歯は基本的に再生しません。
ですので、理想的には骨だけが融けて歯が動いてくれて、歯の根っこは吸収しないで欲しいのですが、実際には歯の根っこも吸収して短くなってしまうことがあります。
これを歯根吸収と言います。
通常の矯正治療では、問題となるほどの歯根吸収は起こらないことが多いですが、稀に根っこの長さが半分くらになってしまうほどの著しい吸収を認めることがあります。
また、レントゲンでは吸収がないように見えても、顕微鏡レベルで考えると微細な根吸収は必ず認められると言って良いと思います。
問題は、その吸収が問題となるレベルのものか、そして予測や予防をする事が出来るのか、ということです。

私はいつも治療前に患者さんに説明する事柄のなかで特に歯根吸収については、
1、歯根吸収は予測することも予防することも出来ないということ
2、程度の差はあるが、歯を動かせば歯根吸収は必ず起こると思っていて欲しい、ということ
3、内分泌疾患や、外傷既往のある歯は吸収しやすいということ
4、インドメタシンや、ある種の薬剤(安定剤など)は歯根吸収を起こす原因となること
5、遺伝的傾向があり、父母兄弟で吸収した人が居る場合は、吸収しやすいということ
6、一度短くなった歯根は、元には戻らないということ
7、歯根吸収が起こっても、隠したりせずに、全て知らせるということ
などを説明していますが、自分の知識をアップデートする必要があると思い、Sameshima 教授の話を聞きに行きました。

教授の講演は、12のQ&Aを含めたもので、ここに書く内容は、自分の普段の臨床経験を加えてありますので、講演内容とは少し違う部分もあると思いますが、患者さんの皆さん、若手の先生方の参考になれば幸いです。

Q1:歯根吸収は本当に問題であるか?
Q2:歯根が極端に短い歯を移動することは可能か?
Q3:根未完成歯を移動することは可能か?
Q4:根管治療を行ってある歯や外傷歯を移動することは可能か?
Q5:歯根吸収のリスクのある患者さんをどうやってマネージすれば良いか?
Q6:インプラントスクリューを用いた矯正治療は歯根吸収が顕著であるか?
Q7:インビザラインなどのアライナーでは歯根吸収は起こらない?
Q8:矯正治療中に歯根吸収が進行しているのを見つけた場合、どうすれば良いか?
Q9:治療終了時に歯根吸収を見つけた場合、どうするか?
Q10:歯根吸収は、レントゲン無しで見つけることが出来るか?
Q11:歯頚部の侵襲的な歯根吸収はどうするか?
Q12:短根歯の長期的な予後は?

講演はまず、矯正治療で歯根吸収を起こした患者が、補綴科の2年目のドクターに「歯根が吸収しているから抜歯してインプラントにしないとダメだ」と言われたために、トラブルになりかけた症例から始まりました。
レントゲンでは、実際には歯根吸収は若干認めるものの、抜歯しなければならないほどの状態ではなく、結局その歯は抜くことなく、今現在も抜歯することなく、ちゃんと機能しています。

この症例で最も問題となるのは、知識の不十分なドクターが患者さんに正しくない情報提供をしたために、患者さんがそれを鵜呑みにした、ということです。
私のところにも、他医でトラブルとなった患者さんが頻繁に来られますが、泣きついてきた患者さんに否定的なコメントをする際には、私見では無く、そのコメントを裏付ける理論的・学術的説明をきちんとしなければならないと考えます。
同時に、そのコメントをするという事は、たいへんな責任がついてまわることを忘れてはなりません。

査読制度のある学会誌の論文などは信頼できますが、学術的背景のない研究会などで聞きかじったような間違った知識をもとに、他医がやったことを批判するなどというのは言語道断です。
一番迷惑するのは、振り回される患者さんであり、前医ですから。

質問に対しての答は、順に列挙します。

A1:まず、歯根吸収が問題となるかどうかは、どの程度吸収しているかで有り、歯の寿命が短くなるのは50%くらいである、とのことでした。これに関しては、論文を読んでみないと正確なコメントは出来ませんが、長期的予後となると当然成人患者となり、歯周病のコントロールでかなり予後は変わってくると思います。

A2:私は、治療前に歯根が短い事がわかっている場合には、短い事を説明し、さらに短くなった場合は、歯の寿命が短くなることがあるということを説明した上で治療を行っていますが、それで正解でした。

A3:根未完成歯については、私は基本的に矯正力をかけることは避け、根完成を待つようにしています。これは、歯根吸収の可能性だけではなく、未完成歯を動かすと、歯根弯曲歯になることが懸念されるからです。講演では、歯根吸収に関しては、さほど心配する必要は無いが、やはり根の形成がストップした症例もあるとの事でした。

A4:根管治療を行ってある歯は矯正できないという先生や、根管治療を行ってある歯は歯根吸収しないという先生がいますが、これらはいずれも間違っており、失活歯でも矯正は可能ですし、失活歯だから歯根吸収しないということはありません。私の認識は正解でした。

A5:自分の認識では、歯を動かせば、歯根吸収は必ず起こる、と考えています。「しない症例もある」と豪語する矯正医も居ますが、レントゲンで短くなっていないから吸収が無いとは言えないわけで、顕微鏡レベルでみれば、骨の吸収と共に必ず吸収窩が歯根にも認められます。ただ、問題となるのは、吸収が問題となるレベルかどうかということです。 私は、歯根吸収が認められた場合や、本来予期していなかった好ましからざる状況が起こった場合には、患者さんには隠すことなく、全て開示し、説明をしています。吸収しやすいような形態の歯や、外傷歯、特にⅡ級症例は、吸収の可能性が高くなるように思われますので、これらを如何にマネージするかは、治療を始める前にその可能性を説明し、同意をえてから治療開始するしか方法はありません。

A6:TAD(インプラントスクリュー)を使うと歯根吸収が著しいかというと、Ⅱ級症例のように歯の移動距離が大きくなれば歯根吸収の可能性は増えますが、同一条件で比較すれば有意な差はないと考えます。これは当たり前の事で、私の認識は正解でした。

A7:インビザラインに関しては、以前にSameshima先生が、インビザラインでは歯根吸収が認められない、と発言したことが有り、それ以来、インビザラインは歯根吸収しない、と言われている、しかしこれは間違った情報で、歯根吸収しないのは歯の移動が少ないからで有り、歯根を移動した症例では歯根吸収が認められた、とのことでした(当然です)。私がひろ矯正歯科のホームページのあちこちに書いているように、インビザラインをはじめとするアライナーで、通常の矯正装置を用いたのと同じ結果が得られるならば、誰もブラケットなど使わなくなります。インビザラインなどのアライナーに属する装置は、動かないから吸収しない、ここでも裏付けられました。

A8:矯正治療中に歯根吸収を見つけた場合、私は、患者さんに説明して一旦、矯正力をかけるのをやめてパッシブな状態で6ヶ月ほど待ち、骨がヒーリングしてから、再度力をかけるか、そこで治療を終了とするかの判断を患者さんにして頂きます。私の行っている事は正解でした。私の私見ですが、このような症例で再度矯正力をかけて、さらに短くなった、という人は非常に少ないです。

A9:治療終了時に歯根吸収を見つけた場合、患者さんに隠す先生が非常に多いと思いますが、私は隠すことなく、治療前と治療後のレントゲンを見せて説明をしています。私の臨床は正解でした。

A10:歯根吸収をレントゲン以外の方法で知るには、超音波画像診断、頬粘膜の擦過標本から分析する方法、歯肉滲出液に含まれるタンパク質を検出する方法(GCF, Dentin proteinがマーカーとなる)、とのことでした。これは知りませんでした。

A11:歯頚部の侵襲的吸収を認める症例、これはかなりキビシく、吸収を止めることは出来ないと認識しています。つまり、吸収が進行し、その歯は近い将来、脱落に至るということです。ただし私の経験上、この類の吸収は、外傷既往によるもので、矯正力をかけたことが原因では、普通は起こりません。

A12:短根歯の長期的予後は、60代、70代まで観察していないので確かな事は言えないですが、1に述べたように歯の寿命が短くなるのは50%、歯根が短いから歯の寿命が短くなるとは必ずしも言えないとのことでした。私はいつも歯根の長さについて説明する際に、地面に刺さった杭の話しをします。長ければ長いほど抜けにくく丈夫であり、短くなれば長いのに比べれば不利かも知れない。しかしながら、長い杭でも周りの地べたがぬかるんでグラグラになれば抜ける(歯周病)、歯周病のドクターには、歯根吸収を問題だと考えている先生が多いけれども、私の意見は、歯磨きも十分に出来ないような凸凹の歯並びや、無理な力がかかるような歯並びのままいくら歯周病予防をしようと思っても無駄である、ということです。歯根吸収のリスクがあっても、歯科医師として、予防の出来る歯並びにしてあげることのほうが大切である、ということです。

まとめますと、歯根吸収が起こりやすい要因としては、

1、遺伝的要素、つまり患者さんの親や兄弟が吸収した場合、その患者さんも吸収すると思って良い。
2、歯の移動距離が大きくなる、治療期間の延長、これらは歯根吸収の要因の一つとなる。
3、成長期の患者に比べて成人患者は歯根吸収の要因の一つとなる。
4、気管支喘息は歯根吸収の要因の一つとなる(これは知らなかったです)。
いずれも普段私が患者さんに行っている事、説明している事は一つも間違っていませんでした。

本学会で最も印象深かったのは、学会の開会の挨拶で、大阪府歯科医師会の会長である太田謙司先生が、「矯正歯科に関するトラブルが多い、原因は数回セミナーを受講しただけで安易に矯正治療に取りかかる歯科医師がいる」、と仰ったことで、矯正専門医では無い一般歯科医の先生からこのコメントが出るとは思いもしませんでした。

先日、私が「不適切な矯正治療」の記事をアップしてから、不愉快に思っておられる一般歯科の先生が多いだろうと察します。
私は、一般歯科の先生達は矯正をしてはいけない、などとは書いていません。
やる以上は、しっかりと勉強をして、患者さんに迷惑がかからないようにして貰いたい、ということです。

先日も、一般歯科で8年以上、毎週治療に通い続けたが、治らないから転医を決めたという患者さんが来られました。
その先生のことはよく知っていますが、いつも「歯医者辞めた方が良いんじゃない?」と思います。

矯正が出来ないというと、自分が歯科医師として失格であるように勘違いしたり、舌側矯正をやらなければ矯正医として半人前であるように勘違いをしている先生が多いですが、私達医療人は、自分には治療出来ない、あるいは、自分が手を付けるべきでは無いと判断した場合は、然るべき医療機関に紹介する、これが大原則の筈です。

このあたりは、お医者さんはキチッとされているが、歯医者の先生は「出来ない」と言わないで「治療が必要無い」と言う先生が非常に多いように思います。
例えば、開業医の内科の先生の所に来た患者がガンで、その先生に治療が出来ないとなれば、躊躇せずに対応出来る病院に紹介します。
ところが歯医者の場合、例えば、埋伏智歯が抜歯できない場合、口腔外科に紹介するのでは無く、こんなものは抜かなくても良い、と言う、こうゆう事例です。

舌側矯正に関して言うと、incognitoなどの装置を使えば簡単に舌側矯正が出来ると勘違いしている先生がいますが、舌側矯正は診断から違いますので、装置がなんとかしてくれるだろうと、十分な知識も無いまま治療に取りかかるのは、大怪我の元、迷惑するのは患者さんです。

絶対に忘れてはならないのは、歯科医師が生計を立てるために患者さんが居るのでは無く、私達が患者さんに治療を行った報酬、診療対価としてお金をいただいているのだということです。
医院経営、収入アップの事しか考えない歯科医師がなんと多いことでしょうか。

そして、患者さんの皆さんは、矯正も「歯」だから、歯医者に行けば何処の歯医者でも同じように診てくれるだろう、という間違った認識を改めるべきです。
歯科で標榜の認められているのは、矯正歯科、小児歯科、口腔外科です。
すなはち、これらは専門の知識とトレーニングを必要とするということを国が認識しているということです。
足の骨を骨折して、眼科に行く人は居ないと思います。
眼科医が骨折を治療しても医師法違反にはなりません。
でも、眼科医は骨折の治療をしませんし、患者も眼科で骨折を治して貰おうとは考えません。
一般歯科で矯正治療を受け、何年も通ったあと、大変な事になっていると気付いて矯正専門医に駆け込む、こいうった事例が毎年あとを絶たないということは事実です。


学会では、上記の他、Dr.Dan Grauerの “The secret behind your smile: Vertical considerations”という特別講演、会員の学術講演5題、学術展示28題、症例展示24題の発表がありましたが、Dr.Dan Grauerの講演は、電車の時間の関係で聴けなかったのが残念です。


10, 11日は、日本臨床矯正歯科医会例会がメルパルク大阪で開催されました。
日臨矯には入会して9年になりますが、毎年海外の学会と重なるために、今まで2,3度しか出ていません。
今回は時間調整がつきましたので、参加しました。
承継に関する演題など、聞きたい演題もいくつかあったのですが、いろいろと思う所がある例会でした。



2015.04.03 プライベート はやいもので

はやいもので、ついこの間 忘年会をしたところだと思っていたら、もう4月、卒業式はとっくに終わり、入学の季節となりました。

時の経つのはじつにはやいもので、自分が松本歯科大学に入学したのは、36年も前になります。
今まで自分の過去やプライベートについては、院長日誌では触れてきませんでしたが、少しだけ記しておきたいと思います。

じつは、自分は高校3年生の夏休みまで、弁護士志望で文系を取っていました。
ところが、高校3年の夏休みに突然心変わりし、歯学の道に進むことを決意しました。
「決意した」というのは、まあ身勝手な話で、当時の自分は歯学部の学費がいくらかかるのか、仕送りがいくらかかるのか、親の収入がどれほどあるのか等々、考えもしないで、親に前もって相談もしないで、いきなり「僕も歯医者になる!」と言いました。
当時の親の収入を考えると、兄の学費だけでも大変だったことは明らかですから、自分の言葉にさぞ驚き、困ったことだと思いますが、親は何も言わずに二つ返事でOKしてくれました。

高3夏の理転に加え、もともと脳ミソは普通の人の半分くらいしか働いていませんから、国公立などとても無理で、受けたのは実家から通学できる愛知学院大学と、松本歯科大学の2つのみでした。

そして、愛知学院の受験当日。
近鉄急行で名古屋駅に、名古屋駅バスターミナルから市バスで日進町の試験場に向かったのですが、、、市バスに乗るのは初めてだったので、乗り間違えて、バスは全然違う方向に、、。
なんとか試験場に辿り着いたときには、すでに英語の試験が半分ほど終わっていました。
結果は言うまでもなく、自分を受け入れてくれたのは、松本歯科大学のみとなりました。

松歯大は昨今の国試合格率の低さから、雑誌やネットで叩かれていますので、母校を恥じて松歯大出身である事を隠すOBもいますし、国公立大学出身の先生達からは松歯大出身である事を馬鹿にされることも多いですが、自分は、松歯大の卒業生であることを別に隠す必要も無いし、恥じてもいません。
なぜなら、松歯大がなければ、今の自分は無いわけですし、Book smartな先生が何と言ったところで、矯正治療に関して言えば、どんな先生達よりも自分の方が遥かにキチッと治しているし、EBOJOBを舌側矯正で受かった人間は、誰一人としていないからです。
ちなみに、松歯大の国試合格率は、開学後3年ほどは、日本唯一の足切り無しの100%を達成し、日本中を驚かせました。
8期生である自分たちの頃は確か97%程であったように記憶しています。

まあ、こんな数字や出身校などはどうでも良く、歯科医師免許を下附されてからどうゆう歯科医師になるかという事のほうが大切なわけで、保険でカバーしている筈の治療を300万、400万と法外な治療代を取っている金の猛者や、保険だからこれでイイと、なんともお粗末なレジン充填(ハナクソ充填)を平気でやっている歯科医もいます。
自分は間違ってもこんな歯科医師にはなりませんし、なれません。
診療ユニットに座っているのが患者さんである以上、自分に出来る限りの最高の治療をする、それしか考えていません。


大学入学後は芝茶屋の学生寮に入り、松本歯科大学自慢の素晴らしい自然環境と充実した施設でキャンパスライフが始まりました。
1,2年生の教養課程は、ドイツ語やラテン語に苦しめられ、2年の後期試験は なんと27教科(!)で、毎日毎日、何日も何日も試験でした。
解剖学で、筋、血管、神経の起始・停止・作用が覚えられず、病理学では毎回切片標本の細胞と格闘しましたが、なんとか乗り切りました(今思うと、丸暗記するのでは無く、理解すれば簡単に覚えられるのですが)。

3年になって専門課程が始まり、マネキン模型の歯を削ったり、歯型を採ったりという実習が始まると、毎日が楽しくてしょうがなかったのを思い出します。
楽しいことはスラスラと頭に入り、幸にも追再試験とは殆ど縁がありませんでしたので、追再試験期間中にふらっと帰省してみたら、親が驚くような晩御飯を食べていました(親の名誉のために詳しくは書きませんが)。
いつも定期休暇で帰省すると、ステーキ、すき焼き、お刺身などなど、御馳走を毎日腹一杯食べさせてくれて、それが当たり前だと思っていましたので、親の食べている御飯を見て、驚きのあまり「なにを喰ってんのや」と言うと、「今日は忙しかったもんで、晩飯を作る時間が無かったんや」とのこと。
その言葉を疑いもしませんでしたが、今思えば、自分たちの学費や仕送りで、本当にキツかったんだろうな、たいへんな苦労をかけていたんだなあ、と、つくづく思います。

歯医者というと、親が医者歯医者で、子供が幼い頃から月給を支給して(これは税法上認められていません)、子供が開業する頃には、何千万、何億円という貯金があって、借金などしなくても自己資金のみで開業できる、場合によっては、土地付き、診療所付き、スタッフ付き、患者付き、借金無し、という恵まれた状況でスタートする先生も数多くいます。
そうゆう人達を妬む気持ちは全くありませんが、自分が歯医者をして居る限り絶対に忘れられないのは、自分の飯を食わないで子供に食べさせてくれた親への感謝の気持ち、そして自分や兄の前で、苦しいとか、金が無いとか言ったことは1回も無く、まさに歯を食いしばって頑張ってくれた、そんな親を自分は絶対に粗末には出来ない、ということです。

ですから、親に対する一番の恩返しは、少しでも立派な歯科医になること、歯科医として成功すること(お金じゃありません)であると考えていますので、矯正歯科に関しては誰にも負けない、長野県と言えば ひろ矯正歯科、日本にヒロあり、と言われるよう、全力で走り続けます。

医者や歯医者は楽で高収入と思っている人が殆どだと思いますが、お医者さんの中には、こんなブログを書く人もおり(このブログはマズイと思います)、一般の人には想像もつかないような精神的・肉体的疲労と闘いながら私達医療人は生きているのですが、私はどんなに辛くても、どんなに苦しくても、辛いとか、辞めたいとか、愚痴や弱音を吐けません。
口が裂けても「オレは歯医者なんか なりたくなかったんだ」などと、親を崖から突き落とすような事は言えません(自分はそんなこと思ってもいませんが)。

「親」という字は、立、木、見という漢字から成ります。
我が子の帰りを心配して、立木に登って遠くを見る、という意味だそうです。
あと少しで、母の83回目の誕生日になります。
幸にも親が近くに居てくれるおかげで何時でも顔を見れますし、食事なども頻繁に誘うことが出来ます。
「親孝行 したい時には 親はなし」、死んでから「アレをしてやりたかった、コレもしてやりたかった」と泣いて後悔しても遅いです(縁起でも無いこと書くなと親に叱られそうですが)。
両親共にいつまでも元気で居て欲しいと思います。



昨年の忘年会は、松本の割烹 仙岳で行いました。
いつも忘年会の際に、私から「1年間のシメのお言葉」を言わせて頂きますが、昨年は「反省と後悔の違いは何か」ということについて、自分なりの考えをお話しさせて頂きました。
ネットや辞典で調べると、反省は次に繋がるが後悔は繋がらない、といったことが書かれていますが、自分の考え方は少し違います。
さて、何でしょう、、。
皆さんも御自身で考えてみて下さい。


おしまいに、忘年会の写真を少し、、。




ビンゴ大会の豪華景品!!


アルマーニのバッグをゲットした川端下君、嬉しくて泣いちゃいました、、。


仙岳のマスターと
久々に使わせて頂きましたが、やっぱ仙岳はイイですね。
今年の年末もお願いします。



忙しくても、不平不満を一切言わず、一生懸命働いてくれるスタッフ達。
自分の最高の宝物です。
ほんとうに有り難う。
これからも宜しくお願いします。


2014.12.05 学会・セミナー 伊賀 & 日本舌側矯正学会

11月の23、24日の連休、日本舌側矯正学会が名古屋のウインクあいちで開催され、本学会の会長の佐奈先生から特別講演を依頼されましたので、発表させて頂きました。

じつは、22,23日は私用で出掛ける予定が入っておりましたので、JLOAは参加しない予定だったのですが、会長から直々にお電話を頂いたとなると峻拒するわけにもいかず、24日でも良ければ受けさせて頂きます、とお返事させて頂きました。

私用というのは、まあ、趣味で三重に出向いていたのですが、趣味の空き時間に 幼少の頃から高校卒業するまでを過ごした三重県四日市〜鈴鹿あたりを散策してみました。
四日市市内は道路が広く拡張され、小学校の頃に自転車で遊んだ浜田小学校〜港中学校あたりは、当時の面影は無く、ガラリと変わっていましたが、JR四日市駅周辺と、千代崎、鼓ヶ浦の海岸、このへんは40年前と変わらぬままでした。
JR四日市駅、懐かしいな、、いつまでも変わらないでいて欲しいです。

23日は午前中で用が済み、午後から空き時間となりましたので、そのまま名古屋に向かえば JLOA午後のプログラムと懇親会に間に合ったのですが、何故かハンドルは逆方向に、、、プチドライブで「伊賀」に行って来ました。

何をしに行ったか、、、伊賀と云えば、伊賀忍法で知られていますが、目的は忍者ではなく、「ぎゅ〜」です。
牛肉と言えば、松阪牛が有名ですが、松阪牛のルーツは「伊賀牛」だということを御存知でしょうか。

以前、グルメ番組で伊賀牛のぶ厚いステーキ肉をフォークとナイフじゃなくて、割り箸で切るシーンを見ました。

 
こんな ぶ厚いお肉を割り箸で切っていました。

番組は一瞬チラッと見ただけだったので、何というお店かわからないのですが、まあ小さな町だし、行けばなんとかなるだろうと、何の下調べも無く向かいました。
番組では、白石神社の近くだと言っていたような、言っていなかったような、、。

でも、向かってみると、白石神社というのは、かなり人気のないところにあり、とても食事出来るところがあるような感じでは無く、Uターン。
結局、伊賀上野の市内に戻って、街中をグルグルと1時間ほど散策。
スマホで「伊賀牛」をサーチすると、美味しそうなお店がいくつかヒットしたので行ってみましたが、3連休の真ん中の日の お昼時だからでしょうか、何処のお店も長蛇の列で、断念。

結局、テレビで見たお店はわからずじまいで、 「ぎゅ〜」は またの機会に置いといて、名古屋に向かいました。

テレビで見たのは、和風の高級料亭では無く、黒っぽいカウンターの、どちらかというと入りやすそうな感じのお店でしたので、もしもお心当たりのある方がいらっしゃいましたら、御連絡頂けましたら嬉しいです。


幻の 白石神社あみ焼き牛ランチ

その夜は名古屋市内のホテルに泊まり、翌日の講演の準備です。


翌朝は、いつもより少しゆっくり寝て、JLOAの会場に向かいます。
講演は30分、内容は先日のインドの学会で紹介をした Mienai Lingual Bracketと、それにつづいて World Board of  Lingual  Orthodonticsについての私なりの意見を述べさせて頂きました。
もともとは、WBLOについては触れる予定はなかったのですが、Pre-Congress courseで布川・松野両先生が、「最難関な WBLO(World Board of Lingual Orthodontists)試験に合格するための方法」、という題目でコースをされていること、そして、先日のESLO の Active memberの申請には、リンガルで治療したのではない症例を提出している日本人の Candidateがいたこと、そして JLOAが Active memberという呼称を「リンガル認定医」と変えたこと等々について、私なりの意見を述べさせて頂きました。

私はこういった認定試験の審査は、Anonymousであることが絶対条件であると思います。
いろん学会の試験が匿名を詠っていますが、本当に100% 匿名の試験、つまり、試験官が審査している症例は、誰が治療したものであるか全くわからない、同時に、どの症例をどの試験官が評価したのかわからないという100%匿名の試験は、私が知る限りありません。

私が受験した頃のEBOはこの辺はかなりシビアに行われていたようですが、最近は Examiners や Candidatesに いろんな人が入り込んできて、状況が少し変わりつつあると聞いておりますし、殆どの試験において試験官は自分の審査している症例が誰によって治療されたのか等を知っており、私的感情や政治的影響力が少なからず関与していることが多いようです。
その点、日矯の専門医試験は、過去に某大学の教授が不合格になっている事などを鑑みると、かなり公平な形で判定されていると思いますが、症例の難易度が定められていないことなど、改善されなければならない点もいくつかあると思います。
どの学会も行っていない、完全に匿名で、万人に公平な試験にする決定的なアイデアはありますが、ここで記すつもりはありません、スミマセン。

それから、日本舌側矯正学会が「Active member」という呼称を「舌側矯正認定医」と改変したことは、私は賛同できないということも述べさせて頂きました。
なぜなら、舌側矯正は、普通の外側の矯正に比べて遥かに高度な技術を必要とし、診断能力、治療に関する知識も通常の矯正のものに加えて、数段ハイレベルなものを必要とするわけですから、外側の矯正治療でOKである「日矯学会の認定医」を持っていない者が、「日本舌側矯正学会認定医」を持っているという事は、おかしいと思いませんか?
逆上がりの出来ない人間が、いきなりムーンサルトをやったら、大怪我するのは間違い無いからです。
ハーレーに乗りたければ、まず、自転車を乗れるようになる、これが当たり前だと私は思います。
ですので、こういった認定試験は匿名条件であるだけでなく、受験資資格も厳しく絞り込まないといけないと思います。

さらに、日矯認定医に合格しないから、海外の試験にトライする、これはまあ基本的には自由ではあるのでしょうが、Applyする人間のモラルの問題で、そういった事は遠慮するのが良識ある歯科医ではないかな、と私は思います。
先方の先生達にとって失礼であり、非常識です。

WBLOに関しては、2010年に「もっと煮詰めてからスタートすべきである」という、いろんな先生の意見を尻目に、見切り発車的にスタートしてしまった事で、日本や韓国の先生達が、まさに世界の頂点に立てる機会を永遠に逸してしまった、その事が私は残念で仕方がありません。
私は、WBLOは Orthodontic Boardの最高峰であるべきだと考えていました。
それを実現するには、WBLOを持っている人間が、「自分らはトップだ」と言ったところで笑われるだけなので、きちんと整備して、誰が見ても「こいつらはクレイジーだ、こいつらはNo.1だ」と言われるような WBLOにしなければならないと 私は考えていました。
ところが、私が何か意見すればするほど、ヒロはウザイと罪人扱いされ、挙げ句の果て、JLOA理事会に出向いたら、「廣先生来ているけど、入れていいのか」とまで言われ、何処に行っても四面楚歌、おしまいには「ヒロは除名しなきゃダメだ」とまで言われましたが、私は自分の私利私欲で言っていたのではありません。
矯正歯科という医学の基本を遵守し、何処に出しても恥ずかしくない素晴らしい治療を舌側矯正でキチンと行っている先生がいるのだという事実、そういった臨床家の先生達に世界の矯正歯科界のトップに立って欲しかった、誰にも文句の付けようが無い Boardを作って欲しかった、それだけなんですが、、、今となってはどうしようも無いです。

まあ、人生一度しか無いですし、時間も限られているわけですから、今後は自分の必要な学会だけを選んで会員資格を継続し、そうで無い学会は退会してゆこうかな、と考えております。
認定関係については、自分は European Boardを全て舌側矯正で出して合格しているわけですから、この先は、日矯の専門医と EBOだけでOKかな、と思う今日この頃です。




発表のあと、早々に会場を後にし、からめ亭で あんかけスパを食べて帰りました。


あんかけスパはいろいろありますが、私はここのナポリが一番好きです。


最後に、これは心からのお願いです。
自分はいろんな認定試験の Examinerも、関わるつもりはありませんし、関わりたくありませんので、絶対に自分を引き込まないでください。

年内の学会発表は、このJLOAで終わりですが、すでに来年の学会の準備に追われています。
忙しい、忙しい、、。


2014.12.09 追記;
このたび、JLOAを退会したい旨を連絡しましたところ、本日、会長から退会届け受理の旨のメールを頂きました。
今後は、出るとすれば、会員外の一般で参加させて頂きます。
したがいまして、JLOAの「舌側矯正認定医」も、私はありません。

プロフィール

院長

長野県松本市在住

  • 1960年生まれ

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