今年の3月、New Yorkで世界舌側矯正歯科学会が開催されましたが、学会から帰国するとすぐに1通のメールが届きました。
スペイン・バルセロナの University International of Catalunya の教授であり、バルセロナ市街の激戦区で開業している矯正専門医である Dr. Fernando de la Iglesia からです。
「NYでDr.Hiroの講演にたいへん感銘を受けたので、是非オフィスを見学させて欲しい」と、写真付き履歴書を添付で送ってくれました。
先日来たDavid Manzaneraもスペインから、Fernandoもスペインからです。
Fernandoに「日本には学会か何かで来るのか?」と聞くと、「No」とのこと。
「他の先生のオフィスを見学するついでに来るのか?」と聞くと、「日本には、Dr.Hiroのオフィスを見学するためだけに行く、ひろ矯正歯科に行くためだけにスペインから日本に行く」とのこと。
僕に何か出来ることがあればと思い、歓迎しました。
そうしたら、3月の時点でもうすでに10月の飛行機を予約したというので、近年稀に見る行動派です。
10月25日、昼11:25分に松本駅に着くというので、ホテルに迎えに行きます。
今日は月曜日なので、僕はお休みなのです。
車を駅近くの駐車場に入れ、ホテルに向かって歩いていると、駅から東急インに向かって旅行カバンを引きずる3人連れの外人がいます。
あれがFernandoだなと思いつつ、交差点で御対面。
やはりそうでした。
Ferandoと、奥さんと、技工士のGloriaさんです。
折角来るなら、技工士を連れておいでよ、それから自分のケースを持っておいでよ、ラボを教えてやるから、と伝えたんです。
ムチョ・グスト(はじめまして)、コモエスタ・ウステ(こんにちは、ごきげんいかが)と、挨拶をすませ、駅前の東急インに案内します。
駅に近い方が何かと便利なので、僕が会員価格で予約しておきました。
お昼前ですが、チェックインが可能で、部屋に荷物を置いて出掛けます。
お昼ご飯は伊勢町の「バリゾート」で「ナシゴレン」を食べ、その後、松本城を案内します。
今晩はしゃぶしゃぶだよ、と話すと、じゃあここは僕が払っておくよと、Fernandoが払ってくれました。
ごちそうさまでした。それにしても、暑かったな、この日は。寒いから上着を忘れるな、と言ってあったので、全然寒くないじゃないか、と、フード付のダウンジャケットをたたんでいました。
松本城の説明を聞く。オジサンはボランティアの英語のガイドの方です。
松本城観光は気に入って貰えたかな、、、?
その後、四柱神社、縄手通り、仲町と松本の典型的な通りを案内し、僕は一旦家に帰ります。
アスタルエゴ(また後ほど)!
晩ご飯は定番、割烹仙岳のしゃぶしゃぶです。
寿司と天麩羅は食べた事があるが、しゃぶしゃぶは初めてだというので、食べ方を説明します。
お肉をお湯につける時は「しゃ~ぶしゃぶ、しゃ~ぶしゃぶ」と言わなければならないのだと説明すると、彼らみんなは真面目に「シャ~ブシャブ、シャ~ブシャブッ」と言いながらお肉をしゃぶしゃぶしています。
えへへ、、。
「しゃ~ぶしゃぶ、しゃ~ぶしゃぶ、、。」
食事をしながらいろいろと話を聞きます。
彼はバルセロナで矯正専門開業していますが、彼のオフィスの半径100m以内には8軒(!)の矯正専門医があるとのこと。
バルセロナ市内には何軒の矯正歯科専門医がいるのかと尋ねると、星の数ほどで、数え切れないという。
バルセロナの人口は157万人、塩尻市の人口は6万人。
僕は都会が大嫌いです。
息が詰まります。
僕にとっては、自分のリラックス出来る環境で生活し、毎日新鮮な空気を吸って気持ちよく仕事をするのが、良い治療をする最低条件です。
僕は長野県の豊かな自然を愛し、長野県の人を愛し、自分の医院とスタッフを愛しています。
約3時間、食事をしながらお話をしてお別れです。
Fernandoからは、高級ワイン4本と、たくさんの生ハムと、たくさんの本と、おまけに子供達のお土産まで頂きました。
さぞ、重かったでしょう、、ムチョスグラッシャス。
翌日、お昼過ぎにFernandoと歯科技工士のGloriaさんが医院に来ました。
医院の中をひととおり案内し、午後から通常どおり診療です。
初診、診断、Brace on(矯正装置を装着すること)、Brace off(矯正装置を外す事)、抜歯、いろんな処置を滞りなく的確に処置をするのを見て、いささか面食らったようです。
彼は火、水、木と3日間見学してゆきましたが、マメにメモを取り、いろんな事を質問してきます。 非常に勤勉です。
ひろ矯正歯科では、普通の矯正専門医と違う部分がたくさんありますので、質問が多いのは当たり前です。
Q1:なぜ、バンドを巻かないで全ての装置を接着で治療するのか?
Ans:
1,チェアータイムの短縮
2,患者さんの不快感の軽減
3,歯肉炎の減少
4,バンドを巻くとギラギラ光って審美的に良くない
5,バンドを巻くと装置撤去後にバンドスペースが残り、食片圧入の原因となる
6,バンドを巻くと装置撤去後にバンドスペースが残って歯が移動し、咬合関係が狂う
7,バンドを巻くと、装置の位置づけが正確でなくなるので、きちんと治らない
などの理由から、ひろ矯正歯科ではバンドを使わないんだと説明します。
バルセロナではバンドを巻かないなんて不可能だ、みんな装置を壊してしまう、というので、それは日本でも同じだ、患者さんに必要性を説明して、患者さんに理解してもらって、食べ方の指導などをきちんとすれば大丈夫だよ、と話します。
真剣な顔つきで見学するFernando
Q2:エッチングの不要な接着剤について、メーカー名とそれを使っている理由は?
Ans:メーカーは松風、使用している理由は、
1,エッチングをしないことで虫歯の発生をかなり抑える事が出来る
2,さらに、フッ素徐放性であるので、虫歯になりにくい
3,チェアータイムが大幅に短縮された
4,ブラケットの脱離による急患が極端に減少した
5,除去が容易である
などなど、、。
Q3:スペースクロージングのメカニクスは?
Ans:ひろ矯正歯科では、患者さんに少しでも快適に治療を受けて頂くために、ループは使わないで、全てスライディングで行っている。外側には一切装置を付けない。パワーチェーンを外側にまわす先生もいるが、ひろ矯正歯科ではそんな不細工な治療はしない、と説明。
じゃあ、エラスティックはどうやってかけるのか、というので、内側から内側にかける、と話すと、他の先生と同じく、そんな事は出来ないだろう、という顔。
ちょうどゴムを使う患者さんがいたので、ゴムをかけてみてください、というと、その患者さんは一瞬にして裏側どうしでゴムをかけるので、Fernandoは目が点になっていました。
ひろ矯正歯科は治療のレベルも高いが、患者さんのレベルも高いんですよ。
EBOのファイルを見るFernando
ほかにも、たくさんたくさんの質問がありました。
二階では、世界に誇るひろ矯正歯科の技工士が Gloriaに最新の技工手順を指導します。
こうゆうときに日頃の英語レッスンが役に立つ!
その間、奥さんは何をしているのか、、、じつは、うちの家内が料理教室に連れて行っています。
翌日は茶道にと、日本文化を紹介します。
裏千家奥平先生、お忙しいのに、本当にありがとうございました m(_ _ )m。
夜は、焼き鳥大吉にて。大切な日本文化、ドジョウすくいを披露します。
爆笑でした。あっはっは~、楽しい。
医院見学を受け入れるのに1日当たり10万円以上のお金を取る先生がいます。
ひろ矯正歯科では、No Chargeです。
なぜタダでそこまで見せて、ラボまで教えて、食事まで連れて行って、と、不思議に思うかも知れませんが、僕はただ、彼らにリンガルのスペシャリストになって欲しい、名ばかり有名で治療が全く出来ないくせに偉そうにしている人たちを見返せるようなドクターになって欲しい、ただそれだけが願いです。
Fernando, you must be the NO.1 Lingual Orthodontist in Spain!!
3日間、アッと言う間に過ぎました。
最後の日、11月3日は軽井沢を案内し、軽井沢から新幹線で東京へ向かいます。
毎日、朝から晩ご飯まで一緒にいたので、家族のようです。
別れ惜しいです。
軽井沢鬼押し出しにて。 またおいでね(^ε^)-☆。
Kさんは4年半、ひろ矯正歯科に勤務されました。
矯正の経験がないため、勤務開始当初はわからない事が多く大変だったと思いますが、文句を一言も言わず一生懸命努力されて、1年後には殆ど何でも安心して頼めるレベルに達しました。
「最近の子はすぐに辞めて行く」、「ちょっと注意すると、明くる朝に保険証と鍵を置いて勝手に辞めて行く」と、他の先生も、労務事務所の先生も口を揃えて言います。
ひろ矯正歯科にも同様の人がいて困る事がありますが、Kさんは目出度い寿退社、おめでとうございます。
長期間頑張ってくれて、きちんとした辞め方をしてゆかれる方に対しては、感謝の気持ちを込めて宴を設ける事は最低限の礼儀であると私は考えますので、長野県の誇り、仏蘭西料理の代名詞であるレストラン鯛萬で送別会を行いました。(そのへんの居酒屋で三本締めで行うのはナンセンスでしょう!)
Kさんは、患者さんのブラッシング指導、診療に必要な全ての処置(全て法律で許された範囲での業務です)、在庫管理、リーフレット等の製作、歯科衛生士学校の学生さんの指導、受付業務等々やってくださり、本当にお疲れ様でした。
Kさんは特にリガチャー、エッチング、口腔内写真が上手かったですね。
しっかりと確実なリガチャーに、過不足無くちょうど良いエッチング、上手い写真、本当に助かりました。(現在ひろ矯正歯科では、患者さんの歯を守るためにエッチング不要のボンディング材を使用しています)
Kさんのような優秀な歯科衛生士が結婚を機に職から離れてしまうのは非常に残念なことです。将来、手が離れたらまた歯科衛生士として復帰される事を希望します。
末永くお幸せに。
K先生とKさん よろしく、そして、ありがとう。
モザイクは、K先生の同意が得られませんでしたので かけてあります。
10月から勤務開始のK先生は大学卒業後、大学院に進まれ博士を取得されました。
ひろ矯正歯科を開業して以来、私はずっと一人で診療し、学会発表をし、論文投稿などをしてきました。
病気や怪我などで患者さんに迷惑がかからないように、常に健康管理に気を遣い、12年間ずっと気を張りつめて頑張って来ましたが、私とて所詮は人間、いつか具合が悪くなったり、事故に遭う可能性もゼロではありませんので、万が一の際に患者さんに迷惑がかからないようにと、アソシエイトの先生を捜していました。
今まで何人か応募がありましたが、なかなか条件に合う先生が見つからなかったため、一人でやってきました。
K先生は育った環境が違いますので、慣れるのに暫く時間がかかると思いますが、よろしくお願いいたします。
プライバシー保護のためにピクセルを落としてあります。
3月19-22日、毎年恒例の院内旅行でGUAMに行ってきました。
いつも過酷な仕事にも、誰一人文句も言わず、一生懸命、精一杯患者さんのために尽くしてくれているスタッフの皆さんに、少しばかり息抜きをして貰うために、毎年GUAMに出掛けています。
学会でも仕事でもなく、4日間100%息抜きのための旅行です。
おつかれ~~!!
以前は、僕がアメリカ矯正学会に行く時に、スタッフも一緒に連れて行っていました。
当時、どうしてもスタッフがついてきてくれず、考えに考えた挙げ句、僕がつたない英語で一生懸命海外の学会で発表して、こんなにも一生懸命頑張っているんだということスタッフのみんなに見て貰えば、少しは僕の事を理解してくれるかと思ったからです。
ところが、、、事実はそんなに甘くはありませんでした。
シカゴのAAOの時に、学会が終わった後、有給を取りたいという申し出があり、聞いてみたら全員1週間休みたいとの事。
要するにAAOが終わった後、みんなはそのままアメリカを観光したいので、休みたいというのです。
「学会で1週間診療所を閉めたあと、みんなはアメリカで遊びたいから、僕一人で帰ってきて、診療も受付も洗い物も電話も会計も、全て僕一人でやれってことね?」と、みんなに言ってみても、誰も返答なし。
その非常識な発想自体、驚きましたが、一番信じられなかったのは、その時、誰一人として反対者がいなかったという事です。
常識で考えて、そうゆう事を考える事自体が驚きです。
San DiegoのAAOの時には、ホテルの部屋に外人を引っ張り込んだり、他の医院の先生とトラブルを起こしたり等々の事件がありました。
高いお金を払って学会に連れて行っても、全くの無駄、僕の事を理解してくれるどころか、旅行気分で行って、僕の講演活動の妨げになるばかりか、院内がメチャクチャになるとわかりましたので、以来、学会に連れて行くのはやめました。
ちなみに、現在のスタッフには、そんな人はいません。
「海外旅行なんて、贅沢な!」と思われるかも知れませんが、私たちの仕事は本当にハードで、精神的にもキツイのです。
院長の僕がそう感じるということは、スタッフのみんなはもっとストレスを感じている筈です。
日頃、文句も言わず、一生懸命やってくれているみんなに、青い空と透明の海で息抜きをすることが必要ですので、皆様御理解ください。
ああ、グアムの香りがします。
みんな、おつかれさま~。かんぱ~イ。
「先生、写真撮りますよ!!」 「ン?」