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院長日誌

学会・セミナー

  • 第66回 日本矯正歯科学会大会に参加

    9月19-21日、第回日本矯正歯科学会が大阪国際会議場にて開催されました。
    昨年の札幌大会では、European Board of Orthodontistsに関する学術展示を行い、また、専門医試験の合格症例の展示をしたりと、とても忙しかったですが、今年は聞き手に徹しました。
     

    会場のグランキューブ大阪
     
     
    何年か前は、スタッフの意識改革と矯正歯科の知識習得を目的として、国内外の学会に必ずスタッフも全員参加で臨んでいましたが、学会を旅行と勘違いしているスタッフが多く、自分の発表の妨げになりましたので、以後、矯正学会にはスタッフは連れて行っていませんでしたが、現在のスタッフは皆、ほんとうに勉強熱心で、昨年の札幌大会も一緒に連れて行って良かったなと思いましたので、今年も歯科衛生士3名と受付秘書の1名、自分も含めて5名で参加してきました。
     
     
    今回の学会では、興味深い学術展示が多く、歯根吸収に関する演題、歯列弓の成長に関する演題、咬合力に関する演題、ホワイトニング後の歯面の性状に関する演題、ボンディング材の接着力に関する演題、各社の矯正用ワイヤーの精度や表面性状を調べた演題などなど、たいへん勉強になりました。
     
    歯根吸収は、現時点では予測することも予防することも困難なのですが、ビスフォスフォネートなどによる歯根吸収を少なくさせるための研究が行われています。
    過大な矯正力は歯根吸収の原因となることは古くから知られていますが、過大な矯正力を用いていなくても、歯根吸収の見られる事があります。
    現在、歯根吸収の原因として注目されているのは免疫システムの関与で、この場合、全歯にわたり歯根吸収が見られることがあります。
    私自身も23年間の矯正臨床でそうゆう患者さんを3人ほど経験しました。
    歯根吸収が起こった場合には、私たち矯正歯科医は正直、物凄いショックを受けます。
    そして、患者さんには歯根吸収の状態を知らせない先生が多いのではないかと思いますが、現在、ひろ矯正歯科では、歯根吸収が全く起こらなかった人にも、物凄い吸収を起こしてしまった人にも、全ての患者さんにレントゲンをお見せして、隠すことなく御説明しています。
    吸収の著しい人には、患者さんにその事を伏せるのではなく、現状を説明して、今後起こりうる事や日常生活に於ける注意事項を説明する事の方が重要であると考えるからです。
    これらの研究が進んで、全ての患者さんに歯根吸収ゼロ矯正が出来る日が来ることを希望します。
     
    また、特別講演の オハイオ州立大学の矯正歯科の教授、Henry W. Fields 先生の講演は、“The esthetics of the smile and the esthetics of the appliance that make the smiles”という演題で、患者さんが笑ったときの歯の見え方(Smile line や Buccal corridorなどの Estheticsに関するもの)などの審美的な要素についての講演です。
    アメリカに於ける近年の矯正歯科の Goalが、見た目に重きを置く傾向が非常に強くなってきているということに私は以前から強い疑問を覚えていましたが(例えば、Social Sixなどは典型的な例で、真面目に臨床に取り組んでいる者にとっては考えられない事です)、今回の講演でもやはり同様に感じました。
    Buccal corridorを改善するには、上顎の臼歯を頬側に位置させ、Buccal Crown Torqueをかけるとのことでしたが、こうすることで審美的には良くなっても咬合は理想的な状態からかけ離れてゆくことも多く、患者さんの長期的な予後や歯周環境を考えると、なかなか同意出来ない部分があり、これらを両立させるためには矯正のみで全てを解決しようと考えるのは間違いではないかと思いました。
     

    Henry W. Fields先生の講演
     
     
    また、臨床セミナーでは「矯正歯科医療と法務」についての講演があり、検査資料やカルテの重要性、治療前のインフォームド・コンセントの重要性を強調しておられました。
    ひろ矯正歯科のホームページでは、一般歯科における矯正治療の問題点を指摘していますが、これは一般歯科の先生は矯正治療をするなという意味ではありません。
    不十分な検査、不十分な知識で治療を行うと、取り返しのつかない問題に発展するということがあるという注意喚起の目的で記しておりますので、読まれた方は憤慨されるのではなく、患者さんの立場に立ってよく考えて頂ければ幸いです。
    私自身も、他の医療機関に依頼した方が適切であると判断する場合には、迷わずそうしているからです。
    特に、顎関節の治療が必要であると判断した場合には、治療前、治療中、治療後を問わず、顎関節外来を持つ専門の機関に依頼しております。
    私は松本歯科大学の矯正科に勤務していた当時は、たくさんの顎関節症の患者さんの治療を受け持ち、むしろ得意分野でした。
    開業後も暫くの間はスプリント療法などの治療を行っていましたが、現在は全く行っていません。
     
    その理由として、
     
    1,顎関節症の有病率は20~40%程度にも達するということ(ということは、噛み合わせの如何を問わず3~4人に1人は顎関節に何らかの問題を持っているということであり、咬合機能に異常を持っている矯正歯科の患者さんにおいては、さらに高いパーセンテージになるということです。)
     
    2,顎関節の触診と聴診、1~2枚のレントゲンだけで、関節円板の前方転位であろうと診断し、保存的療法を行うのは非常に危険であり、治療前には矯正治療と同じように詳細な検査とインフォームド・コンセントを行うべきであると考える
     
    3,治療が非常に長期にわたることもあり、また、治療が奏功しないこともある
     
    4,診察が1週間に1度程度と頻繁な治療が必要なこともあり、矯正歯科専門医であるひろ矯正歯科でのアポイントスケジュールに組み込むことが出来ないこともある
     
    5,投薬や、マニピュレーション、パンピングなど、スプリント療法以外の治療が必要なことも多く、ゆえに治療は顎関節の治療に関する専門の知識を持った口腔外科の先生に任せるのが適切であると考える
     
    以上です。
     

    学術展示会場では、藤田先生にもお会いすることが出来ました。
    WSLOに名前が載っていたのに何故おみえにならなかったんですか、みんな先生にお会いできることを楽しみにしていたんですよ、と、しばし会話を。
    とても忙しくて、どうしても都合がつかなかったとのことです。
    次回のESLO, Cannesには是非来てくださいね!
     
    今回の日矯学会は得る物が多く、非常に有意義な学会でした。
    来年は9月16-18日、幕張メッセにて行われます。
     
     



    19日、ホテルに到着後、鉄板焼きに行ったのですが、、、。
    座ってメニューを見ると、メンタマが飛び出るほどの値段、、、。
    (*_*)、、、帰ろうか、、でも、今さら帰れないしなあ、、、。
    「普段、大変苦労をかけているスタッフのためだ! これぐらいなんだ!!」 と、
    通天閣から飛び降りるつもりで、いただきました。 ★三つでした。

     
     

    20日は、串の坊で晩御飯。これも、★三つでした。
    現在、歯科衛生士募集中です。来年は、歯科衛生士さんがあと2人くらいここに加わってくれるといいなあ。

     
     

    そのあと、たこ焼き屋さんに行きました。
    大阪に来たからにゃあ、たこ焼きを食べなきゃァねえ!

     

    帰りの新大阪の駅でお土産を見ている時、ふと時計を見たらあと3分しかない!
    「早く、早く!! 間に合わないよ!!!」と叫ぶ僕の声に、手に持ったお土産を放り投げて、みんなダッシュ!
    ところが、ホームに出てみると、、「あれれ? あと10分もあるじゃん、、」
    僕の時計がえらい進んでいたのでした。
    お土産も買えなかったみんな、、、ごめんなさい m(_ _)m。
    悪いのは僕です、許してください、、。

  • 2nd. World Society of Lingual Orthodontics

    2007年7月12-17日、第二回 World Society of Lingual Orthodontic meeting が Seoulの COEX Congress Center にて開催されました。
    今回は内緒でパスしようかと思っていたのですが、Invited Speakerとして招待して頂きましたので、頑張って行ってきました。



    会場の COEXです。このあたりの道路には、全然人が歩いていません。
    なぜか。。
    物凄い地下街が広がっていて、何処に行くにも地上に出ずに行けるのです。

    しかし、、、我ながら、毎年毎年演題を考え、しかも一人で準備して、よく間に合うものだと思います。
    大学病院に勤務している先生なら当たり前ですが、僕は田舎の開業医、、。
    みんな「そのパワーは何処から出てくるのか」と不思議がりますが、ただ単に患者さんに一生懸命向き合っていたら気がついたらこんなになっていた、、それだけです。
    さすがに今回は超・ギリギリで、前日、朝から夜中までホテルに缶詰で Power pointを仕上げました。
    EOSの際には Intel Macを持っていったのですが、調子が悪く、たいへんな目に遭いましたので、今回は使い慣れた12inch G4を持って行きました。
    演題は、「Lingual Orthodontics for Juvenile Patients」です。
    舌側矯正というと、普通は大人の患者さんが対象ですが、年々 Low teenで Lingual Orthodonticsを希望される方が増加傾向にありますので、Adult patientsとの違い、注意点等を実際の治療例をまじえて解説してきました。

    僕の口演時間は、日曜日の朝イチ、8:30分という時間です。
    しょえ~、こんな時間に人が来るんかい、、と思っていると、案の定、5分前には、会場内には僕と座長と次演者の3人だけ。
    Venice ESLO のあのイヤな雰囲気が思い出され、思わず笑っちゃいます。。。
    プレゼン開始の秒読み態勢にはいると、、、ドカドカと皆さんが駆けつけてくれました。
    あ~、よかった。
    朝早くから駆けつけて来てくれた皆さん、有難うございました。
    プレゼンの最後は、冬ソナのBGMで締めくくりです。
    え? 古いって?
    でもまあ、韓流ドラマの先駆け、代表作ですからね。
    音楽が流れ、ペ・ヨンジュンとチェ・ジュウが出てくると、座長の先生も思わずニッコリ。。


    ガンバレ~ !


    途中で照明がおかしくなり、プレゼン中断です。 あはは~、いつまで続くのかな~~(^^;)

    Coffee Breakでいろんな先生と話していると、Alain Decker先生が僕の顔を見つけ、寄って来てくれて、素晴らしい発表だ、お前の治療はいつも素晴らしい、と、絶賛のお言葉を頂戴しました。
    ありがたや、ありがたや、、。


    物凄い立派なメインホールです。参加者は600名を超えたとか、、。

    その夜は Gala Dinnerです。
    Phil Kyung Jaeという Korean Restaurantですが、聞くところによると、韓国の昔の王様の家で、今もそこに住んでおられるとのことです。
    Dinnerが始まるまで、お庭でジュースやカクテルを飲みながら御歓談。
    日本人の先生達はいつもどおり日本人だけで集まっています。
    僕は日本の先生達が嫌いなわけではないのですが、内輪で固まるのはあまり好きではないので、一人でポツンと離れて立っていると、Dirkがこっちに来い、と呼んでくれました。
    すると、パリ第5大学の先生達を紹介してくれ、今日の僕のプレゼンのことを聞かれたり、逆にパリ大学でのリンガルの治療の事を聞いたり、話に花が咲きます。
    そうこうしていると、Dinnerが始まりました。


    左から、竹元先生、 Dirk、 僕、 Decker先生です。
    カメラがいっぱいで何処を見ていいのかわからないので、みんな見ているところがバラバラです。。

    Dinnerは グループ分けされていて、みんな自分のテーブルに向かいます。
    僕は C-groupです。
    なるべく内輪で固まらないようにと思っていると、Alain Decker先生が来てくれました。
    ここでも昨年同様、先生と楽しく過ごすことが出来ました。

    舌側矯正の世界は、自分がNo.1だ、と、勢力争いをして、他の妨害をする先生もいます。
    自分のスキルが低いために、上手い者を引きずり降ろそうとする先生もいます。
    が、このDecker先生は、話せば話すほど、素晴らしい先生です。
    「妨害をする先生がいることは凄く悲しいことだと思います。負けて悔しいなら、人の邪魔をするのではなく、自分が努力すればいいことです。みんなでお互いに知恵を出し合って、少しでも患者さんが優れた治療を受けられるようにと、こうやって世界中から先生が集まってきているのに、なぜそうゆう先生がいるのか僕には理解出来ません。僕がここに参加する目的は一つしかないんです。」と、僕の考えを話すと、「そのとおりだ!」と、まったく同じ考えです。
    感激と嬉しさで、もうチョイで涙が、、、(^^;)。


    韓国料理のフルコースを食べたのは初めてでした。美味しかったです。

    Decker先生と Becker先生は、本当に素晴らしい先生です。
    来年の ESLOは必ず駆けつけます! 頑張ってください!

    大会長の Hee-Moon Kyung先生、本当にお疲れ様でした。
    たいへん御世話になり、有難うございました。
    また、尊敬する Ryoon-Ki Hong先生、また是非御一緒出来れば嬉しいです。
    カムサンミダ。

  • 日臨矯例会に参加

    2月22日、日本臨床矯正歯科医会例会が品川プリンスホテルにて開催されました。
    日臨矯は、矯正歯科を専門に開業している先生の集まりで、22年前、自分が矯正学を志した時から憧れ、尊敬していた会の一つです。
    現在では、会員の中には大学に勤務している先生もいらっしゃいますが、当時は入会出来なかったように記憶しています。
    自分は、12年前に開業してからすぐに入会をさせて頂くつもりで書類を整えてはいたのですが、諸般の事情から現在まで入会をせずにおりました。
    開業12周年を迎えたこともあり、もう一度初心にかえって自分の矯正臨床を見つめ直したいということもあり、このたび入会させて頂きました。
     

     
     
    例会に参加した率直な感想は、会員の皆さんが切磋琢磨し、一生懸命勉強している、しかしユーモアも通じる暖かい会であると感じました。
    新入会員の紹介の際に、「塩尻市という人口6万人の小さい町で細々と開業しております、、、」と申し上げたら、ある先生の「ウソばっかり~!」と言う声が会場内に響き渡り、吹き出した先生も何名かおみえになりました。
    まあ、事の真偽は皆様にご判断頂くとして、先輩の諸先輩方、若輩者ですが御指導御鞭撻の程、よろしくお願いいたします。
     
    今回の例会では鶴見大学の小林馨先生の講演は非常に有益でした。
    小林先生と言えば顎関節、画像診断といえば小林先生です。
    顎関節症の治療は、過去には自分も行っていましたが、現在では行っておりません。
    その理由は、私たち一般開業医では顎関節治療に必要十分な検査を行うことが出来ず、聴診、触診、顎運動の審査だけからでは、正確な病態の把握・診断が出来ないからです。
    顎関節のクリッキングを触診のみで関節円板前方転位であると決め、リポジショニングや咬合調整を行う先生が多いですが、これはあってはならない事であると考えます。
    医療行為というのは当てずっぽうでなされるべきではなく、正しい診断なくして治癒はあり得ないからです。
    正しい診断のためには、綿密な検査が必要であることは言うまでもありません。
    顎関節の疾患は複数の原因が重なって発症している事が多く、診断や治療は非常に難しものですので、現在、ひろ矯正歯科では顎関節の治療は専門機関に依頼しております。
     
    小林先生のお話で自分がどうしても聞きたかったのは、歯科用CTについてのお話です。
    画像の精度の向上やコストの低減により、ここ数年で歯科用のCTは普及の一途で、特に埋伏歯の診断や歯周病治療を目的として撮影される事が多いです。
    ところが、上記に述べたことと矛盾するようですが、必要のない患者さんにまで興味本位でCTを乱撮している先生がいることも事実です。
    何千万もするCTスキャンを買った以上は、なるべく多く使って償却しなければ、と考えているのでしょうが、院長であれば自院での使用頻度は購入以前からわかっているはずで、患者さんの被爆を考慮せずに何でもバンバン撮るのは、かなり問題であると思います。
    私たちが日々診療していると、非常に稀に、レントゲン撮影を拒否される方がいらっしゃいます。(ひろ矯正歯科には12年間に2人だけおみえになりました。)
    私たちの撮るレントゲンの被爆量は、専門的な数字になりますが、頭部のX線写真1枚で2~3MSv、パノラマレントゲンで3.85~30MSv、デンタルが1枚1~8.3MSvです。
    これに対し、歯科用CTの被爆量は480~560MSvにも達します。
    つまり、CTを1回撮るということは、矯正の頭部のレントゲンを200枚以上(!)、通常のデンタルX線(2×3cmくらいの小さいレントゲンです)の500枚以上(!)を一度に撮影するのと同じだけ被爆するわけです。
    ですから、歯科用CTを撮るのであれば、最初にパノラマやデンタルでスクリーニングを行い、必要な部位だけに限局してCTを撮影すべきです。
    皆さんがCTを撮影される事になったら、事前に先生から「どこの部位のCTが、なぜ必要なのか」という説明がされるはずです。何の説明も無しに、CT撮りますのでこっちに来てください、という場合は、患者さんのほうから撮影目的や理由を聞くべきです。遠慮すべきではありません。何処で、どのような治療を受けるかを決めるのは、患者としての権利です。
     
    また、MRIについては、総合病院の先生やレントゲン技師さんから、矯正装置が入っているとMRIが撮影出来ないので、矯正装置を外してくれと言われることがあります。
    何の連絡も無しに勝手に舌側矯正の装置を外して事後報告、という事例が過去に1度だけありましたが、小林先生の講演では、アーチファクトは撮影条件によって減らすことが出来、1.5テスラー以下であれば、殆ど問題はないとのことでした。
    実際に、MRIを撮影する際に技師さんから連絡があり、少しコメントするだけで問題なく撮影されているようですので、患者さんの皆さんは覚えておいて頂くと宜しいかと思います。
     

    次回の日臨嬌は11月、宇都宮で開催されます。

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