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院長日誌

講演活動

  • 「医療訴訟 〜明日は我が身〜」

    2019年3月7日、塩筑歯科医師会学術例会にて、「医療訴訟 〜明日は我が身〜」という演題でお話しをさせて頂きました。

    「医療訴訟=医療ミス」、「何か失敗したんだろう」、というイメージがありますが、医師側には全く過失が無いにも拘わらず、患者が事実無根の嘘偽りを並べ立てて、1000万円近くの損害賠償請求を起こしたという、まったく信じられないような医療訴訟が実際にありましたので、歯科医師会の皆様にお話しをさせて頂きました。

    概要は以下のとおりです。

     

    ある歯科医Aが矯正治療を終了したあと、その患者Bが歯科医の指示に従わずに生じた不始末に対していろんなクレームを付けはじめたため、困った歯科医Aは永年医療連携のある某病院口腔外科に紹介しました。ところが、この口腔外科医長Cは、あろうことか、咬合診断に必要な検査を一切行わずに、BBO理論なる仮説の理論に基づいて「不定愁訴の原因は歯科医師Aの行った治療が原因である」という間違った診断を下し、その上、その診断書を患者Bに直接手渡ししたため、患者Bがそれを読んで、1000万円近くの賠償請求をするに至ったものです。

    裁判記録は3段のカラーボックスが一杯になるほどの膨大な量で、この記録によれば、歯科医Aは、患者Bの要求したとおりの矯正治療を行っており、治療結果も極めて良好、予定治療期間の延長もなし、治療中に新たに発生した齲触もゼロ、デンタルX線では歯根吸収もゼロ、パノラマX線では歯根の平行性も完璧、治療前のインフォームドコンセントも完璧、治療前には側貌予測も行い、治療後のレントゲンでは予測と寸分違わぬ結果を得ているという、非の打ち所の無い治療でした。それにも拘わらず、患者Bは呆れんばかりの悪質な嘘を積み重ねて、8年間もの間、延々と歯科医Aを苦しめ続け、嫌がらせを行いました。例えば、「抜歯に同意していないのに歯科医Aが勝手に抜いた」とか、「歯科医Aは診療中に大声で恫喝した」、「同意なく勝手に矯正装置を撤去して以後の診察を拒否した」等々、ここには書けないほどの内容と量ですが、これらは全て歯科医Aの持っていた証拠から患者Bの主張には信憑性が無いと裁判官が判断したものです。何度読んでも唖然とする、こんな嘘がまかり通れば、日本の医療は成立しなくなるという、呆れんばかりの内容で、世の中にはこんな人も居るのだという事を知り、凄く勉強になりました。

    訴訟終盤で裁判所は、80万円を歯科医Aが患者Bに支払う、という内容の和解案を出しましたが、歯科医Aはこんな嘘偽りに屈するものかと和解を拒否、最高裁まで闘って納得のいく判決が出なければ、即刻歯科医師を辞めるという決意の元、闘い続けました。

    一審結果は、「原告訴訟を棄却する」という判決で、歯科医Aの100%完全勝利でした。この判決には、歯科医Aの弁護士も、医療訴訟に詳しい矯正歯科学会の役員の先生達も大変驚かれたようです。患者Bは控訴を断念、歯科医Aは裁判では完全勝利を勝ち取ったものの、歯科医師人生で最も油の乗りきった 8年間をこんなクダラナイ事に時間を奪われ続け、家族と出かける時間も奪われ、趣味の時間も奪われ、研究等にかける時間も奪われたそうで、それだけでも患者Bは満足しているのではないでしょうか。

    私は歯科医師会でこの事例を紹介し、何も悪く無くても、こんな滅茶苦茶な訴訟を起こされる可能性があるということ、それはいつ我が身に振りかかるかわからないということ、そしてその対策法は何か、ということについてお話しさせて頂きました。
    会員の先生からは大絶賛を頂きましたので、要請があれば各種学会、研究会などでもお話しをさせて頂きたいと考えております。御希望の方はメールにて御連絡ください。

     

     

  • 2016/05/30

    第5回Digital Orthodontic meeting開催さる

    第5回 Digital Orthodontics Study Club Annual meetingが 福岡市の With The Style Fukuokaで開催され、講演させて頂く機会を与えて頂きましたので 行って参りました。
     


     

    下は 会場のWith The Style Fukuoka

    とてもお洒落で、ホテルもレストランも良い感じです。
    ホテル代が高いので、自分は2泊で1万円の東横インに泊まりましたが、寝るだけなので、それで十分です。
     

    2011年頃でしょうか、ちょうど東京スカイツリーが出来た頃、テレビ電波がアナログ放送からデジタル化され、アナログテレビを使っていた私達庶民は、地デジチューナーを買うことを余儀なくされ、自分を含めてたくさんの人が愚痴をもらしていたのが随分前のことのように感じます。
    写真も然りで、フィルムカメラからデジタルカメラが主流となった頃、デジカメを酷評し、フィルムに固執するカメラマンがたくさんいましたが、今もデジカメを一切使わないでフィルムカメラしか使わないというカメラマンはいないと思います。
     
    医療分野においてもデジタル化は当然進められ、普通の写真はもちろんデジカメ、レントゲン等の診断機器もデジタル化され、アメリカの大学では、歯型を採るのも印象材では無く、口腔内スキャナーを使うところが増えてきています。
     
    アナログとデジタルの決定的違いは、何と言っても情報量の違いです。
    最近の4K放送、8Kテレビなどを見ると、アナログでは到底実現できない圧倒的な繊細な画像に驚かされますが、矯正歯科で撮るレントゲンも、フィルムからデジタルに変わって今まで見えなかったものが見えるようになり、今まで何時間もかけて石膏まみれになって作っていた技工物が、ダストフリーでチャカチャカとパソコンで出来てしまうのには、本当に時代の変遷を感じます。
     
    Digital Ortho研究会の会長である 久保田隆朗先生は、その道の第一人者である Dr.Rohit Sachdevaと何年も前から一緒に研究されており、JOPでの連続寄稿はいつも拝読させて頂いていました。
    昨年の日本成人矯正歯科学会で、久保田先生の特別講演を拝聴して、研究会のミーティングが開催されていること知り、自分も勉強させてくださいとメールしたところ、快諾頂き、入会させて頂きました。
    その直後、今年のミーティングで講演してくれないかとオファーを頂き、入会して一度も会に参加していない、右も左もわからない自分に出る幕があるのかと不安に思いましたが、御指名でございますので受けさせて頂きました。
     
    今回、久保田先生からは、3つについて話してくれと頼まれていました。
    1つは「ヒロシステムのラボについて」
    もう一つは「失敗をリカバーした症例」
    そしてもう一つは「矯正治療の落とし穴」についてです。
     
    まず、ラボについては手短に手順をお話しし、ひろ矯正歯科のHPからPDFがダウンロードできることをお話しししました。
    現時点では、うちでは歯科技工士が石膏模型を分割して、ワックスセットアップを作ってその上で装置を作る完全な “アナログ” ですが、近い将来、PCでVirtual set upを行い、ブラケットの位置づけを行うように、、、出来ればいいなと考えております。
     
    トラブル症例については、4つ、つまり、
    1つめは、一般歯科でアゴの拡大をされて大変な事になって、ひろ矯正歯科に来た患者さんをリカバリーした治療について、
    2つめは、他の医院で裏側矯正を開始したが、大変なことにひろ矯正歯科に泣きついてきた患者さんについて、
    3つめは、4番と5番を誤抜されてしまった患者さんについて、
    4つめは、エッチングによる「医療事故」の対応についてお話しさせて頂きました。
     
    拡大に関しては、ひろ矯正歯科のHPに書いてあるように、私達矯正専門医はアゴの幅が明らかに狭窄している場合以外は拡大装置という物は使いません。
    ところが、矯正の知識・経験の無い一般歯科の先生の中には、混合歯列期のお子さんの親にパノラマレントゲン写真を見せて「歯が入りきらないから、アゴを拡げなければならない」と言い、アゴの拡大を勧める先生が非常に多いです。
    先日も、3才のお子さんがアゴの拡大をしないとダメだと言われたが、本当にそんな治療が必要か、と相談に来られた方がいらっしゃいました。
    そのお子さんの歯列には狭窄は認められませんでしたし、3才であるという年齢を考えてもその歯科医の言っていることは途方も無い滅茶苦茶で、お母さんには拡大の適応症と非適応症、矯正治療を開始するタイミングについてお話ししました。
     
    研究会当日のランチタイムでは、菅原準二先生も、一般歯科で拡大装置を入れられて、歯槽骨から歯根が飛び出してしまい、大変なことになっている患者がいると仰っていましたが、このような症例が物凄く増加している理由は2つ考えられます。
    つまり一つ目は、可撤式床装置でアゴの拡大をする場合、歯科医師は歯科衛生士に歯型を採らせ、歯科技工士に拡大装置を作らせ、出来上がった装置をお母さんに使い方を説明してオワリ、つまり、歯科医師自身が何もしなくても高額な治療代を得ることが出来るので、治療する事を目的としているのではなく、金目当てでやっているということ。
    そしてもう一つの理由が、有名な先生が、拡大をしたことで埋伏犬歯が救われたという症例を日本矯正歯科学会をはじめとするいくつかの歯科学会で講演しており、それを聞いた矯正専門医以外の先生達が適応症を理解せずに拡大に走っているものだと推察されます。
     
    今回紹介した症例は、一般歯科医によって不適切に拡大された患者さんで、17才になっても拡大治療が終わりにならないので、セカンドオピニオンを求めて来院された患者さんです。
    その患者さんは、顔が細く、どちらかというと日本人より白人のような顔幅なのですが、お口の中をみて唖然としました。
    歯列の幅が物凄く広くて、明らかに異常なのです。
     

    初診時のお口の中の状態
     

    お母さんに聞いてみると、かかりつけの歯医者で 8才の頃からアゴの拡大を受け続け、今も続けているとのこと。
    下の写真のように、上顎も下顎も、いくつもの拡大装置を使って、常識では考えられないほど拡大されました。
     

     
    計測してみると、上顎の第一大臼歯間幅径は、52.3mm!!  
    通常は非抜歯で 45mm程度、抜歯症例では 42~43mm程度ですから、いかに滅茶苦茶な拡大が行われているかがおわかり頂けると思います。
     
    歯は、外側からは口唇と頬に押され、内側から舌に押され、両方から押されるバランスの取れたところに立っています。その圧力均衡を無視して、歯が入りきらないからアゴを拡げるとか、抜歯治療で奥歯が手前に移動しているのに奥歯の幅が変化していないといったのは、矯正歯科の基本を全く理解していない、根本的におかしな治療です。
     

     

    この患者さんは、レントゲンを撮ってみたところ、上顎の12才臼歯は智歯とぶつかっており、このまま放置していると第二大臼歯が4本ともダメになるであろうこと、万が一感染がおこれば、第二大臼歯もその奥の第三大臼歯もダメになる可能性があるということ、このまま放置しておいてはいけない状況であることをお母さんに御説明しました。
     

     

    下はお母さんからお借りした 8才の頃のレントゲンです。
    この時期というのは、永久歯が重なって写ってくるのは当たり前なのです。
    この時期から正しい知識のもと、適切な処置が行われていたなら、上記のレントゲンに示すような第二・第三大臼歯の埋伏干渉は起こらなかった、と言いきって良いと思います。
    適応症も考えずに、歯が入りきらないから何でもかんでも拡げるというのは、「治療」ではありません。
     

     
    お母さんには、主治医ともう一度お話しされることを勧め、お帰り頂きましたが、後日再来され、ひととおりの検査診断を行い、治療開始しました。
    まず、上下左右の埋伏智歯の抜歯を口腔外科に依頼、口腔外科からは、8を抜くと7もダメになるかも知れない、全身麻酔下での抜歯が必要という連絡がありましたが、7番は無事残すことが出来ました。
    上顎左右4番、下顎左右5番の抜歯は私が行い、上下舌側矯正にて治療を行い、1年4ヶ月の治療期間で良好な治療結果を得ました。
     

    治療後の口腔内写真です。
    ひろ矯正歯科に来られた時の主訴である、普通の歯並びになりたい、口元が引っ込んで欲しい、口が閉じられないので口呼吸している、アゴのウメボシが嫌だ、奥歯が噛めない等々は、全て改善することが出来ました。
    写真は舌側のブラケットを外した30分後の状態ですので、歯肉が少し赤くなっていますが、次回来院時には綺麗な引き締まった歯肉になっており、歯周病や虫歯は認められませんでした。
     

    私は、臨床で一番大切なことは、患者さんの主訴を改善することであると考えています。
    もちろん、矯正歯科という学問のエビデンスに基づいた治療結果を得ていることは大前提です。
    以前、ある有名な先生の院内症例検討会に参加した際に、私が「患者さんの主訴は何ですか?」と聞いたら、院長先生は「この先生らには、まだそんなこと教えてへんのや! 余計な事言わんといてくれるかな!」と、お怒りになりましたが、主訴がわからなければ、治療計画も立てられない、治療を始めることも出来ないわけで、いくら有名でも歯科医師としての姿勢に問題があるように思いました。
     
    次の症例は、他の医院で舌側矯正を始めたが、担当医とトラブルになった症例です。
    私が初診で拝察した際、患者さんは 拡大の必要が無いにもかかわらず、上下に Quad Helixという拡大装置が装着されており、しかも装置が口蓋歯肉に食い込んでいました。
     

     

     

    患者さん曰く、舌側矯正という約束で治療を開始した、最初は奥歯だけ外側にブラケットが付いていたが、次第に小臼歯、犬歯へと外側にブラケットが付けられて、次回は前歯もブラケットを外側に付けると言われて、それでは舌側矯正でない、話が違うではないかと言ったが、その先生は、裏側にも装置が入っているからこれは裏側矯正だ、と言って取り合ってくれないとのことで、ひろ矯正歯科に相談に来られました。
     
    主訴を確認すると、上下の歯が前突している、口元が出ていて口が閉じられない、ガミースマイル(笑った時に歯茎が見えすぎるということ)でしたが、なんと、上顎は 4番ではなく左右とも 5番が抜歯されており、近日中には下顎の 4番を抜くということでした。
     
    検査・分析・診断を行った結果、主訴を改善するには、5番抜歯では到底無理で、もとの先生は出来るのかも知れないが、私には外科手術を併用しないと主訴を改善することは出来ませんとお話しました。
     
    もう一人は、他の歯科医院で舌側矯正を開始して1年半、上顎は臼歯部の外側にブラケットが付いている、下顎は舌側に装置が入っている、上顎の治療はされておらず、もの凄い上顎前歯の前突、、。
    主治医からは、1年半治療しているからこれで終わり、返金もしないと宣告され、ひろ矯正歯科に相談に来られました。
     

    これでオワリ、返金もしないと言われたら、みなさんならどうしますか? 
    こんなひどいことを平気でする歯科医は悪徳だと思いませんか?
    なぜこんな悲惨な例が増えているのでしょうか?
    歯科医師過剰で、こうでもしないと喰っていけないと言われていますが、虫歯でもなんでも真面目にきちんと治療している先生は、場所を問わず たいへん忙しくされています。
    私は自分に出来ないことは、はっきりと「僕には出来ません」と言いますが、「出来ない」と言わずに患者さんに事実と異なることを言うのは、医療人として失格であると思います。
     

    さらに「落とし穴」としてお話をさせて頂いたのが、最近だんだん普及しつつある CAD/CAM Applianceについて。
    患者さんの歯型を採って、メーカーに送れば、患者さん一人一人にカスタマイズした装置を製作し、治療の進度に応じたワイヤーも数本曲げて返送してくれるというもの。
    このブラケットを患者さんに接着して、添付のワイヤーを順にセットしてゆけば治ると思っている先生が非常に多いのですが、これも大きな間違いで、抜歯症例のメカニクスや舌側矯正が通常の矯正と異なる点を理解していないと、とんでもない事になります。
    講演では、こんな時はどんな調整が必要かを手短にお話させて頂きました。
     

    メーカーから添付されてきたワイヤーは、上記のような調整をしなければなりませんでした。
     

    しかも、ブラケットが破折してしまったために、そこの部分には Hirobracketに置き換えて治療を継続しました。
     

    プレゼンの締めくくりとして、「患者さんを治すのは装置では無い、私達なのだ」ということ、そして、「考えるということの重要性」をお話しましたが、驚いたことに Sachdeva先生の講演も、全く同じ事を言っておられました。
    事前に打ち合わせをしたわけでもなければ、示し合わせたわけでもないのですが、、。
     
    久保田先生は、「デジタル化することで簡単になるんだ、楽になるんだと思っている人が多いが、全く逆で、今までよりも情報量が多くなった分、治療結果も今までよりもシビアなものが求められる」、「アナログが出来ないからデジタルに行くというのは大間違いで、アナログが出来ない人間がデジタルに行っても出来ない」と仰っていました。
     
    自分が常日頃言っていること、すなわち「自転車に乗れない人間がバイクに乗れるわけがない」、「ゴーカートをまともに走らせられない人間がレーシングカーに乗ったら、事故って死ぬだけだ」と相通ずる部分が多く、まったく感激しました。
     
    近い将来、矯正診断は蓄積されたデーターを元に PCが自動で行い、治療に関しては、CTと Oral scannerを併用して、PC上で歯根を含めた理想咬合を配列し、そこでブラケットを調製し、そのまま正確に口腔内に装着し、ワイヤーはベンディングマシンが曲げて、口腔内写真も、説明もロボットが行う、 、、という時代が来ると思います。
    どれだけ新しい技術を使う比率が増えても、キモの部分はやはり人間が行うものであると思いますし、私は私にしか出来ない職人的な治療を行う、日本矯正歯科学会専門医の名に恥じない矯正専門医でありたいと思っております。
     
    久保田先生は2日間、Sachdeva先生の英語を通訳され、歯科の専門用語だけでなく、医学用語や工業用語までたいへんよく御存知で、研究されている内容も素晴らしく、歯科医師としてのレベルも素晴らしい先生だなあと、完全に敬服しました。
     
     

  • 2014/06/21

    11th ESLO開催、新型のMienaiブラケットを紹介

    昨年9月頃だったでしょうか、2014年のヨーロッパ舌側矯正歯科学会大会の大会長である Dr. Vittorio Cacciafestaから、6月に Italyの Comoで第11回 ESLO meetingを開催するから、Keynote speakerとして来てくれないかとのメールを頂きました。
     
    招待されても、旅費や宿泊代が支給されるわけではないので、単なる名誉職なのですが、自分の下手な英語でも「Hiroの話を聞きたい」と言って頂けるのは、本当に有り難い事ですので、いつもどおり 2つ返事でお受けし、行って来ました。
     

    会場の Villa Erba, Cernobbio
     

    いつもは学会の3ヶ月ほど前から早起きモードになり、朝4時5時に起きて準備を始めるのですが、今年は年始から頭の痛い問題が立て続けにあり、4時5時にベッドで目が開いても、起き上がることを精神的に拒否する毎日で、学会があと1週間と迫っても、まったくエンジンがかかりません。
    そんなこんなしているうちに、とうとう出発の日が来てしまいました。
    いつもどおり中央タクシーが自宅に迎えに来てくれて、一路羽田に。
    当然、車中では必死で仕事です。
     
    羽田ではお目当ての すき焼き を頂きます。
    この「たか福」というお店は、味もさることながら、客への対応がしっかりしていて、とても良いお店ですので、機会がありましたら、是非行ってみてください。
     
    Air Franceでの機中も寝ないで準備、あっという間に CDGに到着、乗り継いで Milanoには朝の10時に到着、Milanoから Comoまでは50Km程ありますので、バスと電車を乗り継いで、お昼頃、ホテルに到着。
     

    駅で切符を買って、電車でホテルに向かいます。
     

    滞在先の Hotel Albergo Centrale。 個人経営の小さなホテルですが、3-star hotelで、レストランは、10年以上、Michelin guideにリストされている美味しいお店です。
     
    その日はフリーなのですが、プレゼンの準備がまだ終わっていないので、出掛けずに部屋にこもって準備します。
     
    翌日は、朝から Pre-congress courseに参加。
    Dr. Germain BECKER (Luxemburg), Dr. Esfandiar MODJAHEDPOUR (Germany), Dr. Roberto STRADI (Italy)、Dr. Robbie  LAWSON (UK)ら4名のドクターが Lecturerを努める Incognito のコースです。
     
    別に Incognitoに興味があるわけでも無いし、使うつもりもありませんが、いつも Pre-congress courseでは、Lectureをする側で、他の先生のコースを受講したことがないので、一度受けてみたいなと思っていたところ、今年は Pre-congressでは話さずに済んだので、受講してみたわけです。
    開発者の Dr. Dirk Wiechmannは、“Toshiには Incognitoは不要だ” とコメントしていましたが、僕は実際に何症例かやってみて、Incognitoは、 舌側矯正初心者の先生には向いているかも知れないけど、今の自分のレベルの治療結果は、Incognitoでは出せない、というのが結論です。
    日本国内外の舌側矯正の expertsも、Incognitoは使っていません。
    3Mさん、すみません。
     
    2人の lectureが終わり、Coffee breakで一息ついていると、次期会長の Dr.Takis Kanarelisが呼びに来て、Active memberと Titular memberへの提出症例の Examinerをやってくれとのこと。
    それだけは勘弁してくれ、おれは WSLOの時に体裁の整っていない症例を不合格にしたら、「オレの友達を何で落とすんだ」と、全くおかしな文句を言われたし、World Board of Lingual Orthodontics の設立の際には、公平性と透明性をキチンとしなければダメだと主張したら、何人もの先生から鼻つまみ者にされ、JLOAでは今だに四面楚歌なんだ、だから、おれは Examinerは絶対にイヤだ、と断ったのですが、Germainも困っている、どうしてもやってくれ、Examinerを出来る人がお前しかいないんだ、と食い下がるので、しょうがなく引き受けました。
     
    まずは Titularの Candidate 8人を4人で手分けして、自分の持ち分の 2人を採点します。
    完全に匿名なので、何処の誰が治療したのかわかりませんが、さすがに Titularに applyしてくる先生達は きちんと治しています。
    上顎前歯のトルクコントロールが若干甘い症例がありましたが、それを減点しても十分合格点。
     
    もう1人の先生は、何故に Quad helixが入っているのか理解に苦しみますが、それ自体は別に減点にも何もならないし、正直にありのままを提出されて、結果も Excellentなので、OK、合格点です。
     
    そのあと、Active memberの症例評価へと移動します。
    Active memberの症例は、Titularに比べると、治療のレベル低下が歴然です。
    治療結果以前に、資料が規定通りにまとめられていない。
    特にCandidateのなかの1人は、治療前後のレントゲンの重ね合わせが、明らかにおかしい。
    これは絶対にリンガルで治療されたものじゃなくて、ラビアルで治したのを出してきている、と判断。
    治療経過の写真を見ても、1枚しかないので、やはりインチキ臭く、不合格にする。
    ただし、Presidentは Germainなので、最終判断は任せますわ、と全てを彼に委ねましたが、Germainも不合格にしたとのこと。
     

    手前が Dr.Germain Becker、 そして僕の向こうが次期大会長の Dr.Takis Kanarelisです。
     

    翌日、日本人の有名な先生が、「彼はオレが引っぱってきたんや」と言ってきましたが、そんなの知るか!
    誰が連れて来ようが、candidateが誰であろうが、試験は試験、資料も揃っていないものはダメに決まっているでしょう。
    そんなことを文句言うなら、その先生が最後まで責任持って指導すればいい、そう思いませんか?
     
    学会の認定医試験に人が治療した症例を借りて出すとか、舌側矯正の学会に外側の症例を知らん顔して出すというインチキ野郎が実際に存在するわけですから、最低限その辺の所をキチンと整備をしないと、制度自体が意味の無いものになってしまいます。
    だからWBLOの設立の時には、キチンとしておかないといけない、と、あれほど言ったんです!
     
    他の日本人の先生からも、「へえ〜〜、ヒロ先生が Examinerなんだ〜」と、妬み嫌みを言われ、気分最悪。
    はっきり言って、もう関わりたくないです。
    しかも、この症例評価を行っていたために、聞きたかったDr.Roberta Stradiの話が聞けず!
     

     

    会場前の木陰で記念撮影。
    PCカバンの持ち手がちぎれて、危うくパソコンを落っことすところでした。
     

    その日は、18時から welcome partyがありましたので、小一時間ほど出て、あとはホテルに帰ってプレゼンの準備をし、翌日、翌々日も朝イチから終了まで学会場で過ごし、学会終了後は出掛けもせずにホテルでプレゼン準備です。
     
    土曜の夜は Gala Dinner、学会場の敷地内にある Old Villaという歴史ある建物の中で Formal Dinnerです。
    Pre-dinner cocktail partyでは、Patioで Champagneを頂きます。
    この時間がいろんな先生とお話が出来て一番楽しいひとときで、今回もいろんな先生とお話が出来ました。
     


    Indian Genius, Dr. Jignesh Kothari got an award for Titular member.
     

    少しほろ酔いになったところで、Dinnerが始まり、みんな中に移動します。
    何処に座ろうかなとテーブルを伺っていると、なんと、僕は指定席とのことで、席に行くと、僕の名前が書いてある。
    ビックリ&嬉しい!
     

     
    美味しいワインとイタリアンをお腹いっぱい頂き、23時閉宴の予定ですが、まだ明日の発表の Power Pointが完成していないので、途中で抜けてホテルに戻り、寝ないで準備。
    なんとか講演の3時間ほど前に出来上がりましたが、練習なし、原稿もないまま本番に臨みます。
    演題は、 “Introduction of the Mienai Lingual Bracket System”、日本語では、「『見えない』矯正装置の紹介」です。
     

    練習無しのぶっつけ本番、タダでも下手な英語に さらに拍車がかかりました、、、。
    でもね、英語がNativeのように流暢でも、誰にも相手にされない先生もいることを思えば、こんな下手な英語でも熱心に聞いて頂けるというのは、本当に有り難いことですね、、。
     

    現在使っている超小型のヒロブラケットは、使用し始めてから15年が経過します。
    今までいくつもの試験に合格たのも、この Hirobracketsで治療していますので、特に大きな問題があるわけではないのですが、製造元の TOMY Internationalが私以外の先生には販売しないということ、それから、もう少しココがこうなっていればもっと良いのになァ、という点が無くはないので、そういった点をクリアできるブラケットを作ったわけです。
     

     
    開発に取りかかってから完成まで、じつに永い道のりで、完成まで8ヶ月と言われていたのが、実際には3年半以上を費やしてしまいました。
    デジタル+セルフライゲーションが次々と市場に出てきており、いまさら感がありますが、実際に使ってみると非常にコントロールのしやすいリンガルブラケットです。
    特に前歯部のロテーションコントロールが確実に出来る工夫がしてあります。
     

     
    上図のように、外側矯正の治療では、ブラケットがアーチワイヤーの内側に位置するために、ワイヤーとブラケットが2点接触となり、捻転のコントロールをしやすいのですが、舌側矯正の治療では、アーチワイヤーの弧が小さい上に、ブラケットはアーチワイヤーの外側に位置するので、ブラケットとワイヤーが1点接触となり、このことが前歯の捻転のコントロールを困難にしています。
     
    そこで、Mienai Lingual Bracket Systemでは、スロットの底部を凹ませ、ワイヤーとブラケットが2点接触となるように作りました。
     

     

     

    Kurzと比較すると、ブラケットの幅は小さいけれども、スロットは長い。
    これも安定したコントロールが出来る要因の一つとなっています。
     
    小臼歯も脱落が少なく、小臼歯・大臼歯はフリクションが少なくなるような工夫がしてありますので、舌側矯正を行っておられる先生は、使って頂けると幸いです。
    日本での販売は、(有)バルビゾン、TEL : 047-460-7818 / FAX : 047-460-7819 です。
     


    会場はいつもながら満席でした。
     

    次期 ESLOは、2016年の6月30日から7月3日、ギリシャのアテネで行われます。
     

     
    僕の左側、サングラスを胸にかけているのが、次期大会長の Dr.Takis Kanarelisです。
     
     

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