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院長日誌

院内の事

  • 第41回 甲北信越矯正歯科学会

    2026年 6月 28日、第 41回 甲北信越矯正歯科学会学術大会が松本歯科大学にて開催されましたので、参加しました。

     

     

    本学会は、シンポジウム「難治症例における矯正歯科治療について再考する」と、日矯認定医委員会委員長の玉置幸雄先生の認定医・指導医に関する講演を聞くことを目的に参加しました。

     

    特別講演は、福山市で開業の小川晴也先生が「Ⅱ級 1類の治療を成功に導く”6 keys”」という演題で講演をされました。

     

    玉置先生御講演の認定医関連については、重みが違いますので、別の頁で改めて書きたいと思います。

     

    シンポジウムでは、埋伏歯の牽引の適応症、引っ張っても出てこない症例等について、こうゆう場合は牽引不可等々の Discussionがありましたが、私は口腔外科が開窓してくれる埋伏歯であれば、基本的に全て牽引し、歯列内に誘導しています。

    移転が著しく、1歯  2歯飛び越えて移転している場合には牽引されずに抜歯されてしまうのが普通ですが、私は出来る限り抜歯せずに その歯本来の位置に牽引誘導するようにしています。

    埋伏歯が Ankylosisを起こしているものは、脱臼・unlockして牽引しています。

    40年以上の矯正臨床で、牽引できなかった埋伏歯は 1症例だけ、しかもそれは技術的な問題では無く、患者さんの希望により牽引を中止して抜歯になったものです。

     

    以下に埋伏歯牽引症例を紹介します。

    このような 1本〜数本の歯を飛び越えて移動するという症例は 他では見れないと思いますので、大学病院等で認定医等の研修中の先生方の参考になれば幸いです。

     

     

    症例 1

     

    変なところから歯が生えて来たと心配して来院されました。

     

    パノラマでは、本来赤い矢印のところに生えてこなければいけない左上の犬歯(黄色い矢印)が小臼歯を飛び越えて後ろに生えてきているのが観察されました。

     

    左上の犬歯を開窓し、小臼歯を飛び越させて、犬歯を本来の位置に牽引誘導します。

     

    牽引開始から 4ヶ月、犬歯は 4番を飛び越えて本来の位置に移動しました。移動の際には、犬歯の歯冠と4番の歯根が干渉して 4番の歯根がダメにならないように、4番の歯根を内側に振っています。

     

    上顎にマルチブラケットを装着し、牽引した犬歯を歯列内に誘導します。

     

    マルチブラケット装着から 8ヶ月、犬歯は歯列内に納まりました。

     

    第二大臼歯の萌出が遅かったために、マルチブラケットの治療期間は 3年 5ヶ月かかりましたが、手を抜かず第二大臼歯までキチンと治療しました。次回装置を外します。

     

    無事動的治療が終了して、治療終了から 3年後の状態です。牽引誘導した犬歯も、飛び越えた小臼歯も問題無く、経過良好です。

     

    治療終了から 3年後のパノラマです。牽引誘導した犬歯も、飛び越えた小臼歯も、歯槽骨および歯根に問題は無いのがわかります。

     

     

    症例 2

     

    前歯の反対咬合を主訴に来院されました。

     

    検査をしたら、左下の犬歯が水平埋伏し、歯冠は右下の 1-2の間に位置しているのが見つかりました。普通なら 100%抜歯か、外科的に摘出して再植でしょうが、再植は歯根吸収を起こしてダメになることが多いので、再植はせずに、リスクを説明の上で 開窓・牽引誘導としました。

     

    左下にインプラントアンカーを打ち、埋伏犬歯は開窓して歯冠にボタンを接着、インプラントからエラスティックチェーンで牽引します。

     

    下顎にリンガルアーチをセット、アームを延ばして犬歯を遠心に牽引します。

     

    牽引開始から 1年 3ヶ月です。下顎にマルチブラケットを装着、左下の犬歯を歯列内に誘導します。

     

    上記の1ヶ月後です。左下犬歯はだいぶ上がってきましたが、歯根露出が著しいので、ブラッシング指導を行いました。

     

    マルチブラケット装着から 1年 4ヶ月です。左下の犬歯は本来の位置に誘導され、歯列内に納まりました。歯肉退縮はブラッシング指導を行っています。

     

    だいぶ仕上がってきました。左下の犬歯の歯肉はかなり上がってきました。

     

    マルチブラケット装着から 2年 9ヶ月、牽引開始からから 4年 0ヶ月で治療終了しました。左下犬歯の歯肉退縮は引き続きブラッシング指導で様子をみて行きます。

     

    移動した左下犬歯も、飛び越された 3本の下顎前歯も、歯槽骨・歯根共に問題無い状態です。

     

    治療終了から 11年 3ヶ月、左下犬歯の歯肉退縮はほぼ問題の無いレベルまで回復しました。歯周外科手術などは行っていません。上顎正中に僅かなスペースを認めますが、反対咬合も再発せず、経過良好です。

     

     

    症例 3

     

    出っ歯を主訴に来院されました。

     

    右上の犬歯が 1番 2番の間に割り込んで生えてきています。幸いにも 2番の歯根は まだダメージはありませんので、犬歯を開窓して、後方に牽引誘導を行います。

     

    右上の犬歯を開窓し、歯冠に小さい装置を付けて、犬歯の牽引を開始しました。

     

    犬歯は 2番を乗り越え、本来の位置に持ってくることが出来ました。

     

    牽引した犬歯は歯列内に納まり、側方歯群が萌出しました。これで、歯を抜かずに治療が出来ます。

     

    マルチブラケット装置を装着し、治療を行いました。治療期間は牽引開始から 3年、マルチブラケット開始から 1年 3ヶ月です。

     

    治療が終了して 10年後の状態です。牽引誘導した犬歯はよく安定しており、前歯も臼歯も良好な状態を維持しています。

     

     

    症例 4

     

    前歯の噛み合わせが深く、犬歯が内側に生えていることを主訴に来院されました。下顎前歯が全く見えない状態です。右上犬歯は生えておらず、乳犬歯が残っています。

     

    生えてきていない右上の犬歯は前歯の歯根尖付近に埋伏していることが確認されました。前歯の歯根はダメージは受けていないようです。

     

    口蓋には動脈が走っているので、口腔外科専門医に頼んで開窓して貰いました。リンガルアーチにスプリングを付けて、まずは引っ張り出します。

     

    無事牽引出来ましたので、今度は歯列内に誘導します。

     

    上顎にマルチブラケット装置を付け、犬歯を歯列内に移動します。

     

    下顎にもマルチブラケット装置を付けて治療を進めます。

     

    牽引開始から 2年 6ヶ月、マルチブラケット開始から 1年 7ヶで治療を終了しました。治療前に前歯の噛み合わせが深かったので、浅く仕上げてあります。

     

     

    午後の特別講演の小川先生とは、USC courseも同期で、元々は仲が良かった(?)のですが、あの LTSOAの SNSの一件で非常に気分が悪く、この書き込んだ奴とイイネした人とは今後のお付き合いは遠慮させて頂くつもりで、講演も聞かずに帰るつもりでした。

     

    見てのとおり、公開範囲は限定されておらず、世界中の誰でもが見れる設定で、いまだに掲載されていますので、ボカシを入れずに掲載をしました。

     

    小川先生が 2023年に東京矯正歯科学会で講演された内容(東京矯正歯科学会雑誌 33(2), 172-185)、すなわち「Ⅱ級 1類、その骨格パターンや治療方針の違いによる術後長期経過の相違について」を読んでみると、納得出来ない部分が多々あり、なおかつ、今回の講演に関しても抄録にも納得出来ない部分がいくつかありましたが、”まあイイか、気分宜しくないので帰ろう”と心に決めて学会に参加、朝イチ会場にいたら、小川先生のほうからお声がけ頂いたこともあり、折角なので、上記について質問してやろうと思い、聴講しました。

     

    まず、1つめの質問。

    「先生の言う“6 keys”、すなわち、①習癖に対する患者啓発、②口唇閉鎖不全のない良好なプロファイルの獲得、③適切なアンテリアガイダンスの確立、④長期安定のための矯正学的ルールの遵守、⑤大臼歯の遠心・圧下移動に過度に依存しない治療方針、⑥保定装置の設計と保定管理への配慮、とのことですが、これらはⅡ級 1類の治療に限った事では無く、全ての治療について言えることですので、何故にⅡ級 1類に特定しているのですか?」と質問しましたが、これに関しては明快な回答は無し。

    そこで、東京矯正の話を出して、

    「Class Ⅱ div.1は 4つのグループに分けられています。すなわち、Group 1が Skeletal、Group 2が Alveolar、Group 3が Horizontal、Group 4が Verticalで、これは先生も受講された USCの syllabusに書いてありますが、東京矯正の講演を含めて、これら各グループとの関連と考察についてお教え下さい」

    とお聞きしたところ、そのような Groupは知らない、とのこと、、。

    え〜っ、USC受けたんじゃないの? と思いましたが、小川先生から「廣先生はどう思いますか?」と逆に振られましたので、私は恩師の出口先生のお言葉を拝借して返答しましたが、コレって、質問に答えないで、逆に振るってのは反則技で、やってはいけない事な筈です。

     

    それからもう一つ。

    「先生は、LTSOAの”長期安定と長期保定は違う”という SNSへの書き込みに賛同しておられます。つまり、長期安定と長期保定は違うというお考えの筈ですが、本日は “長期安定”というタイトルですが、提示された症例は、27年間、30年間、Fixed retainerが入っていますが、どうゆうことですか?」とお聞きしたら、先生からの答は「どーでもいいんですよ」とのこと、、、。

    いや、どーでも良くはないでしょう。

     

     

    小川先生曰く、「でもね、保定していなくても、長期間変わらない症例もあるんですよ、あの材料屋さんの、、」と言われましたが、これもおかしな話で、咬合は常に変化する、歯並びは年々悪くなる、しかも矯正治療後の歯並びはずっと同じでは無い事はわかっているわけですから、矯正治療後の咬合が長期間変わらないっていうことはあり得ないわけで、パット見、綺麗な咬合状態を維持していても、咬合が変わっていないわけがないので、先生が今回の講演の中で話された臼歯部の咬合安定の精度追求の考えと矛盾しているのではないでしょうか。

     

    咬合接触についてのお話しで、臼歯は図右のように咬合していなければならない、それは矯正で歯を動かして調整する、或いは咬合調整を行う、とのことですが、こんなこと無意味であり、無理であると思います。

    なぜなら仮に矯正でこのような精密な咬合を作ったとして、それがいつまで変化せずに維持して行けるか考えればわかる問題です。

    私がいつも言っていることですが、矯正治療後は総義歯の人工歯排列のような歯並びではなく、治療前の状態を考慮して Over treatmentを組み込んだ Finishingが絶対に必要ですから、治療終了時には Anterior guidanceを含め、いろんな点で理想咬合になっていないことがありますし、その方が良いと考えます。

    このへんが一般歯科で矯正を少し囓った先生には分からない/出来ない ことです。

     

    本当は小川先生には、「先生は長期保定と長期安定は違うと言う意見に同意しておいて、長期安定の演題で長期保定の症例を出してくる、一体何を考えてるんですか⁉」と、ガンガンに質問して、先生の口から あの SNS野郎の言っていることを否定する言葉を引き出してやろうと思っていたんですが、甲北信越矯正歯科学会は日本矯正歯科学会の地方学会であり、ESLOの会長になれない日本人が ESLOをぶっ潰す目的で作った 某学会などとは違って由緒ある学会ですので、節度を保たねばなりませんし、聞いている人が不愉快になるような言い方は慎まなければなりませんので、丸〜く質問させて頂き、あまり突っ込まずに終わりました。

     

    私は最前列に座っていましたので、講演終了後、小川先生に握手を求められて、握手して終わり、という形になりましたが、学会終了後、後輩から「廣先生、なんで握手なんですか!?」と言われましたが、公の場で握手を求められているのに拒否するのはマズいでしょう、、。。

     

    このブログを読まれた方には、自分は SNSでボロクソ書かれて怒ってるのに、院長日誌でこうゆうこと書いて良いのか、と思われるかも知れませんが、違いは相手に了承を得ているかどうかだと考えます。

    上記の SNS野郎とは、海外の学会でも一緒に食事したり、ドライブした仲でしたが、一言の断りも無しにボロクソ書いて、その後も謝罪も無し、掲載削除も無しですが、私は一応、小川先生には会場でお伝えして、事前に同意を得てあります。

     

     

    以下、小川先生の抄録を記しておきますので、御参考までに。

     

    矯正歯科治療の目的は、審美的にも機能的にも良好で長期に安定し得る治療結果を獲得し、患者の健康に永く寄与することである。デジタル技術の進化に伴い矯正装置はより扱いやすくなったとはいえ、重要なのは歯を安定すべき位置へ移動させることである。一方、治療後の歯列・咬合状態が審美的に良好であっても機能的に適応していない場合には、歯・筋・顎関節・歯周組織のみならず身体のさまざまな部位に悪影響が及ぶことが知られている。したがって、加齢変化を伴いながら長期間安定を維持するためには、適切な診断と治療方針のもとに歯を移動させるとともに、咬合干渉や悪習癖など矯正装置以外の要因にも十分配慮することが重要である。

    演者は長期安定症例の観察から、口唇閉鎖不全のない良好な側貌とアンテリアガイダンスを備えた咬合が長期安定のために必要であると考えてきた。本講演では、これら2 要件をII 級1 類症例の治療目標に組み込み、治療後の長期安定を獲得するための“6 つのKey”について述べる。すなわち、①習癖に対する患者啓発、②口唇閉鎖不全のない良好なプロファイルの獲得、③適切なアンテリアガイダンスの確立、④長期安定のための矯正学的ルールの遵守、⑤大臼歯の遠心・圧下移動に過度に依存しない治療方針、⑥保定装置の設計と保定管理への配慮である。

    さらに、安定症例の保定管理は重要であるが、アンテリアガイダンスの喪失や臼歯部咬合の崩壊が危惧される後戻り症例に対し、習癖への患者啓発や保定装置を兼ねた適切な形態のスプリントを用いた術後管理を行うことも極めて重要である。このような不安定症例にも術後対応を続けることが、患者に長期的な安心を提供する術後管理につながり、ひいては矯正歯科治療が国民に信頼される医療として認められることに繋がると考えている。

    本講演が、II 級1 類症例に対する治療戦略の立案と術後管理の実践における一助となれば幸いである。

     

     

     

  • Welcome to Japan!

    今年の Angle meetingから帰って間もなく、Midwestの Dr. Jing Zhouから連絡があり、5月に松本に行くので会えるか、とのこと、もちろん大歓迎だよ、と返事しました。

    Zingは West China University of Medical Sciences(中国、四川大学華西口腔医院)を卒業後、Indiana Univ.に入学、Master course修了〜 Ph.Dを取得され、University of South Carolinaで 10年間  Professor & Program Directorをされ、現在は South Carolinaの Johns IslandとNorth Charlestonで Sweetgrass Orthodonticsという矯正専門の医院を開業しています。もちろん ABO holderです。

     

    Jingが言うには、私が Midwestに Applyした時から毎回、私が presentationした Caseを全てチェックしていたらしく、すごく難しい症例なのに 凄く綺麗に治っているということに驚いた、Fileを見て、全ての症例が上下リンガルで治療されていて、外側には何一つ装置が付いていないので、2度驚いた、とのことでした。

     

    私は European Boardや日本矯正歯科学会など、講演やプレゼンするときには、外側からの矯正ではなく、全てLingual、舌側矯正オンリーです。

    理由は、外側のマルチブラケットで治せるのは矯正専門医として当たり前、Hiroはベテランの矯正専門医でも出来ない舌側矯正でキチンと治せる技術を持っている、ということを世界中の先生に見て頂くのが目的だからです。

    なので、アライナー矯正とか、ハイブリッド・リンガルなどどいう誰でも出来る事には全く興味がありません。

     

    通常、海外から来られる先生には、ひろ矯正歯科にもご案内し、Lingualの治療を見学して頂いているのですが、今回は娘さんと一緒にいらっしゃったので、診療見学は無し、次回は診療見学をしたいとのことでしたので、welcomeだよ、とお話ししました。

     

    晩御飯には、寿司〜天麩羅のフルコースに御招待しました。

     

    訪日は今回が 2度目で、今回娘さんとは安曇野でサイクリング、松本城では着物を着て記念撮影をされたようで、信州での旅行を満喫されていたようでした。

    Jingは英語、中国語、フランス語が普通に話せます。

    海外のいろんな先生達と話していると、中国、韓国、台湾の先生達の優秀さには到底ついていけないと感じます。

    Jing, see you soon!

     

     

    2026年1月の Angle meetingにて Jingと

     

    2026年1月の Angle meetingでは、Texas San Antonioで開業する Dr. Drew Fallisが Gala dinnerのあと声をかけてくれました。

    Angleは退会しようかなと思っていたのですが、Long term stabilityの presentationをしたあと、何人かの先生が素晴らしい、と声をかけてくれ、少し友達が増えて来たかなと思いますので、もう暫く続けます。

     

  • Angle Midwest meeting in Tucson

    E. H. Angle Societyの Midwest Annual Meetingが Tucson AZで行われましたので参加、Long term stabilityについて講演しました。

    そうです、 2024年12月の長期安定矯正研究会で講演したあと、酒の席でさんざん私の悪口を言いまくった上に、あろうことか、SNSで「長期安定と長期保定は違う」と騒ぎ立てたアフォ(こうゆう言葉は使いたくないのですが、還暦も過ぎて 2つも医院を経営している者が全体公開の SNSで、誰のことを指しているのか容易に特定が可能な状態で悪口を書くというのは、幼稚なアホだと思います)がいましたので、あの時の LTSOAと全く同じPPTを矯正大国アメリカの Angle meetingで発表したら、世界の矯正歯科界をリードする先生達はどう考えるのかを見ることが目的です。

    「長期安定と長期保定は違う」という意見が一人でも出ればあのアフォの言っていることが正しくて私の負け、そうゆう意見が一人も出なければ私の勝ちでアフォの負け、ということになります。

     

    さらに、下顎犬歯間幅径を拡大してはいけないという、矯正学の大原則として教えられて、今も世界中の矯正医が信じていることが、じつは間違っているということ、そして下顎埋伏智歯の抜歯をしなくても下顎前歯の叢生の後戻りには影響が無いということ、後戻りを防ぐには臼歯をどのように排列すれば良いのか等々について、私の考えをAngle Societyでプレゼンしたら、世界の一流の先生達はどう反応するのかを見るのが目的です。

     

    今回の私の発表は、Scientific researchでもなければ、Case presentationでもありませんので、文献的考察もなければ、症例の分析値や診断結果、術前術後のセファロの重ね合わせもありませんので、予めそのことは Discusserに連絡した上で発表しました。

     

     

    Angle学会では、演者のプレゼンのあと、Discusserがその演者の口演内容について、コレはこうだ、アレは違うと、事前に Discusserに送った PPTの内容について詳しく調査検証した結果を報告するのです。

    入会した時には、なんという恐ろしい学会だ、と思いましたが、いい加減な発表は許されない、ということです。

    今回の私の Discusserは、Dr. Toru Deguchi、恩師の出口敏雄先生のご長男で、Univ. of Louisvilleの現役の Professorです。

     

    Prof. Deguchiからは、まず、私のプレゼンに対して、舌側矯正でここまでキチンと治していることに驚嘆と賞賛のお言葉を頂きました。

    そして、20年以上もの長期に及ぶフォローアップを続けていることについて、それほど長期間のフォローアップを一体どうやって行っているのか、アメリカでは考えられない(お金にならないから)とのお言葉を頂きました。

    これはアメリカだけでなく日本でも同じで、ひろ矯正歯科では、保定の患者さんが来院する毎に観察料として 2,200円、或いは 3,000円頂いていますが、来院された患者さんの噛み合わせやリテーナーの不具合をチェックし、問題があれば修正し、歯石除去や歯のクリーニング等を行いますので、医院側のコストは最低でも 30,000円ほどかかりますので、長期保定を行うということは大赤字なのです。

    それでも私は一生懸命治療に通ってくれた患者さんのためにボランティアで長期保定を続けていますので、医院経営の観点からすると、あり得ない話なのです。

     

    長期保定に関しては、ひろ矯正歯科では、初診時、診断時、リテーナーセット時、治療終了時、治療終了から2年半経過時、3年経過時、と、最低でも6回は説明をしていますが、それでも、患者さんの中には「いつまでリテーナーを付けておかないといけないのか」とか、「いつになったら外してくれるのか」と言う人がいます。

    そういった人に対してまでボランティアを続ける必要は無いと思いますので、そのような患者さんは、再度後戻りの説明をしてからリテーナーを除去し、経過観察も打ち切りとしています。

    外したいという患者さんの中には、一般歯科で「外さないと虫歯になる」、「歯周病になる」等々言われ、それを信じて外してくれと言う人もいますが、リテーナーが付いた状態でフロスや歯間ブラシを使う事が出来ますので、お教えしたとおりにキチンと手入れをして頂ければ、虫歯や歯周病の心配はありません。

    何年もリテーナーが入っている状態でキチンとメンテナンスされているのに、虫歯になるという歯医者は口腔清掃に疎い歯医者に違いないと思います。

     

    話を学会でのプレゼンに戻しますと、Discusserの Prof. Deguchiからは Technical questionとして、

    1. Buccal crown torqueはどうやってコントロールしているのか、V-bendsかRCOSか?
    2. Wireの種類とWire sequenceは?
    3. 他にExpanderやHGやTADsやTPAは使っていないのか?
    4. 前歯のRetractionはどうやって行っているのか、loopsなのかslidingなのか?
    5. どうやって Biteをsettle (detailing)しているのか、Up-down elastics?
    6. Transverseはどうやってmaintainしているのか?
    7. Arch coordinationはどのように行っているのか?
    8. それぞれの症例のsuperimpositionsを見たい
    9. Molar intrusion/extrusionなのかincisor intrusion/extrusionなのか
    10. Bite plane effectは?
    11. Retractionの際の上顎前歯のtorque controlはどうやって行っているのか?
    12. Anchorage value はCortical bone anchorage?
    13. Retention中の一般的な変化は?
    14. Lingual bracketsのタイプの違いによる効果は?
    15. Retention protocolsは異なるのか?
    16. Soft tissue の変化は?

    などの質問がありました。

    1~6,8,9,11,16は今回のプレゼンの目的から外れますので説明しませんでしたが、今後の大会で Case presentationを行い、そこで説明する予定です。

    7は Lingualでは Arch Wire Coordinationは無意味であるということは既に過去の大会で発表済み(その時は確か Deguchi先生はK先生と帰られて会場に居なかったように記憶しています)、10は使いませんし使ったらダメです、12はプレゼンで説明したとおり Cortical bone anchorageではありません、13は Horizontal, Verticalなrelapseが見られる症例があります、14は私はオリジナルの mienai bracketsを使用しており、この bracket以外では良好な治療結果が得られません。CAD/CAMの装置や他社のリンガルブラケット、特に self ligationは使いません。これは過去に使って2度と使いたくないとウンザリしたのが理由です、15は全て画一的ですが、deep bite症例に対しては bite plate付きの Circumferential typeを夜間のみ使用することがあります。

     

    そして、

    1. Normal OJ & Ob の症例に関しては、非常に良く安定している
    2. 僅かに上顎前歯がflareし、overbiteが増加しているように思われた
    3. Deep overbite caseでは、前歯のflaring, A-Pの変化とOBの増加が見られた
    4. 開咬症例では、非常によく安定している

    という評価を頂きました。

    1,4は私もそう思います、2,3は実際にはそうではありません。

     

    Conclusionでは、

    1. Lingual applianceによる治療の長期経過では、以下の3つの傾向が見られた
    • Flaring of maxillary incisors
    • Mesial drift of maxillary canine
    • Increase of overbite
    1. Cases with normal A-P (overjet and overbite) and open bite cases seems to be stable in lingual cases in the long term
    2. Deep bite and Class II (increased overjet) cases tends to relapse in lingual cases in the long term

    とのことでした。

    1-①、②は、そうではありません、③はそうゆう症例もあります、2はそのとおり、3はそうゆう症例もありますが、長期にわたって戻らずに安定している症例もあります(Labialなので今回は提示しませんでした)

     

    私の Summaryに対する見解は、

    • 過蓋咬合を浅く仕上げる:過蓋咬合の良好な治療結果は fixed retainersと removable upper plateの使用によって deep biteの再発は最小限に維持される
    • 開咬症例を深く終了する: 文献的には10年間の follow upで30%が開咬を再発している。Lingual applianceは舌位を改善し、安定させる傾向がある
    • 捻転歯の Over correction、Septotomy に関する Evidenceは乏しい
    • 水平埋伏智歯に関しては前歯部の叢生とは関係無いという研究論文もあるが、影響ありという報告もある
    • Lingual は labialよりも安定しているかという点に関する文献はみつからなかったが、2年、5年、10年という期間での異なった種類の不正咬合に関する定量的観察は見られた

    とのことでした。

     

    そのあと、会場の 2名の先生から質問がありました。

    1人目、Michiganの Dr. Oppenhuizenは、私が Deep bite case の retentionに関しては、Clear retainerは臼歯部の離開を招き、Deep biteがrelapseする原因になるので使うべきでは無い、Circumferential typeの Retainerに Bite planeをつけて Fixedの上から就寝時のみ装着すると良いと言ったのに対し、彼は Clear retainerの7番部分のみを Cutして装着すると7が挺出してきて Deep biteのrelapseを予防できる、という意見でしたが、私はこの方法には賛成できません。なぜなら、clear retainerは咬合調整されておらず、咬合接触が不均一なので、咬合が狂ってくることがわかっているからです。さらに Deepbiteの治療は臼歯を Extrusionさせるのでは無く、前歯を Intrusionさせなければならず、それは保定に関しても同じだと考えるからです。

     

    2人目は Wisconsinの Dr. Liu、私の医院の患者の年齢層に関する質問で、ひろ矯正歯科の患者さんの 50%は成人で、60台後半の方もおみえになるとお答えしました。彼のもう一つの質問は、日本の LTSOA研究会の詳細を教えてくれとのことでしたので、LTSOA Presidentの明海大学歯学部歯科矯正学講座教授 須田直人先生が会場におみえになりましたので、須田先生に振りました。

    須田先生は、LTSOAの目的は機械的保定に頼らずに舌圧と口唇/頬圧で歯の安定を期待する、という回答でしたが、この概念は 今から 70年以上も前、1952年に Brodieらが Buccinator mechanismとして提唱しており、矯正歯科以外の分野でも Neutral zoneとして知られています。

    私の意見は、繰り返しになりますが、治療後の stabilityとは、前歯の叢生の後戻りだけではありません。

    • 2級/3級治療においては、2級/3級に戻らずに安定していること
    • 開咬治療では開咬が再発せずに Biteが安定していること
    • Deep bite症例では、Biteが深くならずに安定していること

    などなどが維持されていて、初めて安定と言えるのだと私は考えます。

    Crowdingの relapseだけならば、daidzeinに関する研究が行われていますので、その研究を進めるべきではないでしょうか。

     

    これらの公開質問のあとも、会場では数名の先生から個人的に質問を受けましたが、あの SNSに書き込んだアフォと同じレベルの先生は一人もいませんでした。

    SNSでは「见贤思齐焉」と評してくれた先生もいました。

    South Carolinaの Dr. Zhouです。これは、孔子の『論語』に由来する言葉で、「優れた人物に出会ったら、自分もそのようになりたいと努力・見習うこと」を意味するそうです。

    良かれ悪かれ、SNSで書かれるのはあまり好きではありませんが、結論として、Discussorの Prof. Deguchiからも、会場にいた先生達からも、誰一人として「長期安定と長期保定は違う」という意見は出ませんでしたし、アフォに「いいね」するアフォも居ませんでした。

     

    Univ. Paris Vの Professor、Dr. Guillaume LECOCQ, 僕が Sponsor となって Midwestに Applyされました。

     

    今から36年前、C.H.Tweed courseを受講した時と、

     

    今の私です。

     

    アメリカに着いたら必ずホテルのバーでハンバーガーを食べます。

    何処のホテルでも、ファストフードのハンバーガーとは全く違って、凄く美味しいです。

     

    ホテルにはゴルフコースが併設されており、プレーしている先生もたくさんいました。

    僕もラウンドしたかったなあ、、。

     

    Tucsonと言えば、サボテンです。

     

     

     

    滞在中、恩師の出口敏雄先生の弔報を受け取りました。

    これについては、長くなるので別のブログで書きたいと思います。

     

    次回の Midwest meetingは、2027年1月29日~2月3日、Puerto Ricoで行われますが、、、Puerto Ricoまでは行けないなあ、、アメリカは広いのにわざわざそんなところでやらなくても良いと思うんですが、、。

     

     

     

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