menu
MENU

院長日誌

  • MDU卒後研修セミナー

    MDU卒後研修セミナーで、東京都千代田区開業の武田孝之先生がインプラントについて講演されました。
    武田先生は1990年に東京・千代田区で開業され、現在は日本補綴歯科学会指導医、日本口腔インプラント学会認定医で、国内だけでなく海外でも知られているインプラントの第一人者です。
     

    武田孝之先生
     
    講演では、20年以上に及ぶインプラントの経過を多数見せていただき、矯正専門医の私はインプラントに対する認識を新たにさせられました。ただ、誰でもが武田先生のレベルで治療できるわけではないので、患者さんに無条件でインプラントを薦めるというわけにはいきませんが、、。
    講演を聴いていて「さすがだな」と思ったのは、普通の開業医の話は ただ写真を見せて、「治りました」の羅列、「~~だと思います」など、私見を述べるのみで、学術的バックグラウンドがない先生が多いですが、武田先生は必ず学術雑誌の referenceを提示しておられました。
    さらに、講演中、受講者の先生に対して「文献を読むならば商業ベースの雑誌ではなくて、学会誌を読んで下さい。」と仰ったことです。
    これには全く同感です。
    開業医の中には、歯界展望だとか、クインテッセンスなどの商業ベースの雑誌ばかり読んで、患者さんに試してみる先生がいます。
    これらの査読制度も何も無い本に書かれていることを鵜呑みにして、治療にあたるというのは絶対にやってはならないことだと思います。
    週刊誌と同じで、売れそうな記事であれば載せるのが商業ベースの本だからです。
    そうゆう本を読むこと自体が罪だ、とは言いませんが、そうゆう雑誌を読むならば、少なくとも査読制度のしっかりしている学会誌などから得た知識を十分に持った上で 読むべきだと思います。でないと、書かれているのが間違った情報かどうかが分からないです。
     
    さらにもう一つ共感したのは、インプラントに関しては成功か失敗かという議論が常についてまわりますが、武田先生は御自身で治療に対する成功・不成功の判定基準をしっかりと持ち、厳格に判定されて診療に取り組んでいらっしゃるということでした。
     
    Distraction Osteogenesisをはじめとする質問を3つさせていただきましたが、一つ一つとても丁寧にお答えいただきまして、感激しました。
    武田先生、お忙しいところ遠路はるばるお越し頂き、素晴らしい講演をありがとうございました。
     

  • 2002/11/18

    M-Orthを受験、全て舌側矯正の治療結果を提出して無事合格 !!

    11月14-16日 香港にてM-Orth RCSEd/CDSHK conjoint examinationが行われました。
     
    正式には、Membership in Orthodontics of the Royal College of Surgeons of Edinburgh / The College of Dental Surgeons of Hong Kong と言います。
     
    日本ではM-Orthというのはあまり知られていませんが、オーストラリアやヨーロッパの矯正専門医の先生方の間では、持っていれば必ず名刺の肩書きに書いてある権威あるものです。
     
    今回は日本からのcandidate3名を含め、総勢17名でした(そのうち7名は大学のProfessor !!)。
     
    飛行機はいつものごとくJALの悟空21、エコノミーで1人名古屋空港をあとにしました。
     

     
    香港国際空港から市内までは、Airport Expressにて移動。市内まで90HK$。
     
    安くて速くて綺麗です。
     
    日本のNaritaなどを考えると恥かしい限りです。日本は真剣に考えないと、絶対に世界に置いて行かれます。
     
    この試験はPart I と Part IIからなり、Part I exam. は Basic dental sciences に関する Multiple Choice Question paper と Multiple Short Answer questions が3時間、さらにHuman diseaseを含んだ Typical basic dental problems に関するClinical examinationが60分、さらに 上記のM.S.A.と矯正臨床についての Oral exam.が 30分間行われます。
     
    これら一般歯科についての試験は、「矯正専門医は矯正の事だけしかわからない、というのでは、優れた矯正治療は出来ない。一般歯科の知識についても、秀でていなければならない」という考えのもとに設定されております。
     
    Part II exam. は
     

    1. 矯正歯科一般に関するWritten exam. が3時間
    2. 用意された患者さんのRecordsを使って、診断・治療方針を立案し、提示した診断・治療方針とそれに関連する事項についての口頭試問が1時間
    3. 矯正歯科に関連する全ての事柄に関する口頭試問が30分間
    4. 全て自分で治療したRecordを5つFilingして提出、診断・治療経過や、治療に関連する事項についての口頭試問が30分間
    5. 大学病院で2人の患者さんを実際に使って、診断・治療方針の立案を行い、治療方法の詳細や、起こり得るあらゆる問題についての詳細な口頭試問が30分間

    の5つから成ります。
     
    Part I exam. のEquivalentを有する Candidatesは、Part I exam. は免除されます。
     
    自分はPh.Dを持っているために Part II のみを受験しました。
     
    第1日目
     
    Hong Kong島のAberdeenにあるHong Kong Academy of Medicine で行われました。
     

     
    会場に到着すると、香港大学のcandidatesがすでに来ているので、暫く話していると恐ろしく英語が Fluentな彼女がいる。
     
    もともとイギリス領であったホンコニーズの英語は抜きんでているが、話すスピードといい、発音といい、文法と言い、香港人の英語とは明らかに違う、、。
     
    聞いてみると、ロンドンで生まれて、数年前に両親が香港に転居したので、現在香港大学で勉強しているとのこと、、
     
    ヒエ~~ッ!!
     
    かの有名な北京大学の矯正科の先生達や上海第2医科大学の矯正科の教授などもいる、、。
     
    こんな人達と一緒に試験を受けるのかと思うと、だんだんビビってきました、、、。
     
    もっと勉強してくれば良かった、、、。
     
    暫くすると、examinerの先生方がお見えになり、Candidate No.の指示に従って自分の治療したFileを提出。
     
    自分は5症例すべて舌側矯正で治療したrecordを並べる、、、フ、フ、フっ。
     

     
    午前中は、矯正歯科一般に関するWritten exam. が3時間行われますが、大学のprofessor達と日本のPh.Dを持っている者はwritten examは免除ということになり、午前中はフリータイムに。
     
    フリータイムを使って勉強しようにも、落ち着かないので外に出かけることにしました。
     
    こうゆう事はマカセテおくれ。
    そう言えば、ここに来る途中に Floating restaurantの看板があった。
    気になっていたんですよ。
    タクシーに乗ってワンメーター走ると、目的のレストランを見つける。
    本当に浮いている。
    船だ!!
     

     
    そこまでは連絡船で行くらしい。
    迷わず連絡船に飛び乗り、昼食を食べました。
    安くて美味しかった、、。
     
    満腹の腹を抱えて、タクシーを拾って試験場に戻ります。
     
    午後は自分の治療したファイルを見ながらの Oral Exam.
    1人の先生の英語はほぼ100%理解出来て答えられたが、もう1人のイギリス人らしき人の英語がイマイチよくわからない、、、。
    英語と米語はこんなに違うのか、、ただ単に僕の英語力が足りないのか、、、と、唖然としながら、examinar の質問の内容をこちらからもう一度 repeatしてから答える。30分がアッと言う間でした。
     
    第2日目
     
    会場は、同じくHong Kong Academy of Medicine。
    この日の午前中は矯正歯科のあらゆる項目についての口頭試問。
    自分の番が近づくにつれて心臓が暴れる、、。
    何本か缶コーヒーを飲んで気を紛らわしていると、”Candidate Number 13 !” と呼ばれ、いざ出陣。
    幸いにも試験官の1人は、昨日の英語が分かりやすかった先生。
    ホッとしたのも束の間、歯科理工学に関することから、病理組織学に関すること、解剖学に関すること、成長予測に関することやら、矯正学の歴史に関することまで、難問が機関銃のように飛び出す、、、
    ひえ~~っ!!
    なんとか無事に答え、午前中は終了。
     
    お昼は再び昨日のFloating restaurantに。
    昨日と違うものを食べるが、安くて美味しい~~。
    試験中とあって、ビールが飲めないのがつらい、、。
     

     
    午後は臨床試験。用意されたRecordを見る時間が10分、それについてのOral exam.が10分。3症例なので、計60分。
    これもまた難しい問題ばかりを集めてくれましたが、何とかクリアしたという手応えはアリ。
     
    第3日目
     
    いよいよ最終日。
    今日の試験は Prince Philip Dental Hospitalの矯正科で、実際の患者さんを使って行われる。
     

     

    Prince Philip Dental Hospitalの矯正科
     
    5分間患者さんを診査したり、資料を見る時間を与えられ、計30分間で2人診た後、別室に案内され、口頭試問。
    自分の担当試験官は、M-Orth 試験の最高責任者である Edinburgh 大学の McDnald 先生と北京大学のZeng Xiang-Long 教授。
    プレッシャーを感じつつも、感動したのは2人ともすごくにこやかで、笑顔を絶やさない。
    聞き方も優しい。
    Gentleとはこの事を言うんだなあ、と、これだけでも得るものあり!
    試問には無事答えることが出来て、試験終了!
     
    3時半に合否の発表があり、会場に来てみると、先生方がみんな優しく、笑顔で合格者を迎えてくれて、一人一人握手してくれる。
    なんだか込み上げてくるものがあり、もう少しで泣いちゃうところでした。
    そう言えば、こんな試験、もう何年も受けていないもんなあ、、。
    毎晩2時まで頑張ってよかった!!
     

     
    その夜は Cocktail party と Dinner が Hong Kong Country Clubで行われた。
    examinarの先生方とワインを片手に話し合い、盛り上がった。何人もの examinarが、自分の提出した舌側矯正の治療結果は素晴らしいものだった、と言ってくれると、本当に嬉しかった。
    途中、何度かめげそうになったけど、頑張って本当に良かった!!
     
    最後に、受験にあたり自分を推薦してくださった恩師の出口先生、本当にありがとうございました。
     

  • 第61回日本矯正歯科学会大会開催さる

    10月22-24日、名古屋国際会議場にて第61回日本矯正歯科学会が開催されました。
     

     
    日本矯正歯科学会はその名の通り日本で最大の矯正歯科学会ですが、ここ数年、あまりimpressiveな演題がなく、参加意欲があまりわかないのが正直なところでしたが、今年は Implant anchorage ならびに Distraction osteogenesis に関する演題が多く、たいへん実のある話を聞くことが出来ました。
     
    Implant anchorageを利用した矯正歯科治療は15年くらい前から報告されておりましたが、殆どは口蓋部分にボタン大のものを打ち込んで行われたもので、矯正治療中に炎症を起こしてしまったり、術後の骨欠損が大きく認められたり、さまざまな問題がありました。
     
    ところが最近では、Berlin の ESLO で KOREA の先生が発表されていたように、小さなスクリューを下顎枝や上顎結節舌側部分にねじ込んで行われており、operation に要する時間も数分間と短く、術後の疼痛や骨欠損も全く問題のないところまで改善されてきております。
     
    Distraction osteogenesis に関しては、香川県の三次正春先生の講演と、VenezuelaのCesar A. GUERRERO先生の特別講演は大変ためになりました。
     
    Distraction は、今までは Distractorを入手すること自体が困難であったり、費用的な問題や、手術時間の問題など、問題山積でしたが、この先生方の講演を聴いて、これからの矯正歯科は Implant anchorage ならびに Distractionを併用することは不可避であると感じました。
     
    この2つを併用することで治療範囲が飛躍的に広がります。
     
    私たち矯正専門医は、口腔外科医とタイアップして、これらについていつでも対応出来る環境を整備する事が必須であると思われました。
     
    また、今まで私は Corticotomyに関してもどちらかというと否定的でしたが、今後は必要があれば行うべきであると、また同時に、それを行てくれる口腔外科医の確保が必要であると感じました。
     
    学会あけて翌日25日は、名古屋中小企業振興会館にてインプラント矯正研究会が開催されました。
    研究会の趣旨そのものも、たいへん共感できるものです。
     
    日本にこうゆう研究会がもっと増えるべきだと思います。
     
    日矯学会~インプラント矯正研究会まで、4日間フルに勉強させていただきました。
     
    貴重な講演を聴かせて下さった先生方、ありがとうございました。

1 49 50 51 53
to top