2026年 6月 4日、第34回 日本成人矯正歯科学会学術大会が神戸国際会議場で開催されました。
自分は思うところあってこの学会は退会したのですが、本大会ではアメリカから出口徹先生が「米国矯正歯科大学におけるデジタルシステムの応用について」という演台で講演されるので、アメリカでの現状を聞くために、Toru先生の講演を聞くことを目的に非会員として参加しました。

会場入り口では小谷田先生とバッタリ!
小谷田先生は親分肌で、人望に熱く、弱きを助けてくれるお方です。
久しぶりにお会い出来て嬉しかったです。
お元気そうでなによりでした。

小谷田先生の執筆された舌側矯正の本は必読です。
まだ読んでいない方は、是非、購入してください。貴重な財産となります。

会場にて。聞くだけで発表がないと気が楽です。
Toru先生の講演について記します。
現在、米国のほとんどの歯科大学において、Intra Oral Scannerや 3D Printerを用いた矯正歯科臨床が行われており、さらには A.I.を用いた自動診断システム、IOSを用いた Indirect Bonding System、Facial Scannerや CBCTを用いた 3D 診断、Digital Softwareを用いた Anchorや Maxillary Skeletal Expansion、Direct Printでの In House Alignerなどが行われています。

Dr. Toru Deguchiです。金髪・長髪はトライアスロンのせいでしょうか?
研究面においても、A.I. 関連のテーマが大きな割合を占めており、Louisvilleでも以前より、A.I. を用いた自動頸椎成熟度(Cervical Vertebral Maturation Stage)認識システム、歯槽骨欠損部位自動認識システム、自動埋伏犬歯位置同定システムなどの研究を行っている、さらに、In House Alignerの臨床効果、混合歯列期における Aligner矯正治療の効果、ならびに Direct Print Alignerの機械的・化学的特性に関する研究も進めておられ、Anchor植立の Simulation、外科的矯正治療の Simulation教育は VRを用いて行っているとのことでした。
アメリカでは被曝の問題で CBCTを撮る機会が少ないそうで、Louisvilleでは埋伏か外科矯正以外は撮らせて貰えないそうですが、大学によっては全症例撮るところもあり、Southwestや Minesotaでは全症例撮っているとのことでした。
当然患者さんには研究目的であるということを説明し、同意を得た上で撮影されているのですが、この「患者さんの同意書を貰う」というのがなかなか厄介な仕事で、例えば、ひろ矯正歯科では、治療開始時に資料の公開に関して同意を頂き、サインを頂いているにもかかわらず、専門医試験などで同意書にサインをお願いすると、断る患者さんがいます。
事前に了承し、同意を得ているのに、です。
断られると、正直、アレな気分になります。
研究に関しても同様で、IRB(Institutional Review Board)を得なければ、患者さんが絡んでいる研究論文は書けません。
私も書きたい論文が 5つほどあるのですが、この IRBと患者さんの同意書を取るのが面倒なので、お蔵入りしてしまっています。
この書きかけの論文について、Toru先生と共同執筆で仕事をしたいと思い、お話しをしたかったのですが、講演後、あの非常識な Dr. SNSがず〜っと張り付いていたので、諦めて別の機会に相談することにしました。
話を戻します。
アメリカの大学では、Oral Scannerの使用は 70%で、20%の大学は Digital Set Upは全く使っていないそうで、使っている大学でも全症例の約40%ほど、3D Printerは 30%の大学が持っていないそうで、残る70%の大学の中の 10%のは全症例 print outしているとのことでした。思ったより低い数字で驚きました。
私も 20年ほど前に IOSを導入して Lingualの set upも virtualにしようと考えていたのですが、ひろ矯正歯科では、今も Alginate印象を行っています。その理由は、IOSを導入することで医院から Alginateや石膏がゼロになるのならやりますが、Activatorや L.A.など、どうしても石膏模型でないと出来ない Lab. workがあります。
L.A.は Bandせずに ST Lockを DBSして、口腔内で directに曲げる方法で数十症例行いましたが、早期治療の若年者では壊してしまう患者さんが多く、今は従来通り Banding、印象を採って作っています。
Chair timeに関しても IOSで scanして PCで data処理するよりも Alginateで採った方が全然速いので、Digital化のために無駄な設備投資をして、診療時間を延長し、無駄な事をやっている、そのコストは患者さんに跳ね返ってくるということになりますので、見送りました。
Alignerに関しては、全くやっていないという大学もアメリカにあり、やっている大学でも 60%が 8症例以下、In house Alignerについては 40%が経験無しで、授業でも Alignerを教えていない、その理由はちゃんと教えられる出来る先生がいないから、とのことでしたが、アメリカやヨーロッパでは、大学には Clinical Professorがいて、この人達はみな開業して成功している人が facultyになって学生達に教えに来ているわけです。
アメリカの開業医の96%は Alignerを使っている、しかも 30%は in houseとのことですから、ちゃんと教えられる出来る先生がいないんじゃなくて、競合相手を作りたくないので教えない、っていうことだと思います。
ちなみに、アメリカでは、
とのことでしたが、1、2は適応症をわきまえている、と言って良いと思います。
5はオカシイと思います。
例えば、ひろ矯正歯科では、Deep bite症例には殆どの症例において Utility Archを使いますが、これは上顎前歯の圧下を最も確実に行うことが出来る方法ですし、Alignerでは臼歯だけが接触して前歯は離開、その結果、臼歯部の開咬が起こるというのは周知の事実だからです。
Cephalogramの自動解析は、日本でも随分前から市販されていますが、Porion、Pogonion、L1などが間違って計測されていることが多いとのこと。
レントゲンが Digitalになって画像が鮮明になり、Scannerの感度が良くなり、AIが使われているにもかかわらず、20年ほど前と何も変わっていないのには驚きました。
私は、分析に関しては、レントゲンを自分の目でトレースをして、PCへも手入力しており、自動計測は使っていません。
自動計測だと、マシンが読み込んだ計測点を 1つづつ全て目視でチェックして、間違っている計測点は修正して、計算をやり直さなければなりませんので、そんなことをしているよりも、手入力の方が断然速く、間違いもなく確実にプロット出来るからです。
少し Digitalをカジッている先生は、そうでない先生のことを「遅れている」だの「アナログ」だの馬鹿にしますが、例えば、この Cephalo分析なども良い例です。
Digital化、自動化してメリットがあればわかりますが、そうで無いならやっている事は無駄以外の何物でもありません。
インドの優秀なドクターが Lingualの Virtual set upを1症例作るのに 1日かかるらしいですが、Manualでやれば 2時間程度で終わりますので、Digital化して、費用もかかる、時間もかかる、しかも出来上がったものはお粗末ならば、何をやっているんですか、ということです。
これを読んで、またヒロが何か言ってるぞと言う先生、Hybrid Lingualなどというインチキリンガルをやっていないで、私以上の結果を出して見せて下さい。
究極のLingualの Lab. workに関しては、理想的には2018年のDGLOで発表したとおり、Oral Scannerの dataを CBCTと combineして、PC上で Virtual set upを行い、そこから millingや castで Custom bracketを作るのではなく、Hiro bracketsやMienai bracketsのような Readymade Bracket に Compositeの Custom baseと Individual Trayを millingで作るという方法です。
なぜなら CAD/CAMを用いた Custom Bracketsは slotが粗造で space closeに時間がかかるということがわかっていますし、私の提案する方法だと Tie wingの形状に関する問題もクリア出来るからです。
Toru先生曰く、IBSに関しては、Manual、Digital、AIを比較して、ManualよりもDigital、AIが良好な結果を出しているとのことでしたが、これは Methodologyに問題ありです。
つまり、一般的に行われている Soft trayを使った IBSと Hiro system(弾性の無い個歯トレーでのIBS)の比較をして頂ければ、Hiro systemがダントツに精度が高いことは明らかです。
なぜなら、多数歯を一度に bondingする Soft trayを使った方法では、隣在歯との位置が変われば Tray は不適合になるので、例えば、Impression/Scanをしてからsetまでの間に抜歯したり bandingなどをすると不適合になるのですが、Hiro systemでは、隣在歯との位置関係には影響されませんので、精度が落ちることは無いからです。
また、Soft trayを使った IBSでは、tray保持の状態が悪いと trayが変形し、bracket positionが狂ってしまいますが、Hiro systemではこういった errorとも無縁です。
Hiro systemと soft trayでのIBSの精度を比較した研究が20年ほど前にUniv. Parisで行われており、Hiro systemのほうが抜群に高精度であるということを Prof. Alain Deckerから聞きましたが、彼が死んでしまって、そのpaperはお蔵入りになったようです。
これを読んだら、またもや あのイタリア人と日本人のペアが Hiro systemは精度も劣り時間もかかる、というペーパーをJCOあたりに出してくるだろうなと思います。
ちなみにこの 2人は、私が世界で初めて EBOに全症例 Lingualで合格したことや、世界で初めて ESLOの Titularに選ばれたことを妬んで、私をトップの座から引きずり下ろすことを目的として、講演でもいろんな妨害を行い、IBSは Hiro systemを改悪して Ko●●on baseなどという方法を世界に広めようとしましたが、結局精度が出ずに治療結果にまで影響したため、 Ko●●on baseを延長して切縁/咬合面の一部を覆って、bracket接着後にそこを切断するという方法を使っているようですが、これは私が日矯歯誌で論文にした原法とまったく同じで、何をやっているのかと笑ってしまいます。
ちなみに、AIで調べると、Hiro systemはブラケットが外れた時の rebondingが出来ない、と解説していますが、これは間違った情報で、Hiro systemは Jigを有していますので、rebondingに対応しており、bracketが外れたり紛失したりしても何ら問題は無く、容易に再製作・再装着が可能です。
最近、材料各社がIBSのオーダーを受けているようで、OrmcoではOral ScannerのdataとCBCTのdataをcombineさせてIBSを作る試みが行われており、CBCTを使った方が torque, angulationの controlが良好であるという結論でしたが、当たり前のことで、インドでは私の知る限り15年ほど前から行われていますので、今更感があります。
長くなりましたが、今後、Digital、AIが発展すると、どうなるか、考えてみました。
Digitalや AIが発展すると、その結果として、
等々の実害が出ます。
パソコンや携帯ばかり使っていると、漢字が書けなくなるのと同じです。
私は、必要な部分は digital化しますが、この先も、私にしか出来ない治療をしてゆきたいと思います。

学会前日に神戸入りしましたので、有馬温泉を散策、に金の湯と銀の湯に入りたかったですが、また今度。

温泉街では賞味期限 5秒の炭酸煎餅と金箔アイスを頂きました。

神戸市内のホテルにチェックインして、美味しいビールを飲みにモザイクに向かいました。