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院長日誌

矯正学

  • 松本歯科大学にて歯学部4年生に舌側矯正の講義

    コロナ以前は、ヨーロッパの国際学会パリ大学に招かれては、大学の教授や先生達を相手に舌側矯正の講演をすることを楽しみに感じていましたので、辞退すること無く快諾しておりましたが、コロナが蔓延してからは、出入国の関係から全ての講演依頼を辞退しております。

    海外に出向いて、万が一にも入国時に隔離されて、予定どおり帰れなくなったら、来院予定の患者さんにたいへんな迷惑がかかるからです。

     

    日本では9月から帰国時の対応基準が大幅に緩和され、現在ではコロナ以前とほぼ同じように出入国が出来るようになりました。

    そのニュースを聞いたのでしょうか、来年6月にフランスの Le Touquet-Paris-Plageで CEO学会が開催されるので、特別講演をしてくれないかと、大会長の Dr. Guillaume Lecocqから頼まれました。

     

    CEOは2011年に 故 Alain Deckerを驚かせるためにフランス語で講演し、会場から standing ovationを頂いた思い出深い学会です。

    最近では、2019年に Nantesで講演させて頂きました。

    フランスとフランス人が大好きな自分にとっては、有り難いお話しです。

     

    来年6月なら、今から半年以上も先だから、おそらくコロナ関連の状況は相当改善しているでしょうが、万が一、ドタキャンしないといけない状況になっては、CEOの会長、大会長、学会員など、皆様に多大な迷惑がかかりますので、残念ながら辞退させて頂きました。

    コロナが蔓延してからの講演は、記憶の限りでは、甲北信越矯正歯科学会の講演をオンデマンドでやった事ぐらいでしょうか。

     

    母校松本歯科大学での学生講義は2〜3年ほど前から頼まれていたのですが、これもコロナの影響で延び延びになっていました。

    昨年末に松本歯科大学から連絡があり、歯学部4年生の最終講義をやってくれないかとの事でしたので、お受けさせて頂きました。

     

    松本歯科大学の講義館に足を踏み入れるのは、卒業以来のような気がします。

    教室に入ると、学生時代のことが昨日のように思います。

     

    講義はまず、皆さんの先輩として、皆さんはなぜ歯科医師になろうと思ったのか、将来どうゆう歯科医師になろうと考えているのか、という質問から始めさせて頂きました。

    というのは、私が矯正歯科の医局に入って矯正歯科を専門的に勉強したいと思ったのは、ちょうどその頃だったからです。

     

    私の知っている先生の中には、お金の事など考えずに、自分に出来る限り最高の治療を一生懸命でやっている先生がいます。

    恩師の故 橋本先生などは本当に歯医者の鏡のような先生でした。

    ところが、金、金、金、金、お金第一主義で、本来保険診療である筈の歯周病治療でさえも自費で診療し、1人の患者さんから1000万円もの治療代をふんだくってノウノウと生きている歯医者がいます。

    その先生曰く、きちんと治療をしたらそれだけチャージするのは当然だ、とのことですが、自画自賛にすぎず、その言い分がまかり通るのであれば、私の矯正治療は、海外の専門医試験に合格しているから、と言って、患者さんに数千万円請求して良いのでしょうか?
    私はそんな非常識なことはしませんが、流石にここまでくると、洗脳宗教じみていると思います。

     

    また矯正歯科分野では、矯正歯科をやりたくて志したのでは無く、矯正歯科が儲かりそうだと思って矯正歯科を開業し、治療の勉強など全くせずに、お金第一主義、治療を開始する前に契約書を取り、100万円以上のお金を前払いさせて、転居などで治療継続が困難になったとしても、一旦支払ったお金はいかなる理由があろうとも鐚一文返金しないという、暴力団か詐欺師になったほうが良いような歯科医師がいます。

     

    勿論、生きてゆく上ではお金は必要ですし、医院を経営してゆく上でもお金は必要です。

    しかしながら、医業は利益追求主義でやってはいけない筈ですし、ましてや本来保険で診療すべき歯周病治療を自費で診療して、1000万円も請求し、金、金、金、金と、お金の事しか考えていない金の猛者は歯科医師を辞めるべきだと思います。

    学生の皆さんには、こんな歯科医師になって欲しくない、道を踏み外して欲しくないという思いが伝わったでしょうか?

     

     

    90分間、矯正歯科の役割、重要性、難しさ、舌側矯正の特殊性についてお話しをさせて頂きました。

    フランスの大学と同じように、殆どの学生さんが非常に熱心に聞き入ってくださいました。

    コロナの影響で海外に出ることが無くなりましたので、他大学でも講演の機会を頂ければ、お話しさせて頂きたいと考えております。

    謝礼は一切不要です。

     

     

     

  • 2022/04/04

    第115回歯科医師国家試験

    先日、第115回歯科医師国家試験の結果が厚労省から告示されました。

    全国 28校全体の合格率は 61.6%(受験者数 3,198人、合格者 1,969人)、内訳は、新卒者が 1,999人中合格者 1,542人(合格率 77.1%)、 既卒者(いわゆる国試浪人)が1,199人中合格者 427人(合格率35.6%)とのことです。

     

     

     

    私が歯科医師国試を受験した頃は、たしか 100%が 10校くらい、母校の松本歯科大学は新卒既卒の合計が 97.6%だったと思いますので、それに比べると随分と合格率が低くなっています。

    これは国の政策で歯科医師国試のカットラインが変わったことによるものだそうです。

    私が学生の頃は、「留年」っていうと、とんでもないことをしでかしてしまったというイメージがありましたが、今では留年や放校は珍しくないようで、歯学部に入学してから一度も留年せずに、一発で国試に合格する学生は、国公私立全ての大学で概ね 50%ほど、つまり一緒に入学したクラスメートの半分しかいないということになります。

    今や歯学部に入学したら、国試までの6年間、相当気合いを入れて、毎日毎日、本当に一生懸命勉強しないと歯科医師になれないのです。

     

    上の表に示すように、我が母校松本歯科大学の現役の合格率は、全国国公私立 28校中 2位で、全ての国立大学よりも良い成績です。母校の先生方、学生さん達、よく頑張ってくれています。

    既卒の国試浪人を含む総数では全国 8位と、こちらも優秀ですが、既卒の国試浪人の合格率が 15.4%ですから、彼らがクリアすることが出来れば、全体の合格率は飛躍的にアップします。

    国試浪人の皆さん、目標も期限もなしにダラダラやっていてもダメです。

    「次回の国試に受からなければ歯科医師は諦める」という覚悟で国試に臨んで欲しいと思います。

     

    私は母校の国試合格率が高いからといって自慢するつもりはありませんし、松本歯科大学OBであるということは、別に誇りに思ってもいませんし、恥じてもいませんので HPにも明記していますが、卒業生の中には、松歯大卒であることを隠す者がいます。

    歯科医師の中には、自分よりもランクが低いと思われる大学の出身者を馬鹿にし、歯科医師としてのレベルが低いように見下したりする人がいるからです。

    実際に私自身、学会やセミナーなど、公衆の面前で自分の耳を疑うような侮辱をされたことが何度かあります。

     

    矯正歯科界に於いても、出身校を聞いた途端に態度が横柄になったり、SWAを使っている先生を wire bendingが出来ないと決めつけて馬鹿にする人がいます。

    私自身は日常臨床では Chair timeを短くし、患者さんの快適さのために SWAを使っていますが、 必要に応じて 2×4、2×6、loop mechanicsも使いますし、Burston の Segmentも使っています。
    TPAは印象を採ってラボで曲げる先生が多いですが、私は曲げ始めからセットするまで約5分ですので、 chair sideで曲げています。

    Wire bendingは矯正の初歩の初歩なのですから、出来て当たり前なのに、そんなことで自分が優れていると勘違いして天狗になり、あろうことか、国立大学の助教が、授業中に、大勢の学生の前で、「松本歯科大学とか日本歯科大学新潟歯学部にはデンタルで行ったけど、馬鹿すぎて困った」などと発言した事実があります。

    学生を指導する立場の人間が、授業中に、公の場でそのような事を言う、これは決して許される問題ではありませんので、時期を見て主任教授、学務、歯学部長に抗議したいと思っています。

    日本の大学も外国の大学のように、学生が指導教官を評価するシステムを取り入れ、このような不適切なインストラクターは大学から追放されるようにならないと、歯科大学での教育は良くならないと思います。

     

    私が母校に望むことは、名物教授の存在です。

    私が学生の頃は、例えば口腔外科では千野武広先生、待田順治先生、補綴では橋本京一先生、保存では安田英一先生、障がい者歯科では笠原浩先生、矯正歯科では出口敏雄先生などなど、日本でも指折りの教授がたくさんおみえになりました。

    今でも宇田川先生のように世界で活躍されている先生はいらっしゃいますが、「○○教授の○○を勉強したいから松本歯科大学に入りたい」という学生が増えてくれれば、学生のレベルももっともっと上がり、国試合格率も自然とアップするのではないかなと思います。

    納村先生時代の日大矯正歯科は凄かったなあ、、。

     

  • 矯正装置とMRI

    「矯正装置が入っているとMRIが撮れないから、矯正装置を外してくるように」と言われて、MRIを撮影して貰えないことがあります。

     

    放射線科の医師・技師さんが矯正装置を外せと言う理由は2つ、

    1. 金属にMRIが当たると発熱して火傷する
    2. アーチファクトで画像診断が出来ない

    です。

     

    私からのコメントは、

    1. 火傷の心配はありません
    2. アーチファクトに関しては、撮影部位が頭部や顎関節であっても、撮影条件を工夫して頂ければ、矯正装置が入っていても問題のないMRI画像を得ることが可能なことがあります
    3. 腹部や足のMRIを撮影するのに矯正装置を外す必要はありませんので、通常通り撮影して頂いて全く問題ありません

     

    矯正治療に使われる金属の殆どは、コバルト、クロム、ニッケルを主体とする合金で、ものによっては、チタン、モリブデン等が含まれております。

    MRIは磁気共鳴を利用したものですので、矯正のワイヤーやブラケットがアーチファクトを起こす原因となります。

     

    ところが、撮影条件を工夫すれば、矯正装置が入ったままでも顎関節、上顎洞、海馬なども全く問題ない画像が得られています。

    僭越ですが、アーチファクトで撮れないという場合は、以下の撮影条件で撮って頂ければ、撮れることがあると思いますので、御参考にして頂ければ幸いです。

    1. 最低条件として 1.5テスラで撮影する。3テスラでは、アーチファクトが著しくて撮れません。但し、最近は1.5テスラマシンが多く、それで撮れないという場合は、以下を調整してください。
    2. BW値を上げる
    3. ピクセルまたはボクセルサイズを小さくする
    4. 脂肪抑制を併用しない
    5. シムボリュームを頭部全体ではなく影響のない場所に置き、調整を行う

    です。

    大体は 5のシムボリュームを調整して頂ければ、2〜4はいじらなくても撮れることが多いようです。

     

    じつは、「入れ歯や矯正装置が入っているとMRIが撮れない」というのは、昔から殆どの病院で言われており、MRIを撮る際に、矯正装置を外して来るように言われて、全ての患者さんが撮影して貰えませんでした。

    矯正装置を外さないとMRIが撮れないと言われると、困るのは患者さんですので、私はその都度、放射線科の医師・技師さんと撮影条件についてお話しをさせて頂く、ということを長年続けて来た結果、今では長野県内の殆どの病院で問題なくMRIを撮影して頂いています。

     

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    上記は 2021年3月にアップした内容ですが、誤解されている方がいらっしゃいましたので、少し修正させて頂きました。

    基本的には、MRI撮影のために矯正装置を除去する必要は無いと考えますが、「絶対外しません」ということでもありませんので、お困りの場合には御相談ください。

     

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