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院長日誌

  • 2014/06/21

    11th ESLO開催、新型のMienaiブラケットを紹介

    昨年9月頃だったでしょうか、2014年のヨーロッパ舌側矯正歯科学会大会の大会長である Dr. Vittorio Cacciafestaから、6月に Italyの Comoで第11回 ESLO meetingを開催するから、Keynote speakerとして来てくれないかとのメールを頂きました。
     
    招待されても、旅費や宿泊代が支給されるわけではないので、単なる名誉職なのですが、自分の下手な英語でも「Hiroの話を聞きたい」と言って頂けるのは、本当に有り難い事ですので、いつもどおり 2つ返事でお受けし、行って来ました。
     

    会場の Villa Erba, Cernobbio
     

    いつもは学会の3ヶ月ほど前から早起きモードになり、朝4時5時に起きて準備を始めるのですが、今年は年始から頭の痛い問題が立て続けにあり、4時5時にベッドで目が開いても、起き上がることを精神的に拒否する毎日で、学会があと1週間と迫っても、まったくエンジンがかかりません。
    そんなこんなしているうちに、とうとう出発の日が来てしまいました。
    いつもどおり中央タクシーが自宅に迎えに来てくれて、一路羽田に。
    当然、車中では必死で仕事です。
     
    羽田ではお目当ての すき焼き を頂きます。
    この「たか福」というお店は、味もさることながら、客への対応がしっかりしていて、とても良いお店ですので、機会がありましたら、是非行ってみてください。
     
    Air Franceでの機中も寝ないで準備、あっという間に CDGに到着、乗り継いで Milanoには朝の10時に到着、Milanoから Comoまでは50Km程ありますので、バスと電車を乗り継いで、お昼頃、ホテルに到着。
     

    駅で切符を買って、電車でホテルに向かいます。
     

    滞在先の Hotel Albergo Centrale。 個人経営の小さなホテルですが、3-star hotelで、レストランは、10年以上、Michelin guideにリストされている美味しいお店です。
     
    その日はフリーなのですが、プレゼンの準備がまだ終わっていないので、出掛けずに部屋にこもって準備します。
     
    翌日は、朝から Pre-congress courseに参加。
    Dr. Germain BECKER (Luxemburg), Dr. Esfandiar MODJAHEDPOUR (Germany), Dr. Roberto STRADI (Italy)、Dr. Robbie  LAWSON (UK)ら4名のドクターが Lecturerを努める Incognito のコースです。
     
    別に Incognitoに興味があるわけでも無いし、使うつもりもありませんが、いつも Pre-congress courseでは、Lectureをする側で、他の先生のコースを受講したことがないので、一度受けてみたいなと思っていたところ、今年は Pre-congressでは話さずに済んだので、受講してみたわけです。
    開発者の Dr. Dirk Wiechmannは、“Toshiには Incognitoは不要だ” とコメントしていましたが、僕は実際に何症例かやってみて、Incognitoは、 舌側矯正初心者の先生には向いているかも知れないけど、今の自分のレベルの治療結果は、Incognitoでは出せない、というのが結論です。
    日本国内外の舌側矯正の expertsも、Incognitoは使っていません。
    3Mさん、すみません。
     
    2人の lectureが終わり、Coffee breakで一息ついていると、次期会長の Dr.Takis Kanarelisが呼びに来て、Active memberと Titular memberへの提出症例の Examinerをやってくれとのこと。
    それだけは勘弁してくれ、おれは WSLOの時に体裁の整っていない症例を不合格にしたら、「オレの友達を何で落とすんだ」と、全くおかしな文句を言われたし、World Board of Lingual Orthodontics の設立の際には、公平性と透明性をキチンとしなければダメだと主張したら、何人もの先生から鼻つまみ者にされ、JLOAでは今だに四面楚歌なんだ、だから、おれは Examinerは絶対にイヤだ、と断ったのですが、Germainも困っている、どうしてもやってくれ、Examinerを出来る人がお前しかいないんだ、と食い下がるので、しょうがなく引き受けました。
     
    まずは Titularの Candidate 8人を4人で手分けして、自分の持ち分の 2人を採点します。
    完全に匿名なので、何処の誰が治療したのかわかりませんが、さすがに Titularに applyしてくる先生達は きちんと治しています。
    上顎前歯のトルクコントロールが若干甘い症例がありましたが、それを減点しても十分合格点。
     
    もう1人の先生は、何故に Quad helixが入っているのか理解に苦しみますが、それ自体は別に減点にも何もならないし、正直にありのままを提出されて、結果も Excellentなので、OK、合格点です。
     
    そのあと、Active memberの症例評価へと移動します。
    Active memberの症例は、Titularに比べると、治療のレベル低下が歴然です。
    治療結果以前に、資料が規定通りにまとめられていない。
    特にCandidateのなかの1人は、治療前後のレントゲンの重ね合わせが、明らかにおかしい。
    これは絶対にリンガルで治療されたものじゃなくて、ラビアルで治したのを出してきている、と判断。
    治療経過の写真を見ても、1枚しかないので、やはりインチキ臭く、不合格にする。
    ただし、Presidentは Germainなので、最終判断は任せますわ、と全てを彼に委ねましたが、Germainも不合格にしたとのこと。
     

    手前が Dr.Germain Becker、 そして僕の向こうが次期大会長の Dr.Takis Kanarelisです。
     

    翌日、日本人の有名な先生が、「彼はオレが引っぱってきたんや」と言ってきましたが、そんなの知るか!
    誰が連れて来ようが、candidateが誰であろうが、試験は試験、資料も揃っていないものはダメに決まっているでしょう。
    そんなことを文句言うなら、その先生が最後まで責任持って指導すればいい、そう思いませんか?
     
    学会の認定医試験に人が治療した症例を借りて出すとか、舌側矯正の学会に外側の症例を知らん顔して出すというインチキ野郎が実際に存在するわけですから、最低限その辺の所をキチンと整備をしないと、制度自体が意味の無いものになってしまいます。
    だからWBLOの設立の時には、キチンとしておかないといけない、と、あれほど言ったんです!
     
    他の日本人の先生からも、「へえ〜〜、ヒロ先生が Examinerなんだ〜」と、妬み嫌みを言われ、気分最悪。
    はっきり言って、もう関わりたくないです。
    しかも、この症例評価を行っていたために、聞きたかったDr.Roberta Stradiの話が聞けず!
     

     

    会場前の木陰で記念撮影。
    PCカバンの持ち手がちぎれて、危うくパソコンを落っことすところでした。
     

    その日は、18時から welcome partyがありましたので、小一時間ほど出て、あとはホテルに帰ってプレゼンの準備をし、翌日、翌々日も朝イチから終了まで学会場で過ごし、学会終了後は出掛けもせずにホテルでプレゼン準備です。
     
    土曜の夜は Gala Dinner、学会場の敷地内にある Old Villaという歴史ある建物の中で Formal Dinnerです。
    Pre-dinner cocktail partyでは、Patioで Champagneを頂きます。
    この時間がいろんな先生とお話が出来て一番楽しいひとときで、今回もいろんな先生とお話が出来ました。
     


    Indian Genius, Dr. Jignesh Kothari got an award for Titular member.
     

    少しほろ酔いになったところで、Dinnerが始まり、みんな中に移動します。
    何処に座ろうかなとテーブルを伺っていると、なんと、僕は指定席とのことで、席に行くと、僕の名前が書いてある。
    ビックリ&嬉しい!
     

     
    美味しいワインとイタリアンをお腹いっぱい頂き、23時閉宴の予定ですが、まだ明日の発表の Power Pointが完成していないので、途中で抜けてホテルに戻り、寝ないで準備。
    なんとか講演の3時間ほど前に出来上がりましたが、練習なし、原稿もないまま本番に臨みます。
    演題は、 “Introduction of the Mienai Lingual Bracket System”、日本語では、「『見えない』矯正装置の紹介」です。
     

    練習無しのぶっつけ本番、タダでも下手な英語に さらに拍車がかかりました、、、。
    でもね、英語がNativeのように流暢でも、誰にも相手にされない先生もいることを思えば、こんな下手な英語でも熱心に聞いて頂けるというのは、本当に有り難いことですね、、。
     

    現在使っている超小型のヒロブラケットは、使用し始めてから15年が経過します。
    今までいくつもの試験に合格たのも、この Hirobracketsで治療していますので、特に大きな問題があるわけではないのですが、製造元の TOMY Internationalが私以外の先生には販売しないということ、それから、もう少しココがこうなっていればもっと良いのになァ、という点が無くはないので、そういった点をクリアできるブラケットを作ったわけです。
     

     
    開発に取りかかってから完成まで、じつに永い道のりで、完成まで8ヶ月と言われていたのが、実際には3年半以上を費やしてしまいました。
    デジタル+セルフライゲーションが次々と市場に出てきており、いまさら感がありますが、実際に使ってみると非常にコントロールのしやすいリンガルブラケットです。
    特に前歯部のロテーションコントロールが確実に出来る工夫がしてあります。
     

     
    上図のように、外側矯正の治療では、ブラケットがアーチワイヤーの内側に位置するために、ワイヤーとブラケットが2点接触となり、捻転のコントロールをしやすいのですが、舌側矯正の治療では、アーチワイヤーの弧が小さい上に、ブラケットはアーチワイヤーの外側に位置するので、ブラケットとワイヤーが1点接触となり、このことが前歯の捻転のコントロールを困難にしています。
     
    そこで、Mienai Lingual Bracket Systemでは、スロットの底部を凹ませ、ワイヤーとブラケットが2点接触となるように作りました。
     

     

     

    Kurzと比較すると、ブラケットの幅は小さいけれども、スロットは長い。
    これも安定したコントロールが出来る要因の一つとなっています。
     
    小臼歯も脱落が少なく、小臼歯・大臼歯はフリクションが少なくなるような工夫がしてありますので、舌側矯正を行っておられる先生は、使って頂けると幸いです。
    日本での販売は、(有)バルビゾン、TEL : 047-460-7818 / FAX : 047-460-7819 です。
     


    会場はいつもながら満席でした。
     

    次期 ESLOは、2016年の6月30日から7月3日、ギリシャのアテネで行われます。
     

     
    僕の左側、サングラスを胸にかけているのが、次期大会長の Dr.Takis Kanarelisです。
     
     

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