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院長日誌

学会・セミナー

  • UPS & Paris Vにて

    昨年、France ReimsでのCEO学会に招かれた時に、Paris Vの教授であるDr.Deckerから、2012年の4月に Toulouseに来てくれないか、と言われました。
    聞いてみると、フランスの全ての大学の歯学部の卒業後の矯正専門医を目指しているドクター達のためのスペシャルカリキュラムで、4月19日から1週間とのこと。
    往復を含めると10日間も ひろ矯正歯科を閉めないといけないので、正直、キビシイな〜と思っていたのですが、日本人がインストラクターとして招かれるのは前代未聞、Paris Vの facultyでもない人間が招かれることなどあり得ない事ですので、身に余る光栄、名誉なお話しですし、しかも Alainのオファーとなれば、ますます断るわけにはいきませんので、行ってきました。
     

    Toulouseの美しい街並み
     
    今だからこそ書かけますが、今回のこの準備がまた、滅茶苦茶大変でした。
    毎日30-45分間の講演を朝夕1回づつ、さらに最終日には大ホールで 2時間半の講演、さらに連日舌側矯正のタイポドントの指導とのことで、タイポドントのメタルティース、ワックスフォームを発注し、ブラケットをヒロシステムで正確にボンディングし、ステップ毎の写真を撮りながらダンキング。
    Typodontは、日月の休み返上で朝から夜中1時2時までかけて準備し、講演のための準備はといえば、毎朝5時に起きて準備をしました。
    ひととおり終わったところで、デジカメのデーターをPCに取り込んでみると、、NIKONのデジカメの書き込みエラーで、画像がクラッシュ、、、最初からもう一度やりなおし、、とほほ。
     
    大学に勤務しているドクターなら、いくらでも準備の時間が取れるのでしょうが、私はいつもどおり朝から晩まで診療に追われ、夜はグロッキーです。
    連日の Over workで体調不良、不整脈と吐き気の毎日でしたが、なんとか無事にミッションを遂行してきました。
     

    4月14日、現地到着
    Toulouseの Paul Sabatier大学の教授、Lingual Jetで知られる Dr.Pascal Baronが空港まで迎えに来てくれました。
    その夜は庁舎の前のレストランに招待してくれました。
    御馳走様でした!
     

    Pascalと食事のあと、Capitole à Toulouseをバックに

     
    15日日曜日はフリーなので、Pascal が市内観光と博物館に連れて行ってくれました。
     

    マルシェにて。肉、野菜、パン、お酒、、、売っていない物はありません。
     

    街の建物は殆どみんな赤煉瓦で出来ているのが Toulouseの特徴だそうです。
    Toulouseはエアバスの工場がある街で、それゆえに ToulouseにはTGVが走っていないのだそうです。 
    なるほど、、。
     

    16日、月曜日の朝、地下鉄で Université Paul Sabatier(以下UPS)に向かいます。
     

     
    ものすごい広大なキャンパスで、端から端までは地下鉄で一駅あり、とても歩いては行けないほどの大きさです。
     

    キャンパスの反対側の丘の上には、ものすごく大きな病院が、、。
     
    シャルルドゴールも見渡す限りの大空港ですが、必要な物にはきちんと割り振る、お金も時間もかける、というのがフランス流のようです。
     
    UPSの歯学部に着くと、物凄い数の受講生です。
    フランスの大学は全て国立大学で、全16校、歯学部は15校にあるそうです。
    今回のこのコースには、フランス全土だけでなく、モロッコなどの近隣諸国からも受講生が来ていました。
     
    フランスで歯科医師になるには、通常、6年間の歯学教育を受けたあと、国家試験だそうで、これは日本と同じです。
    ところが、例えば口腔外科や矯正歯科などの専門医を志願すれば、6年が5年になり、その代わり専門教育を3年間受けなければならないとのことで、合計8年間の教育となります。
    今回参加している人達はみんな歯科医師国家試験に通った後の歯科医師です。
    日本にも専門医制度はありますが、日本は歯科医師免許があれば誰が何をやってもOK、出来ようが出来まいが、全て歯科医師個人が自分の判断で行う事が許される。
    特に矯正歯科は、基本的知識の全くない歯科医師が、自費収入目当てで とんでもない治療を行って取り返しのつかないことになり、患者さんが専門医のところに泣きついてくるという事例が後を絶ちません。
    先日、うちに初診で来られた患者さんは、上の歯列も下の歯列も、目を覆いたくなるほど拡大されており、臼歯部では歯根が骨から飛び出し、歯肉の退縮を起こしている。
    話を聞くと、小さい頃から某市内の一般歯科でアゴを広げなければダメだと言われ、言われるとおりに矯正治療を開始、もう10年近くも治療に通っているが、奥歯は噛みあっていないわ、隙間は開いているわ、正中線は合っていないわ、全然終わる気配がないので、心配になって相談に来た、とのことでした。
    水平埋伏智歯の抜歯などの観血処置は、知識と技術不足を認めて手を付けずに病院に紹介する、でも、矯正歯科治療に関しては、「血が出ない」から、知識も技術もないのに手を付けるという歯科医師が多いです。
    そしてその殆どは、矯正歯科学のイロハも知らない、レントゲンの分析もトレースも出来ない、治療内容はといえば、片っ端から側方拡大し、患者さん固有の骨の幅も顔の幅も関係なし。
    そんな歯医者では、矯正費用も専門医に比べると法外な設定をしていることが多いです。
    医療というものは、何処でどんな治療を受けるかは、最終的には患者さん自身が決めることですが、取り返しのつかない事になる前に信頼できる専門医にかかられる事をお勧めします。
     

    話しをUPSに戻します。
    講義の最中は、みんな真剣です。
    寝ている人など一人もいません。
    その上、フランス人は、結構時間にキッチリとしています。
     

     
    外国では、first name で呼ぶのが一般的で、アメリカでもヨーロッパでも、学生が先生にむかってfirst name を呼び捨てで呼ぶ光景をよく見ます。
    正直、カッコイイな、と憧れてしまいますが、フランスは少し違って、上下関係がきちんとしています。
    例えば、“あなた”は、英語では “you”、相手が赤ん坊であろうが大統領であろうが “you”ですが、フランスでは、目上の人に対しては “vous”、親しい相手や自分と同等の立場の人に対しては “tu”です。 
    教わる立場の人間が、指導者に対して食ってかかるなどということはあり得ないことで、滞在中、僕のところに質問にくる人達はみなとても礼儀正しかったのが印象的でした。
     

     

    level 4の人達は総勢 80名ほどで、2部屋に別れて行いました。
     
    僕自身は、ただの田舎の矯正歯科医だと思っているのですが、みんなは僕のことをスーパースターだとかアイドルだと言ってくれ、一緒に写真を撮ってくれと頼まれます。
    C. H. Tweedと一緒に写真を撮っているのと同じだわ、などと言う人までいて、嬉しいやら、照れくさいやら、、。
    僕は自分の事そんなふうに思っていないんですが、、。
     

    Dr.Pascal Baron
     

    19日の木曜日、大ホールで level 3と level 4のドクター達を相手に2時間の講演です。
     

     
    舌側矯正の特徴や落とし穴、Hiro systemの製作手順やclinical video等々。
    2時間は長いようですが、実際にはアッと言う間です。
    みなさん理解して頂けたでしょうか?
    講演を終えると、物凄い拍手喝采。
    Reimsの時と同じ、拍手が鳴り止みません。
    拍手喝采に応えて一言述べますが、嬉しすぎて危うく泣いてしまうところでした。
    準備は大変だったけど、やって良かったなあ、と思います。
     

    President 夫妻から記念品を頂きました。
     
    その後、タクシーでAlainと空港に、Parisに向かいます。
    車中で Alainがものすごく良かった、great successfulだと絶賛してくれました。
     
    Parisでは、大学病院の近くのゴージャスな Hotelを用意してくれてあり、その日の晩御飯は、有名な生牡蠣専門のレストランに連れて行ってくれました。
     

    たいへん高級なお店で、シャンパンに、高級な白ワインに、何種類もの生牡蠣を一体何個食べたでしょうか、僕が牡蠣が大好きなので、Alainが予約してくれたのでした。
    ありがとう、Alain!
     

    翌日20日の金曜日は、パリ大学の矯正歯科の教授や先生達を相手に、午前中は講演、午後は実際の患者さんに Hiro systemでの bondingを説明、紹介しました。
     

     

     

     

    お洒落な部屋ですね、、。
     
    この準備も大変でした。
    どうせならHiro systemで実際の患者さんにbondingして、どれだけ正確に付くか、coreが如何に簡単に取れるかを体感してみてはどうだ、と提案したのが1ヶ月前。
    Lionelから患者さんの模型が届いたのが、1週間前。
    成田の税関から「海外技工物か?」との電話がありましたが、技工物を作るのは僕で、海外で作られたものを輸入しているのではない、と事情を説明すると即OKで、送ってくれましたが、、、製作まで日数がない。
    技工士の川端下君と松崎君が超特急で作ってくれました。
     
    お昼御飯は他の先生達も一緒にAlain達と近くのレストランでステーキを頂きましたが、これがまた美味しかった、、。
    その後大学病院に戻り、実際の患者さんに上下顎、リンガルの装置を装着しました。
     

    午前中の説明をもっと詳しく、、。
     

    教える方も教わる方も、真剣です。
    ボンディングする際のキモの部分や、ワイヤーセットの際の注意点、形状記憶合金ワイヤーの曲げ方等々。
    患者さんは大変疲れたでしょうが、愚痴を言うどころか、凄く感謝してくれ、僕にも丁重に挨拶をしてお帰りになりました。
     

    僕も疲れました、、。
     

    Germainと
     

    Marie-Pierreと
     

    Alainと
     

    その夜は、Alainがまたもや高級レストランに連れて行ってくれました。
     

    ここでもシャンパンに、白ワインに、生牡蠣に、、。
    ありがとう、Alain、御馳走さま。
     

    21日の土曜日は帰る日です。
    朝からモンマルトルの広場に絵を買いに行きたいんだ、というお願いを聞いてくれて、Alainの車で向かいます。
    広場でお目当ての peintreを捜します、、。
    やった! いた!!
    僕はどんな有名な画家の絵よりも、彼の絵が好きです。
    この日は、スーツケースほどの大きいのを1枚、縦長のを1枚。
    すると小さいのを1枚おまけにつけてくれました。
     

    Alainも気に入ったようで、1枚買っていました。
     
    成田到着は日曜の朝、翌日の月曜日は出掛ける用事があり、休む暇も無く火曜日からいつもどおりのフル活動です。
     
    そろそろESLOの準備をしないと間に合わないぞ、、。
    Pre-congress courseを僕一人に任されています。
    あ〜、焦ってきた。
     

    追記:僕に面と向かって「世界のヒロ」と言う人が多いですが、僕自身は自分の事をそんな風には思っていません。そんな変な妬みを言う人は、正直軽蔑しますし、付き合を遠慮させて頂きますのでご了承ください。
     

  • 第70回日矯 & Birthday & 送別会

    [日矯学会]
    2011年10月17日-20日、第70回日本矯正歯科学会大会が名古屋国際会議場で開催されました。 本大会では、mini implant screw を使った治療に関して、廣俊明オリジナルの治療法を紹介しました。
     
    近年、加強固定として mini implantが用いられることが多く、空隙閉鎖の際など、バーやアームを伸ばして引く方法が一般的です。 これは、理にかなった方法ではあるのですが、しかしながら、患者さんの苦痛を少しでも減らし、快適に治療を受けていたきたいという 私の治療のフィロソフィーに反するため、バーやエクステンションなどは使いたくないのです。
    ひろ矯正歯科では、舌側矯正の装置自体も10年以上前から特注の超小型ブラケットで治療しており、矯正用バンドにいたってはヘッドギアくらいしか使わない、装置も可能な限りシンプルにすることで、患者さんが快適に治療を受けられるように、という努力を最大限、開業当初より徹底して行ってきているからです。
    今回学会発表を行ったのは、II級2類のDeep Overbite(下の前歯が上の前歯で覆われてしまって全く見えないような前歯の噛み合わせの深い人)を治療する際に、上顎前歯を圧下(歯を根っこの方向に向かって移動すること)わけですが、舌側矯正では、矯正力が舌側に作用するため、II級2類のような元々内側に倒れている上の前歯を圧下しようとすると、一層内側に傾斜させてしまって、収集のつかない状況になるからです。 そこで、上記のバーやエクステンションが活用されるわけですが、ひろ矯正歯科では、上記のとおり、なるべく快適に治療を受けて頂きたいので、「アーチワイヤーのコントロールを適切に行えば、そのような物を使わなくても良好な結果を得ることが出来る」ということを証明、紹介しました。 発表は展示形式で行いましたが、神谷先生の「こんなに人が集まってくるとは思いもしなかった」というコメントが示すように、ポスターの前は一時黒山の人だかりとなりました。 治療結果が極めて良好であること、Deep biteがきちんと Over correctionされている事等々に驚かれた先生もたくさんいらっしゃいました。 まあ、僕としては、当たり前のことで、いつもやっている事なのですが、、。
     

     
    その他の演題に関しては、例えば久保明先生の「アンチエイジング up date-展望と課題」など、面白い演題、ためになる講演も沢山ありました。 特に、田中貴信先生の「永久磁石の歯科臨床への応用」という演題はしっかり拝聴させて頂きました。 というのは、私は磁石を用いた保定方法、さらには、ブラケット+ワイヤーに代わる矯正方法として、透明の磁石を応用した方法を特許出願しているからです。
     
    さらに、歯材協主催のシンポジウム、これは面白い企画でした。 シンポジストも本音で語り、質疑応答も本音で、非常にストレートで気持ちのよいディスカッションでした。 歯材協から無償でお弁当を頂けたのも、たいへん有り難かったです。 会長の
    小川さん、有り難うございました(小川さんは、格闘家ということもあり、裏表がなく一本気で、話していても気持ちのいい人でした。)
     

    [Birthday]
    日矯学会の少し前、私は○才の誕生日を迎えまして、スタッフのみんなが祝ってくれました。
    本当に嬉しいものです。 ありがとう。



     

    [送別会]

    受付の青沼さんが、御結婚のため、11月30日で退職されました。
    青沼さんには、ずっと続けて欲しかったのですが、ご主人は美容師さんで、近々独立開業、二人三脚で美容院をやっていかれるとのことで、やむを得ません。
    青沼さんは、毎朝本当に早く、勤務開始時間の1時間くらい前から出社して、いろいろ準備をしていました。 ポカもいろいろありましたが、いろんな事に凄くよく気がつき、思いやりがあり、責任感も強く、優しく、愛嬌があり、とげとげしさがまったく無い、一緒にいて本当に楽しい気持ちになる人でした。
     

     

    末永くお幸せに。
     

  • CEO & Université de Reims

    昨年の12月、パリ大学第五の矯正歯科学講座の教授である Dr. Alain Decker と 親友である Dr. Germain Beckerから、2011年の6月に Franceの Reimsで CEOという矯正歯科の学会があるので、45分間のレクチャーをしてくれないかと頼まれました。
     
    6月19〜23はヨーロッパ矯正歯科学会がイスタンブールであるので、両方は出れないなあ、EBO meeting暫く出ていないので、今年は出ようと思っていたんだけどなあ、、、。
    でも、折角招待してくれたんだから、今回は EOSはやめて、Reimsに行こう!
    と決めて、行ってきました。
     
    じつは、この学会では、アッと驚く大事件が!! (後述)
     
    6月 9日木曜日、パリの シャルル・ド・ゴール空港に降り立つと、Alainが迎えに来てくれました。
    シャルル・ド・ゴールから Reims まで車で大体1時間半、Reimsというのは、シャンパーニュ地方ですので、高速道路から葡萄畑やシャンパンのモニュメントを片目に、毎日シャンパン漬けになることを期待しながら向かいます。
     

    道中、Alainと話をしながら、夕方、Reimsに到着しました。
     

     

    美しい町です。
     
    チェックインした後、ホテルのレストランでシャンパンを頂き、ディナーパーティーに招待にあずかりました。
    シャンパン、ボルドーワイン、魚料理、、超・美味しいです。
     
    いつも海外の学会で講演する際は、Baggage lostや交通機関のトラブルなど、万が一のことを考えて学会の1〜2日前に現地入りし、問題ない場合は時差ボケ解消を兼ねて現地観光をするのですが、今回は観光などする時間は全くなく、、 (後述)
     
    翌10日は、pre-congress courseで、Dr. Marco Rosaが “Orthodontie et traitement multidisciplinarie des edentements du secteur antérieur; fermeture d’espace, substitution naturelle versus implants” 、
    Dr. Paul Miaraが “Les traitments esthétiques atraumatiques, des traitments chimiques aux traitements prothétiques” というタイトルで講演されるので、どちらも聞きたかったんですが、部屋から出れません、、、なぜか??  (後述)
     
    翌11日は学会の Opening ceremony があるので、朝食をすませて学会場に向かいます。
     


    僕の参加賞には、なんと “VIP” と書いてありました! 嬉しい!
     
    会長の Barthelemy教授の挨拶の後、Alainの講演です。
    聞いていて、少々不安に、、、。
    「う〜、大丈夫かな〜〜、、」 って、、、何が?? (後述)
     

    明日の仕事場。 すごい立派な会場です。
     
    珈琲ブレイクの際に、学会場で自分のパソコンを繋いで試写してみます。
    若干モニターの調整が必要でしたが、OK!
    試写を終えたら、急いでホテルに戻ります、、、何故か、、(後述)
     

     

    その日の夜は、近所のレストランで ビールと キーァを、食事は お魚料理を頂きました。
     
    そして12日、Dimanche。
    朝食を食べて会場に向かう前に、緊張をほぐすために学会の受付の女性と記念撮影、、。
     

    あまりにも美しいので、かえって緊張してしまいました、、、。
     

    会場です。
     

    今日は講演です。
    準備万端、、とは、とてもじゃないが言えません、、。
    トップバッターの Laure Frapier先生の “Pourquoi extraire?” が終わり、いよいよ僕の出番です。
     
    このsessionの présidentsは、Dr. Sandrine Favotと Dr. Emmanuel Frerejouan、僕がステージに上がると、Emmanuelが僕の事を紹介してくれます。
     
    「Dr. Hiro、あなたは、世界で最も有名な舌側矯正医の一人であり、英国矯正認定医であり、ヨーロッパ矯正歯科学会の専門医であり、世界舌側矯正歯科学会の専門医であり、日本矯正歯科学会の専門医であり、、、日本の大地震の大変な時期ですが、この学会のためにはるばる日本から来てくれました。」
    身に余る紹介で照れてしまいますが、日本流にお辞儀をすると、会場から大拍手です。
    僕のような田舎の矯正医が、なぜこんなに喜んで貰えるのか、全くわかりません。
    そして、講演を始めます。
     
    第一声、
    “Bonjour, à toutes et à tous!” (こんにちは、みなさま)
     
    場内大拍手!
     
    “Je remercie le Dr Stephane Barthelemy, président du collège européen d’orthodontie, et le Professeur Alain Decker, qui me donnent aujourd’hui l’opportunité de m’exprimer à ce merveilleux congrès.”
    (本日はこのような素晴らしい学会で話す機会を与えていただきましたことを、CEOの会長のStephane Barthelemy先生、そしてAlain Decker教授に感謝いたします。)
     
    さっきとは比べものにならない大拍手!!
    「ワ〜ォ!!」とか言っている人がいる、、、フフフ。
     
    そして続けます、、。
     
    英語で、、?
    フフフ、、。
     
    “Avant de débuter cette conférence, j’aimerais me présenter.   J’ai une clinique exclusivement en orthodontie dans la région de Nagano, au Japon.   Ma clinique est située à  Shiojiri, ville peuplée de soixante mille habitants.   Comme vous le savez, la ville de Nagano est connue pour ses jeux Olympiques d’hiver, et est entourée par de magnifiques montagnes et une très jolie nature,,,,”
    (講演に先立ち、自己紹介をさせて頂きます。私は日本の長野県というところで矯正歯科を専門に開業しております。 私の医院は、人口6万人の塩尻市というところにあります。長野は冬季オリンピックで知られ、美しい山々に囲まれ、自然環境に恵まれ、、、以下略)
     
    次の文は、英語で、、と思ったでしょう!
    誰もが!
    Alainも Germainも口を開いています。
    じつは、45分間の講演を、英語ではなく、全部フランス語でやってみました!!
     
    しかし、“Avant de débuter cette conférence, j’aimerais me、、以下、さっきの割れんばかりの拍手が打って変わって、場内シ〜ンとなってしまった、、。
     
    「こんな下手くそなフランス語、聞いていられないぞ!」と、みんな怒って出て行ったらどうしようか、と、汗をかきながら続けますが、、フランス語、難しすぎる!
     
    英語と違うところは、フランス語には、女性名詞と男性名詞があって、それぞれによって冠詞が変わる。
     
    さらに動詞は人称に応じて6変化するので、ワカラナイ!
     
    さらに、英語と全く違う発音、「ジュ」や「シュ」や「ジェ」に加え、「オン」などの鼻母音。
     
    さらに rの発音が英語の rではない。
    すなわち、rは、「アール」ではなく、「ゲ」(お父さんが歯磨きをした時に、オぇ〜っ!、ごゲぇ〜〜! ペッ、ペッ!!、ってやりますが、あの「ごゲぇ〜〜!」の音です。例えば、 “Hiro” は「ヒロ」ではなく、「イゴ〜」になるのです。)
     
    さらに、発音してはいけない文字がある。
    例えば、 “Hotel”だと「ホテル」ではなく、「オっテル」、 “treatment”だと、「トリートメント」ではなく、「トゲットモン」、てな具合です。
     
    ただでも難しいのに、その上に、完全に練習不足。
     
    おまけに、Power pointの presenter’s toolに打ち込んだアクサンが、みんな文字化け。。!!
     

      
     
    原稿はこんな感じで、?マークばっかり!
     

    そして、なによりもフランス語のレッスンを始めたのは、今年の1月から!
    しかも毎朝5時起きして、恩師と約束した Class IIIの論文書きに追われ、そして45分と3時間のプレゼン作りに追われ、フランス語の練習する時間は全くなく、本当に4,5回しか読む練習をしていないのです。
     

     
    みんな会場から出て行ってしまったらどうしようと思いましたが、そんな人は一人もいなかった。
    それどころか、45分間のプレゼンが終わると、拍手喝采。
    ありがとう、ありがとう、、。
    Emmanuelが何やら僕にフランス語で話しかけるが、、わからない。
     “Je ne comprendre pas,,, mais je ne parle pas français.” 。
     
    すると英語で話しかけてくれ、会場からは拍手が鳴り止まない、、、嬉しい、、頑張った甲斐があった。
    会場内から質問が2つほど。
    これは英語で答えるが、ステージを降りるまで拍手が鳴り止まない、、本当に嬉しい、、。
     
    フランスの皆様、ご静聴、本当にありがとうございました。
     
    “Merci pour votre attention. Au plaisir de vous retrouver à ESLO Francfort!”
     
    そしてホテルに戻り、着替えて昼食に出掛けます。
    昨日のレストランで bièreと vin rougeと Kirを頂き、食事は Tartareを、、、。
    そして帰って休もうとするが、、体調に異変。
    吐き気と超・下痢ピッピ、高熱。
    持っていた下痢止めを倍量飲むが効かない。
    熱にはアスピリン大量投与、でも効かない。
     
    その日は学会の dinnerが POMMERYであるんですが、とてもじゃないけど行ける状態じゃないので、キャンセル。
    クビにバスタオルをグルグルに巻き、毛布を二枚重ねにして、ヒーターを最強にして、汗だくで寝ますが、高熱でうなされて自分の声で目が覚める。
    しかも頻繁にトイレ、、下痢ピッピ。
     
    火曜日は University of Reimsで 3時間の講義をしないといけないので、なんとしても治さないと、、。
     
    夜どおし、下痢と高熱と吐き気にうなされます。
     
    Lundi、13日、お店は全て閉まっている日なのですが、幸運にも少し向こうに開いている薬屋を発見。
    症状を話し、薬を買ってホテルに戻って飲んで、そろりそろり学会場に向かいます。
    そして閉会式まで会場で過ごし、Alainと一緒に昼食会場に。
    お昼御飯、凄く美味しそうですが、僕は我慢して薬と暖かい珈琲を飲みます。
    今晩、御飯を一緒に食べに行かないかと誘ってくれ、下痢なので食べれるかどうかわからないけど、一応行くことに。
    幸いにも、朝飲んだ薬が劇的に効き、夕方には普通に歩けるほどに。
    Alainお気に入りの店で生牡蠣や海老などシーフードを頂きます。
    病み上がりでやめといたほうがイイかなと思いましたが、大丈夫でした。
    美味しかった。
     
    翌朝、ホテルをチェックアウトし、大学に向かいます。
    3時間の講演内容は、、、内緒です。
     

    大学の先生達と。
     
    そのあと、Alainの車でパリに向かいます。
    彼の御息子の Lionelのラボを見学に。
    彼とは、Londonの ESLOで会っていますが、ラボに行くのは初めてです。
    素晴らしいラボです!
     

    部屋も綺麗、机も綺麗、仕事も綺麗、、、何よりも女の子がメチャクチャ綺麗!
     

    その後、Université de Paris Vに向かいます。
    パリにはいくつか大学がありますが、Paris Vは一番大きく優秀です。
    近々、他の大学は Paris Vに統合されると聞きました。
     

    歯学部の入り口です。 病院玄関は他にあります。
     


    Paris Vの大学病院は、4つあるそうですが、モンマルトルの近くにあるこの病院は、とても病院とは思えない、すばらしく美しい病院でした。
     

    病院の中庭には葡萄畑もあり、毎年この葡萄でワインを作るそうです。
     
    矯正歯科を案内して貰ってから Alainが 凱旋門近くのホテルまで送ってくれました。
    その夜は凱旋門に登り、晩御飯は中華に。
     

    翌日は帰る日です。
    朝からモンマルトルに向かいます。
    お目当ての画家さん、、いるかなあ、、。
     

     
    いました、いました。
    彼とは8年ぶりの再会です。
    2003年に会ったときの写真を持参、暫くお話しをして、絵を1枚買って、また来年会いましょうと別れを告げます。
     
    そのあと、世界屈指の舌側矯正専門医、Didier Filion先生のオフィスに向かいます。
     

     

     
    とても美しい診療室で、感動したのは、全て彼自身が行っているということです。
    日本と法律が違い、フランスでは、歯科衛生士は患者さんの口の中に手を入れてはいけないのですが、全てを一人で行い、毎日朝10時から夜7時半までだとか、、。
    お忙しいところお邪魔しました。
     
    今回の学会、いろんな点で今までと違い、たくさん思い出が出来ました。
    フランスの友達、また会いましょう!
     
    “Au revoir!”
     

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