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院長日誌

学会・セミナー

  • JAAO & Swedentist

    ひろ矯正歯科では 現時点では アライナー矯正(一般の方はマウスピース矯正と言いますが、私達はマウスピースという言葉は使いません)は行っていませんが、過去の院長日誌に書いたように、近年、アライナーはソフト、ハードの両面で著しい進歩を遂げており、アライナーは近い将来、世界中の矯正治療の大部分を占めるようになると思われます。
    12月2-3日、日本アライナー矯正歯科研究会が 東京ポートシティ竹芝で開催されましたので、参加してきました。
    翌日は後述の Swedentisに参加のため、1日のみの参加でした。

     

    Meetingは、会長の尾島賢治先生の講演から始まり、その他多数の先生が講演されました。

    アライナー矯正の最大の問題点は、矯正歯科の基本的知識が無い歯科医師が安易に手を出し、泣きを見る患者さん(=被害者)が多いということです。
    長野県内にもアライナーを始める先生が増えていますが、患者さんの皆さんはあとで泣きをみないよう、やめた方が良いと思います。
    先日も県内の歯科医院でアライナーを 2年やっているが、治らないと相談に来られた患者さんがいましたが、お口の中を見て絶句、現状を正直に説明して、キチンと治したいなら、キチンと検査・診断をして、1からやり直す必要があるといことを御説明しました。
    アライナー矯正を希望する方は、県内の歯科医院は避けて、尾島先生のクリニックまで通われた方が良いと思います。

     

    翌日、12月3日は東大安田講堂で  Swedentisなる学会が開催されましたので、参加してみました。

     

    日々診療していると、いろんなセミナーや学会の案内が来ます。
    殆どは右から左ですが、あまりにも内容がアレかな、というものは参加してみることがあります。
    この会は、光加速矯正というのを詠っており、矯正治療中の患者さんにある種の光を当てると歯の移動が速くなるというものです。
    自分の知っている限りでは、そのようなことは evidence baseで研究された報告がないので、試しに聞きに行ってみましたが、、、アレでした。
    ただ、会自体を全否定するものではなく、含嗽剤や齲触治療薬などは実際に有用だと思われましたので発注し、私自身が試しに使ってみています。
    良ければひろ矯正歯科でも患者さんに用い、患者さんに販売する、かも知れません。

     

    東大安田講堂と赤門です。ありがたさを感じました。

     

     

  • 歯学教育について思う

    今年も松本歯科大学から御指名を頂き、歯学部4年生の特別講義をさせて頂きました。

    まずは、他では見られないであろう舌側矯正の治療例を数症例紹介し、巷で言われている「舌側矯正は治療期間が長く、ちゃんと治らない」とか、「喋れなくなる」、「上顎はリンガルでも良いが、下顎はラビアルの方が良い」等々が如何に間違った情報であるかとうことを立証し、矯正歯科の目的や効果についてお話しし(学生さんには難しすぎるため、同席していた医局の先生達のためにお見せしました)、昨年同様、皆さんは何故歯科医師になるのか、どうゆう歯科医師になるのか、という質問をしました。

     

     

    というのは、歯科医師のあるべき姿からかけ離れ、患者さんを食い物にして、暴利をむさぼる最低な歯科医師が目に付くからです。

    先日の銀座の何億円も持ち逃げした歯科医院は論外ですが、こういった話は大都市に限ったことではなく、長野県内にも「あなたの口をきちんと治療するには、最低でも 1000万円は見ておいてください」と平気な顔で言う歯科医師が実在します。

    保険診療では自分の理想の治療が出来ないから自費で診療される先生は理解出来ますが、保険の効く筈の歯周病治療で 1000万円!

    患者さんの中には家を売って支払ったという人もおり、医療法人というより宗教法人かと言わざるを得ません。

    その歯科医師は、某スタディークラブの会長をしており、御自身の治療には、たいそうな自信があるようですが、海外のレベルから見ると全然大したことはなく、自信では無く過信、典型的な悪徳歯科医で、治療以外の面でも、人を平気で馬鹿にする、仁義をわきまえないなど、人間性にも問題ありで、そんな人間は歯科医師を辞めて欲しいと思います。

     

     

    講義では、そのような実例を挙げつつ、矯正歯科は今後どうなるのか、特にアライナー(いわゆるマウスピース矯正)が世界中で急速に拡大しつつあることで、矯正歯科に対する moralと philosophyの欠如した歯科医師が増え、取り返しのつかない結果になって泣きを見る患者さんが爆発的に増えるということ、そして wire bendingが出来ない、診断も出来ない「ナンチャッテ矯正専門医」が増え、本物の矯正歯科専門医の存在そのものが危ぶまれる時代になるであろう、ということについてお話させて頂きました。

     

    私自身は今まで、relapse症例など、Bracketを付けるよりも Alignerの方が適していると判断した症例には in houseで作製して使っていましたが、基本的には Alignerを否定してきました。

    それは Alignerそのものの限界というより、矯正の知識が全く無い歯科医師によって信じられないようなトラブル症例が Alignerによってたくさん作られてきたということが一番大きな理由です。

    Alignerそのものについては、最近の Software、Hardware、Materialの改良と、尾島先生をはじめとする Aligner expertの存在によって、やるべき人が、キチンと手順を踏んで、症例を選んで行えば、素晴らしい結果が得られ、今や multi bracket法のみが矯正の治療では無いと思っています。

    但し、繰り返し書きますが、Alignerを使うにしても、矯正学の基本的知識が必要なことは変わりなく、先日初診相談で来られた患者さんは、他医でアライナーを2年ほど治療しており、歯根は骨から飛び出し、臼歯関係は狂い、上顎前歯は前突して著しい horizontal open biteになっており、本当に悲惨な状態でした。

     

    アライナーに限らず、矯正治療では、金銭面でのトラブルも多いです。

    治療を開始する前に全額前金で払わせておき、一旦支払ったお金はいかなる理由があっても返金しませんという念書を取る。

    そんなのは歯科医師を辞めて、詐欺師か暴力団にでもなったほうが良いと思います。

    こんなクソ歯科医は、自分が逆の立場なら納得して支払うのでしょうか?

    絶対に支払わないと思います。

     

    私が大学を卒業した当時は、矯正専門医というのは希有なる存在で、矯正歯科と標榜することも認められていませんでした。

    一般歯科で開業すると、開業直後からたくさんの患者さんが押し寄せて大忙しということが多いですが、矯正専門開業は、立ち上げの数年間がまさに地獄の苦しみで、どんなに苦しくても一般診療には絶対に手を出さないぞ、死ぬまで走り続けるんだ、という、本当に想像を絶する覚悟と努力と耐力が必要でした。

    なので、医局の先輩達も矯正専門で開業する先生は少なく、一般歯科・矯正歯科、あるいは小児歯科・矯正歯科で開業する先生が殆どでした。

     

    今回私が講義をしたのは 4年生ですが、彼らは来年になると臨床予備実習があります。

    私達が学生の頃は、登院する前にポリクリというのがあり、無事ポリクリを終えると臨床実習で大学病院に登院して患者さんを配当されるのですが、毎日診療前に診療計画書をインストラクターに提出してOKを貰わないと患者さんを診させて貰う事は出来ませんでした。

    今ではカリキュラムが変わり、臨床実習前には、CBT、OSCEという試験があり、これらを通過しなければ、進級は不可、留年になります。

    これらの試験は国が行っているものですが、学生の人生を左右する重要な節目であるにもかかわらず、非常に大きな問題がいくつもあります。

    まず CBTに関してはパソコン相手であるため、試験官の主観が入ることは無いのですが、OSCEは以下のような重大な問題があります。

    1. 試験が匿名で行われていない
    2. しかも試験官と受験生は面識があり、試験官の私情が入る余地が大いにある
    3. 試験官が大学内部から1名、外部から1名とされているが、実際には2人の試験官が同じ基準で評価していることは稀である
    4. 試験官の採点が正当であるかどうかの審査が行われていない
    5. 試験結果を非公表としている
    6. 上記、試験結果を非公表とされているため、仮に評価が不当である可能性が濃厚でも、スポーツのようにビデオ判定による「チャレンジ」が行われることがない

    などなどです。

    1は、非常に重要なポイントで、例えば、私が試験官を務めていたヨーロッパの指導医の試験は、完全に Blind、Anonymousで行われており、試験官からはその Applicantが何処の誰なのかわからない、受験する Applicantからも、自分を評価する Examinerが誰なのか、わからないようになっています。

    さらに評価は 2人の異なった試験官が1人の Applicantの採点を行い、お互いの採点結果を照らし合わせて、最終的に合否が決められます。

    合否が決まった後、Examinerと Applicantは対面して、Examinerは Applicantに合否を告げ、採点の基準について説明、これは何点減点である、これは何点加点である等々の Feedbackを行います。

    したがって、何故不合格なのか納得のいかないまま終わり、とか、友達だから合格させた、ということはありません。

    ところが、日本で行われている OSCEは臨床想定の試験が対面で行われており、最も大きな問題は、その試験官と受験する学生は、座学や基礎実習などで何度も顔を合わせていて面識があるということで、試験官を務める医局員が、「この学生は気に食わないから落してやろう」と思えば簡単に落とせる、逆に部活の後輩など、自分のお気に入りの学生に対しては、ミスがあっても見ぬふりをして合格させることが可能であるということです。

    つまり、仮に全国屈指の優秀な学生が毎日 OSCE対策のトレーニングを積み、本番の試験で何も問題なく終えたとしても、試験官がコイツは落してやろうと思えば簡単に落とせる、試験官次第でその学生の人生が変えられる可能性がある、ということです。

    試験要項では、試験の様子はビデオ撮影され、いつでも再審査が可能であるように詠われていますが、実際にはそのようなことは無いようです。

    試験結果を公表しないという理由は、問題漏洩の防止のため、とされていますが、結果の公開非公開と試験問題漏洩とは無関係であり、しかも試験官は、結果が非公開でクレームは一切受け付けないということを知っているので、不当な評価で学生を不合格にしたとしても、それが立証されることはない、つまり試験官の好き放題、やりたい放題がまかり通っているという事です。

     

     

    これらは医学部のOSCEに関する投稿です。

     

    受験する学生側にはいろいろな制約があり、納得出来ないルールがいくつも存在するのに、試験官は好き放題、やりたい放題で、試験官を評価するシステムは皆無なのです。

    この問題をクリアして、OSCEを正当かつ公平な試験にするには、

    • 基本的に学外の試験官が評価を行い、受験生と面識のある試験官には担当させない
    • そして、必ず2人以上の試験官が同じ基準で採点して、採点結果を照合する
    • 試験内容はビデオ撮影し、学生から異議を唱えられたら、機構が精査して再評価を必ず行う
    • 受験生の顔や声は出来る限りわからないようにBlind環境を整える

    等々でしょうか。

     

    そもそも医学部、歯学部の一般教養以外の基礎実習、臨床実習などの学生教育は、教授でも教員でも何でも無い「ただの医局員」によって行われており、その医局員達は教育に関するトレーニングは何一つ受けていないということ、その連中の中には、自分が学生時代にインストラクターに虐められてとても辛い思いをしたから、今度は自分が学生を虐めまくってやろうと考えているような、人格に問題のある者もいるということです。

    なので、学生が徹夜で必死で何十枚も書いてきたレポートを学生の目の前でビリビリに破いて大声で怒鳴り散らしたり、学生の作ってきた製作物を学生の目の前でゴミ箱に投げ捨てたり、学生のカバンを足で蹴っ飛ばしたりする医局員がいるのです。

    私が学生の頃、同級生が保存科のインストラクターから連日ひどい虐めを受け、その同級生は「あの野郎、卒業したら絶対殴ってやる」と言っていました。その同級生は卒業式の日に本当にそのインストラクターをぶん殴って、殴られたインストラクターはロビーで腫れ上がった顔を冷やしていたのを思い出します。

    海外の歯科大学では、インストラクターが学生の評価を行うだけでなく、学生もインストラクターの評価を行い、評価が低いインストラクターや、クレームが多いインストラクターは大学から追放されます。

    日本の全ての歯科大学でも、1日も早く学生が教員を評価できるシステムが導入され、不適切なインストラクターが歯科学生の夢や希望を奪う事がなくなるよう、心から希望します。

    学生諸君、泣き寝入りしないで、みんなで力を合わせて闘え!

     

     

    附:上記は、松本歯科大学のことではありません。一般的傾向として、私立大学は学生に優しく、国公立大学では上記のような傾向が強いようです。

     

     

     

  • 第82回 日本矯正歯科学会学術大会開催さる

    2023年 11月 1日〜3日、第 82回日本矯正歯科学会学術大会が新潟市の朱鷺メッセで開催されました。
    本大会は日矯設立 100周年、聞きたい演題がたくさんあり、楽しみにして新潟入りしました。

    大会初日、朝少し早めに会場入りし、総合受付近くのテーブルで抄録集を再チェックしていると、向こうから尾島先生が。
    先生と記念撮影をして、少しお話。

     

    尾島先生はアライナーにかけては世界をリードする先生です。

    12月 2~3日の JAAO行きますが、土曜日しか出れない旨お伝えしたところ、数日後、1日しか出れない先生のためにオンデマンドで配信しますというメールあり。

    まさか僕のことでは無いと思いますが、有り難いことです。

     

    まず、学会開会式で大会長の齋藤功先生の御挨拶。
    齋藤先生は新潟大学の教授、本大会の大会長であり、日矯学会の理事長をも兼任されていらっしゃいます。
    退官されたとのことですので、会場で記念撮影を御願いしたところ、快く一緒に撮って下さいました。

     

    齋藤先生と言えば、Standard edgewise、研究も第一人者、お人柄も優しく、紳士的な先生で、学生からも尊敬され、憧れられています。
    退官された後も甲北信越矯正歯科学会でお会い出来ることを楽しみにしています。

     

    学術講演は「矯正治療における形態と機能の関連を探る」というシンポジウムから始まり、日大松戸の根岸慎一先生、新潟大の大川加奈子先生、鶴見の菅崎弘幸先生、鹿大の大賀泰彦先生、医科歯科の小野卓史先生が講演されました。
    偶然なのかはわかりませんが、今回の学会ではシンポジウムや海外講演も含めて拡大に関する講演が多く、中には、特に狭窄もしていない混合歯列期の拡大を行っているなど、拡大の判断基準が明らかに間違っている先生もいました。
    ひろ矯正歯科のホームページでは拡大に関する注意喚起を記していますが、一般歯科医がパノラマレントゲンだけ撮って、歯が入る隙間が足りないからアゴを拡げなければいけない、と、間違った拡大を行い、5年も 6年もアゴを拡げ続けて、目を覆いたくなるような状態になって、泣きついてくる患者さん(=被害者)が後を絶ちません。
    混合歯列期にパノラマを撮れば、未萌出の側方歯が重なって写るのは当たり前で、そんなことも知らないで「歯が入りきらない」、「アゴを拡げる治療が必要」と言う先生が矯正歯科専門医にもいるのには辟易とします。
    Basal arch云々言ったところで、人によって Cranial width も違えば zygomaticも違うし、arch widthも違うので、何を根拠に拡大が必要というのか、間違っていることに気付いて下さい。
    特に一般歯科の先生、矯正の専門的知識も治療技術も無いのに、これ以上患者さんを食い物にして被害者を増やすのはやめてください!
    シンポジウムなので遠慮せずに挙手発言しようと思いましたが、隣に座っていた芽生先生が「教授なんだから、やめな」って制止するので思いとどまりましたが、やはり発言したほうが良かったような気がします。

     

    海外特別講演は West Virginiaの Peter Ngan先生、Maxillary expansion and protraction in the primary, mixed and permanent dentitionsという演題で講演されました。
    Ngan先生からは、10年ほど前に Class III bookを書くのでリンガルの Class III 治療について3症例くらい治療方法について書いてくれと頼まれ、これでどうだ、とばかりに 10症例出してリンガルのメカニズムについて書いたところ、大反響、2019年の Angle biennial meetingでは、先生のほうから声をかけて下いました。

     

    Ngan先生は、とても friendly な優しい先生です。
    講演では、混合歯列期の患者さんに implant anchorを使って expansionを供覧しておられましたが、う〜っ、、、若年者は implantが fail outしやすいのに、なんでわざわざインプラント使うか、、、私なら implantは使わず、普通に Bandingして、通常の skeleton typeの RPEを使うけどなあ、、、質疑応答の時間があったので、質問しようと思いましたが、折角の講演に水を差しても申し訳ないので遠慮しました。
    Protractionに関しては、参考になる部分がありました。

     

    シンポジウム 2は「100周年学術研究プロジェクトの意義、進捗そして今後」というテーマでと昭和の中納治久先生、北大の佐藤嘉晃先生、医歯大の小川卓也先生、鹿大の宮脇正一先生とその研究グループ、東北大の金高弘恭先生の講演、さすが、一流の先生達は違います。

    もう一人の海外特別講演は Connecticutの Ravindra Nanda先生の「Reflections on the Last Five Decades and Predictions for the Next Fifty Years of Clinical Orthodontics」、 国内特別講演は、牧野惇さんの「アナログとデジタルの境界を跨ぐ表現」という講演、非常に興味深く聴かせて頂きました。

     

    やはり日本矯正歯科学会大会は日本で一番古くからある、日本で最大の矯正歯科学会、会場の空気が張り詰めていて厳かでイイナと思いました。

     

    学会のあとは associateの村上先生と一緒にお食事.

     

     

    学会前日はゴルフコンペにも参加しました。
    良いコースでしたが、カートがリモコンじゃないので、逆に疲れました。

     

    2024年の JOSは、10月 29〜31日、横浜で開催されます。

     

     

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