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院長日誌

舌側矯正

  • CEO & Paris V

    2019年 6月 7-10日、Franceの Nantesにて、ヨーロッパの矯正歯科専門の学会である CEOの 2019年学術大会が開催され、Key note Speakerとして招待されましたので、行ってきました。

    本学会の終了後は、いつもどおりパリに移動、パリ大学歯学部矯正歯科の教授、矯正歯科専門医、舌側矯正特別修習生達を対象に、舌側矯正に関するトラブルについてお話しをさせて頂きました。

     

    6月6日、ANAでCDGに到着、CDGからは事前にネット予約した TGVで陸路 Nantes入りしました。

    Nantesは初めてですが、、、他のフランスの街並みと雰囲気が随分違います。

    フランスの街並みはどれもみな絵を描きたくなるような美しい町ですが、Nantesはどちらかというとサッパリとした感じでした。

     

    ホテルは Nantes中央駅の近くの Mercure、学会場は Mercureから車で 20分ほどのところにある Westotel Hotel、タクシーで €30ほどです。 Uberだと半額くらいだと思いますが、自分は基本的にタクシーを使い、どうしてもタクシーが手配出来ない時だけ Uberを使うようにしています。

     

    学会場に着き、Registrationを済ませると、Secretaryが大会場に案内してくれます。

     

    学会場の Westotel

     

    会場へ入るドアを開けると、、、うわっ! ステージの真横!

    後ろには入り口は無いのか聞きますが、ここしか無いとのことで、ステージ横から姿勢を低くして入ると、大会長のDr. Alexis MoreauとSecretary のDr. Emmanuel Frerejouandが講演中にも関わらず、立ち上がって出迎えてくれました。

    ちょうどその時講演していたのは、自分が European Boardを受験したときの Examinerだった Dr.Lorentz Moserでした。

     

    彼の講演が終わったあと、学会関係者の先生方に挨拶していると、Lorentzも来てくれ、「Toshiは EBOに全てリンガルの症例で合格したんだ、その時の Examinerがオレだ!」と、みんなに話してくれました。

     

    講演会場です。CEOはいつもはもっと大規模ですが、今年は1週間後にEOSが Niceで開催されるために、参加者は少なめで、殆どがフランスの先生だったように思います。

     

    当日は最後まで講演を聞き、その後の Excursionの Loire river cruseはパスしてホテルに戻って休みます。

    その夜は President dinner、ホテルから徒歩15分ほどのところにある “Le Machines de L’ile”が会場です。ここにはいろんな動物が機械で作ってあり、全て本物のように動きます。

     

    この大きな像も本物のように動き、鼻からは水を出します。

     

    何処に座ろうかなとテーブルを探していると、親友の Germain Beckerが招いてくれました。有り難いですね。

    食事をしていると、昨年1月に Paris Vで講演した際に自分の lectureを聞いていた先生や、以前 Reimsの CEOで会ったという先生達が次々と挨拶に来てくれて、なんとも嬉しい限りです。

     

    左の写真は親友の Emmanuelです。 会場は屋根はありましたが、屋外で、6月なのにとても寒かったです。

     

    宴たけなわになると、ヨーロッパではお決まりのダンスが始まり、みんな踊り始めましたので、ホテルに戻ってプレゼンの準備をします。

     

    翌日は1日ホテルにこもり Power Pointのチェック、自分の講演は学会最終日ですので、楽勝で間に合う筈だったのですが、スライドの何枚かが×に化けていたり、横縞に化けてしまって画像が表示されません。

    MacとPower Pointの convertがいまだにダメなようで、Keynoteに落としますが、同じです。

    これが本番でいきなり出たらと思うと、ゾッとします。

    自分は 35年間 Mac一筋で、Macだけを使い続けてきましたが、Windows machineに乗りかえた方が良いかな、と思う今日この頃です。

     

    講演は、他の一般口演の先生達は 20分間ですが、自分は Key note speakerなので 50分間。50分間喋るというと、長くて大変なように思われるかも知れませんが、しゃべり出すと 50分はあっという間で、90分くらいでちょうど良いかなと、いつも思います。20分間では何も話せません。

     

    講演内容は、Angle Society Midwest componentの memberになるために提出した 15症例を紹介し、Angleの membershipの要件や、memberになるための手順について説明しました。

    自分の講演のあとは Coffee break、講演が終わるといろんな先生が一緒に写真を撮って欲しいと来てくれました。

     

    講演のあとはたくさんの先生が Facebookで賛辞を送ってくれました。

     

    学会終了後は TGVでパリに移動します。

    パリ大学での講演までは 2日間あるので、いつもどおり、Alainのお墓参りに行き、その後は市内をぶらつきます。

     

     

    ホテルから徒歩圏内である Sacré-Cœur、僕の一番好きな場所の1つです。

     

    Sacré-Cœurのすぐ隣の Place du Tertreです。今は広場周辺のレストランがテントを貼っていますが、昔はこの広場全体が画家達で埋め尽くされていました。有名な画家を目指す Artistsはここに集まってきたものですが、今や、画家達は隅っこに追いやられ、なんとも悲しいものです。

     

    とは言いながら、お腹が空いたので、ここで遅めのお昼を頂きました。

     

    Citeにあるお気に入りのレストラン、La Réserve de Quasimodoは、残念ながら閉店していました。元は英語が喋れないフランス人がやっていたのですが、昨年来たときは中国か韓国か、アジア系の人に代わっていたので、不思議に思ったのですが、、。

     

    翌日は、時間があったので St Martin canal cruseに乗りました。

    こうゆう水門がいくつもあり、船が徐々に髙地に上がってゆきます。昔、これを取り壊して高速道路を作ろうという案が出たそうですが、最終的には保存されたそうです。

     

    パリでの駐車の仕方、、。

     

     

    凱旋門のてっぺんから望むエッフェル塔です。

     

    パリ大学での講演の前日はいつも、Germainや他の教授達が dînerに招待してくれます。

    本当に有り難いです。

    仏蘭西料理は本当に芸術です。見た目だけでは無く、本当に美味しいです。

     

     

    パリ大学での講演

     

    大学には今も自分のWBLOの症例が展示されています。

    有り難い、有り難い。

     

     

    午前は lecture、お昼ごはんをはさんで、午後は診療です。

    いろいろ質問してくれるのは、本当に光栄で有り難いことです。

     

    パリ大学といえば、日本で言えば東京大学に相当するわけで、自分のような田舎の専門医が殆ど毎年、機会ある毎に呼ばれて教授達を相手に講義をさせて頂けるというのは、本当に光栄で有り難いお話しです。

     

    「廣先生は日本では講演しないのですか」とよく聞かれますが、日本の矯正歯科界は、力関係、政治力の強い人達で回っているために、自分の出る幕はありません。

    これについては、かなりややこしい話になるので、また別の機会に書きたいと思いますが、思うことがかなりあります。最低限、何も関係ない会員が迷惑をしているということを、日本矯正歯科学会執行部はよく考えて頂きたいと思います。

     

    いつも「これが終わったら趣味に没頭しよう」と思っていますが、無理です。年内は、海外2つ、国内2つの学会に参加しなければならないので、休む暇が全くありません。

     

     

  • Angle Orthodontists

    2019年2月1日〜2月6日、St.Petersbergの Trade WindsE.H.Angle Society of Orthodontists(EHASO)Midwest components Annual meetingが開催されましたので出席してきました。

     

    meetingはいつもこんな素晴らしいリゾートで開催されます。

     

    Angleの学会は、ヨーロッパにもありますが、ヨーロッパの Angle Societyは別物で、アメリカの Angle societyとは関係ないと言う先生もいます。

    正直自分には良く分かりませんし、そのような事に興味もありませんが、たしかに EHASOの websiteにはそのリンクが張られていないので、そうなのかも知れません。わかっていることは、アメリカの Angle Societyは7つの componentsから成り、中には日本人を受け入れていない componentsもあれば、正会員になるのが簡単で日本人が物凄くたくさんいる componentsもあり、それぞれ独自の Characterを持っているということです。

    自分が挑戦したのは7つの中では一番難関でハイレベルだと言われている Midwestです(自分が言っているのではありません)。

    Midwestが一番上にランク付けされる理由は、Midwestの memberになるには、アメリカの矯正専門医(ABO)の資格を持っていることが条件であること、会員になってもポイント制で会員資格を維持してゆくには所定の発表や、割り当てられたノルマを果たさなければならないことなど、理由はいくつかあります。Memberの顔ぶれも錚々たるもので、かの有名な James McNamaraや James Baldwin、James Vadenや Sheldon Rosensteinなども Midwestの memberです。自分は日本矯正歯科学会専門医(JOB)やヨーロッパ矯正専門医(EBO)は持っていますが、ABOは持っていません。(ABOを取るには、アメリカの歯科大学ないし大学院を出ていないと受験資格がないので、自分にはABOは受験資格が無いからです。) Midwestは、そうゆう先生のために、会が ABOと同じ試験を行い、所定のレベルに達した者のみが memberになる資格が与えられます。

    ちなみにその試験の内容は、

    1. 面接

    2. 症例展示

    3. 筆記試験

    4. 臨床試験

    5. リサーチ

    です。

    2の症例展示は、自分には全く問題なく、3症例ともLingualの症例を持参しました。

    問題は3の筆記試験です。ABOと同じ multiple choiceの筆記試験で、歯科領域全般について出題されるために、学生時代に勉強したことをやり直すだけでなく、technical termも覚えなければなりませんが、毎日臨床に追われて試験勉強をする時間がまったく無い自分は惨憺たる結果であったと思います。

    4の臨床試験は ABOに準じており、この試験が EBOや JOBなど、他の試験と異なるところは、まだ治療をしていない患者さんの初診時の資料を10症例持って行き、治療が終わるまで毎年その治療経過を提出し、所定の期間内に治療を完了するだけでなく、治療結果も ABOの厳しい審査基準に基づいて採点され、それに合格しなければならないという点です。ただ、これは自分は100%自信が有りました。もともとAngleにapplyした理由は、この臨床試験に10症例全てリンガルの症例を提出して合格点を取ることだったのですが、Examinerから Labialの症例も出すように言われたために、全症例リンガルというのは実現せず、1症例は Labialの症例を提出しました。症例提出に際し、同意書にサインをして頂きました患者さんの皆様には心から感謝致します。

    4つめのresearchは、何でも良いと言うわけでは無く、何について研究をするか毎年 Scientific committeeと打ち合わせ、患者さんの資料を使う場合にはリサーチに取りかかる前に IRBを取得しなければなりません。大学に所属していない自分は、この面倒な IRBを避けて通りたかったので、舌側矯正のワイヤーを materialに使った研究をしました。

     

    2017年の meetingで全て自分はひととおりの requirementを果たし、本当なら2018年の meetingで大阪の井上先生と一緒に memberとして certificateを貰う筈だったのですが、2018年の meetingがドイツのリンガルの学会〜Paris Vと重なってしまったためにAngleには参加できず、今年になったわけです。

    ちなみに、Midwestのmemberで、日本で矯正歯科専門開業しているのは、自分と大阪の井上裕子先生の2人だけです。

    井上先生は大阪大学をトップで卒業された、頭脳明晰、もの凄く優秀で親切な先生です。

    Angleの memberになるのは長い道のりで本当に大変でしたが、これで終わりでは無く、ここから一層頑張らなければ、と思っています。

     


    今回、自分を含めて7名の先生が memberとなりました。

     


    アメリカではいつもOutback Steakhouseに行きますが、近くになかったために、Longhorn Steakhouseに。
    パンが出てくるなど、スタイルは基本的に同じですが、こっちのほうが安くて美味しかったです。

     

    お昼ごはんは毎日ホテルでOMG Burgerとビールを頂きました。
    OMGは、Oh My Godの略です。

     

  • 第4回世界舌側矯正歯科学会と、、

    2011年4月2日~4日、World Society of Lingual Orthodontic Meetingが大阪国際会議場にて開催されました。

     

    本学会では、御指名により、Pre-congress courseの講師と、4月3日の最終演題に講演をさせて頂きました。

    学会の開会の挨拶は、震災で亡くなられた方々への1分間の黙祷から始まりました。
    津波に家族をさらわれ、地震以後、家族と会っていない、でも、何処かで生きていると信じて、一生懸命頑張って生きている人達を想うと、涙が出ました。
    自分だったら、生きてゆける自信はありません。
    気が狂ってしまうと思います。
    被災された方々の精神的ケアと、1日も早い復興をお祈りいたします。

     

    この原発事故の影響で、海外からの先生の多くはキャンセルとなりましたが、日本語の話せない先生が、「がんばれ日本、負けるな日本」と、カタコトで言ってくれたり、そう書いたスライドが出てくる度に、泣けてきました。

     

    学術大会前日、2日の土曜日は Pre-congress courseです。
    有名な日本人・イタリア人の部屋は小さい部屋で参加者も10名程度なのに、私のコースは、約 90名ほどの先生達が受講してくださり、会場はなんと、学会のメインコングレスの部屋!

    有り難いことです。

     

    私のコースの内容は、3種類のワイヤーベンディングと、舌側矯正のレクチャーです。

    本当にたくさんの先生が参加してくださいました。
    じつは、この3つの wire bendingは、それぞれがリンクしています。
    最初に行った Breakfast menuは、臨床でのワイヤーベンディングのスキルアップに直結するトレーニングです。
    2つ目は、前歯にベンドを入れると臼歯にどうゆうトルクが入り、どうゆうハイトの違いが出るか、臼歯にベンドを入れると前歯にどうゆう影響が出るかということを再確認することを目的として、また同時に、レクタンギュラーワイヤーを余計なトルクや傾斜が入らないように、正確に曲げる練習です。

     

    この2本目までを午前中に終了させ、昼食のあとは珈琲でも飲みながら質疑応答、午後は臨床に使うワイヤーを曲げる練習をして、レクチャーに入る予定でした。
    ところが、、、思ったより先生方のワイヤーベンディングが捗らず、結局2つ目のメニューは、最後まで曲げるのを断念、3つめの Clinical exerciseに入りました。

     

    これは、1725の Beta Titan wireを使って、Lingualの mushroom archを屈曲し、前歯部に Buccal Crown Torqueを入れる練習、そのあと Gable Bendを組み込んで、実際の治療で Space closingに用いるワイヤーを曲げて頂きました。

     

    これらの wire bendingに予想以上に時間がかかってしまい、一部の先生からの fundamentalな質問も加えて、予想外の 超・ウルトラ・ディレイ。

     

    レクチャーの方は大急ぎで行いましたので、ブーイングが出るかな、と少し覚悟していましたが、終わるやいなや、国内外のたくさんの先生達から、「前歯部のトルクがあんなに簡単に入れられるとは知らなかった」、「知らないことをいっぱい教えて貰えた」等々、絶賛のお言葉を頂きました。
    急ぎましたが、ポイントは飛ばさずしっかりおさえましたので、御理解いただけたでしょうか。

     

    学会終了後、コースに参加していた小児歯科の先生から 「しょーもないコースやりやがって! 居波がどれだけ迷惑してるかわかってんのか!」と言われましたが、私は 1円たりとも謝礼は受け取っていません。
    コース参加料がいくらか知りませんが、仮に5万円だとすると、450万円ほど学会に貢献しているわけです。
    居波先生から頼むから助けてくれと言われてコースを引き受けて、多大な貢献をしているのに、御礼も言わないというのはどうなんでしょうか。
    それと、この小児歯科の先生、WSLOに何しに来たのか知りませんが、小児歯科専門医の先生にはリンガルは必要無いし、無理でしょう。
    失敗したらリンガルが悪く言われるので、やめて貰いたいです。

     

    学会最終日の講演は、”Doctor, can you treat me with Lingual Orthodontics?”という演題で、リンガルは治療期間が長く、ちゃんと治らないからやめた方が良いという歯科医師が多いが、それは間違っているということについて、実例を示して証明しました。

     

    今回の学会では、日本矯正歯科学会会長の後藤教授をはじめとする日本の国公立・私立大学の教授達がたくさん参加しておられました。
    外国では、たくさんの Professors & Chairmen がリンガルの学会に参加しますが、日本でのリンガルの学会に大学の教授が参加するというのは、珍しいことです。

     

    これにはいろいろ理由があるのでしょうが、一番の理由は、リンガルに対するイメージ、すなわち、「リンガルをやっている奴ら=金目当て」、「リンガルをやっている奴ら=まともな治療をしていない」、「リンガル≠矯正歯科、リンガル=美容矯正」といった公式が成り立っているからだと、私は考えます。
    そして、そうゆう評価を受けるのは何故なのか、リンガルをやっている先生達は自分の胸に手を当ててよく考えて頂きたいものです。
    私はリンガルの治療に際しては、資料、診断、治療内容、治療結果、治療後の安定性、どれをとっても通常の矯正以上であるように、何処のどんな試験官がみてもお墨付きを頂けるような治療であるべく、精一杯頑張っています。
    御参加いただいた教授達には、リンガルはファッションではない、リンガルは患者集めの手段ではない、これだけきちんと治療している者もいるのだ、ということを伝えたかったので、演題もその内容に焦点を合わせましたが、伝わりましたでしょうか、、。

     


    黒いスーツが Brazilの Dr.Arima。 彼の Board caseは今回の candidatesの中で最も素晴らしい治療であったと聞いています。

     

    学会が終わった後、Dr.Svitlana Babiiが塩尻の私のオフィスまで見学に来られました。
    彼女の住む Odessaは、人口100万人で、専門医は50人くらい、歯科医院の数は美容院の数よりも多い、とのことです。
    リンガルについて教えてくれる環境がない、教えてくれる人もいないとのこと。
    2日間滞在されましたので、一通りのラボワークをお教えし、臨床見学と、困っている症例についての相談を受けましたので、私ならこう治す、とアドバイスをさせて頂きました。
    何一つ隠さず、私の知っていることは全てお教えしましたが、御理解いただけたでしょうか、、。

     


    技工室にて、Hiro’s lab. work experience
    技工士さんは英語が話せないので、勤務医の神谷貴志先生が付きっきりで教えます。

     


    いつもどおり「かつ玄」で 一緒に晩御飯を。

     


    ハイ、ポーズ!

     


    次回のリンガルの学会は、2012年6月28日〜7月1日、Frankfortで行われます。
    日本の大学の先生達がたくさん参加されることを希望します。
    WSLOは、もうイイかな、、。

     

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