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院長日誌

試験

  • Angle Orthodontists

    2019年2月1日〜2月6日、St.Petersbergの Trade WindsE.H.Angle Society of Orthodontists(EHASO)Midwest components Annual meetingが開催されましたので出席してきました。

     

    meetingはいつもこんな素晴らしいリゾートで開催されます。

     

    Angleの学会は、ヨーロッパにもありますが、ヨーロッパの Angle Societyは別物で、アメリカの Angle societyとは関係ないと言う先生もいます。

    正直自分には良く分かりませんし、そのような事に興味もありませんが、たしかに EHASOの websiteにはそのリンクが張られていないので、そうなのかも知れません。わかっていることは、アメリカの Angle Societyは7つの componentsから成り、中には日本人を受け入れていない componentsもあれば、正会員になるのが簡単で日本人が物凄くたくさんいる componentsもあり、それぞれ独自の Characterを持っているということです。

    自分が挑戦したのは7つの中では一番難関でハイレベルだと言われている Midwestです(自分が言っているのではありません)。

    Midwestが一番上にランク付けされる理由は、Midwestの memberになるには、アメリカの矯正専門医(ABO)の資格を持っていることが条件であること、会員になってもポイント制で会員資格を維持してゆくには所定の発表や、割り当てられたノルマを果たさなければならないことなど、理由はいくつかあります。Memberの顔ぶれも錚々たるもので、かの有名な James McNamaraや James Baldwin、James Vadenや Sheldon Rosensteinなども Midwestの memberです。自分は日本矯正歯科学会専門医(JOB)やヨーロッパ矯正専門医(EBO)は持っていますが、ABOは持っていません。(ABOを取るには、アメリカの歯科大学ないし大学院を出ていないと受験資格がないので、自分にはABOは受験資格が無いからです。) Midwestは、そうゆう先生のために、会が ABOと同じ試験を行い、所定のレベルに達した者のみが memberになる資格が与えられます。

    ちなみにその試験の内容は、

    1. 面接

    2. 症例展示

    3. 筆記試験

    4. 臨床試験

    5. リサーチ

    です。

    2の症例展示は、自分には全く問題なく、3症例ともLingualの症例を持参しました。

    問題は3の筆記試験です。ABOと同じ multiple choiceの筆記試験で、歯科領域全般について出題されるために、学生時代に勉強したことをやり直すだけでなく、technical termも覚えなければなりませんが、毎日臨床に追われて試験勉強をする時間がまったく無い自分は惨憺たる結果であったと思います。

    4の臨床試験は ABOに準じており、この試験が EBOや JOBなど、他の試験と異なるところは、まだ治療をしていない患者さんの初診時の資料を10症例持って行き、治療が終わるまで毎年その治療経過を提出し、所定の期間内に治療を完了するだけでなく、治療結果も ABOの厳しい審査基準に基づいて採点され、それに合格しなければならないという点です。ただ、これは自分は100%自信が有りました。もともとAngleにapplyした理由は、この臨床試験に10症例全てリンガルの症例を提出して合格点を取ることだったのですが、Examinerから Labialの症例も出すように言われたために、全症例リンガルというのは実現せず、1症例は Labialの症例を提出しました。症例提出に際し、同意書にサインをして頂きました患者さんの皆様には心から感謝致します。

    4つめのresearchは、何でも良いと言うわけでは無く、何について研究をするか毎年 Scientific committeeと打ち合わせ、患者さんの資料を使う場合にはリサーチに取りかかる前に IRBを取得しなければなりません。大学に所属していない自分は、この面倒な IRBを避けて通りたかったので、舌側矯正のワイヤーを materialに使った研究をしました。

     

    2017年の meetingで全て自分はひととおりの requirementを果たし、本当なら2018年の meetingで大阪の井上先生と一緒に memberとして certificateを貰う筈だったのですが、2018年の meetingがドイツのリンガルの学会〜Paris Vと重なってしまったためにAngleには参加できず、今年になったわけです。

    ちなみに、Midwestのmemberで、日本で矯正歯科専門開業しているのは、自分と大阪の井上裕子先生の2人だけです。

    井上先生は大阪大学をトップで卒業された、頭脳明晰、もの凄く優秀で親切な先生です。

    Angleの memberになるのは長い道のりで本当に大変でしたが、これで終わりでは無く、ここから一層頑張らなければ、と思っています。

     


    今回、自分を含めて7名の先生が memberとなりました。

     


    アメリカではいつもOutback Steakhouseに行きますが、近くになかったために、Longhorn Steakhouseに。
    パンが出てくるなど、スタイルは基本的に同じですが、こっちのほうが安くて美味しかったです。

     

    お昼ごはんは毎日ホテルでOMG Burgerとビールを頂きました。
    OMGは、Oh My Godの略です。

     

  • 日本矯正歯科学会専門医

    第69回日本矯正歯科学会大会が 9月27日~29日、パシフィコ横浜で行われました。
    今回の日矯学会では、専門医の更新のための症例展示を 3症例 舌側矯正で提出し、3症例全て合格しましたのでお知らせします。



    会場の パシフィコ横浜・会議センター


    日本矯正歯科学会の専門医制度というのは、2006年に発足し、私は札幌での初回の専門医試験で合格したことは、過去の院長日誌に書きました。
    この専門医のライセンスの有効期限は 5年間ですので、来年 2011年の 11月に更新を迎えます。

    この日矯専門医というのは、極めて厳格な試験で、全て完全匿名で行われるため、「知り合いだから合格にする」とか、「有名な先生だから合格にする」といった不正が一切まかり通らないようになっており、過去には有名な歯科大学の矯正歯科の教授でさえ落っこちているという、なんとも恐ろしい試験です。

    第一回の専門医試験で合格した者は、2011年に更新時期を迎えますが、この更新のためには、2006年以降に治療を終了し、2年以上の保定を行った新しい 3症例の治療記録を日矯学会等に提出し、合格証明を 3枚貰わなければなりません。
    毎日、診療に、学会準備に、講演活動にと追われている私は、そんなこととはつゆ知らず、来年の更新時期が来たら書類を提出して終わりだと思っていました。。。(世の中そんなに甘くはない、、)

    ちょうど半年くらい前でしょうか、たまたま仲の良い先生と話をしていて、「廣先生は、もうパス貰ったんでしょ?」というので、「何ですか、それは?」という事になって 資料提出の事を知り、「ひえ〜、今まで4年間、なんもしてねえじゃ〜ん! 今年の日矯学会でダメだったら、来年リーチ1発ってこと? それはチョ〜キビシイ!」と、目が点になりました。

    その後、どうせ更新するなら、やはり全部リンガルの症例で出そうと決め、何千とあるカルテの中から 6症例を選びました。
    日矯学会に提出するには、患者さんの同意書が必要ですので、これらの6名の方々は、リコールでお見えになった際にお願いして快諾してくださった方が5名、残りの1名の方には電話で事情を説明して、わざわざ資料採得のために出向いて頂きました。

    これら 6症例(内訳:Angle I 級叢生抜歯症例1例、II 級1類抜歯症例1例、II 級1類非抜歯症例1例、II 級2類抜歯症例1例、II 級2類非抜歯症例1例、III 級非抜歯症例1例)の中から、最終的に3症例をセレクトし、学会の約 3週間前に 提出資料作成着手と あいなりました。

    ところが、、、
    いつもどおり、毎日朝から晩まで診療に追われ、夜はクタクタ、準備しようにも、時間も集中力もありません。
    で、ロンドンの時と同じように、毎朝5時に起きて準備。
    さらに、日曜、月曜の休診日には、朝から夜遅くまで診療室に缶詰で資料作成にあたります。

    日矯まであと1週間という時に、大事件が、、。
    第2症例が、、、保定期間が1週間足りないことに気が付いたのです。
    必死で作成した資料が全て無駄になりますが、自分の不注意ですので、仕方がない。
    でも、気がついて良かった、、気付かずに出していたら、アウトですから。
    大あわてで、他の症例に差し替えです。
    レントゲンや顎模型のデュプリケートを大急ぎで注文し、トレースも原稿も全部やり直し。

    そんなことをしているうちに、専門医試験前日の 9月 25日になってしまいました。
    松本を出る時には、まだ資料が完成していないため、段ボール箱一杯の事務用品とシャーカステンを車に積み込み、ホテルで徹夜で仕上げるつもりで松本を後にしました。
    ホテル到着後は、どこにも行かず、晩御飯も部屋で済ませ、悪戦苦闘。
    幸い、26日の明け方には なんとか仕上がりました。

    目をこすりながら朝食を済ませ、学会の専門医更新会場に向かい、受験票を受け取り、規定に従って症例を展示します。
    展示を終えたら Candidateは退室しなければなりませんので、ホテルに帰って休むことに。
    エレベーターに乗ると、年配の外人御夫婦が僕のネームタグを見て、「JOS?」と声を掛けてくれました。
    「Yes, sir, I have just put my cases,,,」と二言三言、話をすると、なんと、そのお方達は、矯正界の神様、トーマス・マリガン先生御夫妻だというのです!  (私は、治療以外は全く興味がないので、有名な先生の顔など知らないのです。)
    「ほ、本当ですか?! お会いできて感激です!!」と握手し、「僕は先生の本、Common sense mechanicsを持っていますよ!」というと、ニッコリ笑って、「Oh, you poor guy!」と仰って、エレベーターの中で全員大爆笑。



    お昼御飯は、中華街にひとっ走りし、フカヒレが安くて美味しい「東華楼」に。
    しかし、数年前に食べたのと味が違う、麺が違う、、、あ〜残念。


    翌日、火曜日は日韓ジョイントミーティングの シンポジウムに出席。
    Sang-Cheol Kim先生の 「Functional Diagnosis for Class II malocclusion」、伊藤和明先生の 「成長期のClass II症例に用いるファンクショナルアプライアンスについて 〜BJAの臨床的効果〜」、Byoung-Ho Kim先生の 「Surgical strategies in skeletal class II malocclusion」は、特に興味ある講演でした。
    伊藤先生の講演は、上顎の成長抑制をすべきだと思われる症例も BJA単味で治療をされていたので、大ホールではありましたが、挙手、質問させて頂きました。
    というのは、私は下顎劣成長を伴うII級症例には、Activator Headgearを使用して上顎の成長抑制と下顎の成長促進による 極めて良好な結果を得ており、特に II級症例というのは Gummyであることが多いので、Orthopedic forceを使うべきだと考えるからです。
    私の質問に対する伊藤先生の回答では、High pull/Occipital pull HeadgearのCenter of Resistanceについて、すこし勘違いをされているようで、それが Maxillary growth controlを行わず、BJAで治療を行われている理由であろうと解釈しました。

    29日の水曜日、朝食を済ませ、専門医の審査会場に急ぎます。
    ドキドキ、ハラハラ、、、落ちたらどうしよう、、鼓動が高鳴ります。
    予定時間を過ぎても、ドアは閉ざされたまま、、。
    暫くすると、ドアが開放され、中に入ります。

    結果は、、、良かった、3症例とも合格だ!
    ハンカチで額をぬぐい、ふ〜〜っと、深呼吸、、。
    いろんな先生が私の顔をみるなり寄ってきて、「廣先生が落ちるわけないや〜ん!」と言ってくれましたが、僕は自分のことを下手だと思っているので、本当に冷汗ものでした。



    (会場内は写真撮影禁止なので、看板をバックに、事務局の方に撮って頂きました。)


    資料提出に際し、イヤな顔一つせず快諾してくださった患者さんの皆様、本当に有り難うございました。
    矯正医の中には、患者さんがサインしてくれないので受験出来ない、という先生がたくさんいるようですが、その点、私は患者さんのみなさんが理解・協力してくださり、本当に幸せだなと思います。

    先日、患者さんがお見えになった際にも、資料提出に御協力頂いたことに再度御礼を述べ、合格した旨を伝えると、自分の事のように喜んでくださり、本当に嬉しい限りです。
    これだから、一層治療に気合いが入ります。

    私は今まで、自分の治療について第三者評価を得るのを目的として、いろんな試験にトライしています。
    決して高名心で、いろんな試験にリンガルの症例で臨んでいるわけではありません。
    巷では、英会話教室の校長先生が、受ける必要のない英検試験をわざわざ受けて落っこちた、みたいな話も聞きますが、私は今のところ百発百中ですので、「ひろ矯正歯科に行けば、日本/世界で Certifyされた舌側矯正治療が受けれる」という事を証明できていると思います。

    専門医症例展示会場を後にした私は、大ホールに急ぎます。
    Mulligan先生の “Who does your thinking? You or your appliance?”は、最前列でしっかりと拝聴させて頂きました。
    僕も、いつかこんな先生になりたい、、。



    (講演中の写真撮影は禁止です。 これは、講演が終わった直後、内緒で一枚撮りました。 すみません。)


    その他、学術展示では、歯根吸収—破骨細胞に関する演題、relapseに関する演題、フッ化物が歯牙移動に及ぼす影響、ライゲーション〜フリクションに関する演題等々、面白い演題がたくさんあり、たいへん為になる日矯学会でした。

    来年は、11月18-20日、名古屋国際会議場で開催されます。

    追記:
    日矯専門医に関しては、「日本矯正歯科専門医名鑑制作委員会」なるものが製作している 有害サイト が存在します。 このサイトは日本矯正歯科学会とは無関係であるのに、あたかも学会が立ち上げているかのような 紛らわしい記述で書かれており、日本矯正歯科学会でも問題となっているサイトですので、ご注意下さい。

  • 第65回日本矯正歯科学会開催 ~学術展示で藤田先生と大激論~

    第65回日本矯正歯科学会が札幌のコンベンションセンターにて開催されました。

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    会場の札幌コンベンションセンター

    慰安旅行の頁に書いてあるとおり、ChicagoのAAO以来、スタッフの学会参加はなく、国内外の学会にはずっと自分一人で参加してきましたが、今回はDental Hygienistの2人が参加を希望したので、一緒に参加してきました。
    本大会ではEBOの報告を学術展示で行うと共に、先日行われた専門医試験に合格しましたので、治療記録の展示を行ってきました。

    9月13日 移動日

    [1つ目のハプニング]
    信州松本空港から千歳空港に直行便が出ているので、便利と言えば便利ですが、、、大事な学会のスケジュールに飛ぶか飛ばないかその時になってみないとわからないような移動手段を組み込むのは危険です。いろいろと他の方法を種々検討しましたが、結局、飛ばなければ車で羽田まで走ってそこから札幌に向かう、ということでスケジュールを立てました。
    14時15分頃、札幌発の機材が松本上空で旋回をしています。
    「降りれるかな、、、無理だろうな、この天気じゃ、、、絶対に無理だ。」
    ところが、神は私たちに味方してくれました。
    悪天候の中、何とか日航機は松本空港に着陸し、私たちは無事、札幌に向かう事が出来ました。
    約1時間10分で無事千歳空港に到着、松本は大変な雨でしたが、札幌は晴天です。
    電車、タクシーを乗り継ぎ、宿泊先であるホテルクラビー札幌に到着します。

    [2つ目のハプニング]
    自分がまずチェックインを済ませると、ウエルカムドリンクの券をくれました。
    食事の時間までまだ2時間もあるので、まずはビールで乾杯をしてから食事に行きましょうか、とDHの2人に、、、ところが、彼女たちの部屋が取れていない、、。
    「お名前が見つかりません」とのこと。
    そんな馬鹿な、と思い、焦ってPCを起動して予約確認のメールを見せる。
    絶対にそんな事は無いはずだ、僕は自分でちゃんと予約した、、、筈なんだけどなあ、、。
    予約係の責任者の人にも、フロントの人にもメールを見せて、宿泊者の名前を見せて説明するが、いくら説明しても埒があかない。
    しょうがないので、タウンページを借りて、札幌中のホテルに片っ端から電話するが、日本矯正歯科学会のため、どこのホテルも全て満室。
    ここなら空いている気がする、と、虫の知らせで札幌ガーデンパレスに電話。
    すると、ビンゴ! 本日のみツイン一部屋のみ空いているとの事。
    早速予約してDHの2人が移動します。
    空港からホテルクラビーに着いたのは4時半、その時すでに6時半ですから、2時間のタイムロスです。
    7時からサッポロファクトリーで食事会があるというのに、、、。
    待つ事30分、2人が戻ってきて、サッポロファクトリーに急ぎます。

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    札幌ファクトリーです。

    夜の札幌を少しブラついて12時少し前、帰ろうと思ってタクシーを待っていると、うちのDHから電話があり、な、な、何と、クラビーに予約が取れていたとのこと!
    フロントマンと予約係が見落としていたとのこと!
    あれだけ何度も宿泊者の名前を言って確認したのに、なんたる事だ!
    クラビーに戻って、フロントに一言、「勘弁してちょ」。

    9月14日 学会初日

    本日は朝から学会です。
    今日は専門医試験に合格した人は、資料を展示しなければなりません。

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    今回専門医試験を受験したのは250余名、合格者は156名でした。
    長野県の開業医では長野市の堀内先生と自分の2人のみでした。
    これを嬉しいと考えるか、残念だと考えるか、、、複雑な気分です。

    学術展示の準備もあるので、物凄い荷物です。
    準備も大変で、終わったら汗だくです。
    DHの2人に手伝ってもらって展示を終えて、口演の時間を再度チェックして、その合間を縫って学術展示を全てチェックします。

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    たくさん人が来てくれるかな、、。

    1日がアッと言う間に終わり、専門医の資料を片づけに向かいます。
    その日の夜は新潟大のOBの石井先生が食事に招いて下さっているので、着替えて急いで向かいます。
    これが、地元の製薬会社の人に教えて貰った店だそうで、超美味しかったです。
    ★三つ、頂きました!
    このお店でも、その後の喫茶店でも御馳走になってしまい、申し訳ありませんでした。

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    石井先生と山崎先生と、K先生と。

    9月15日 学会2日目

    今日は学会最終日です。
    朝早く起きて食事を済ませ、会場に向かいます。
    臨床セミナーでは、出口徹先生のMIA、井川先生のPsycho-dentistryの講演を聞きます。
    出口先生といえば、あのIndianaで御一緒させて頂いた、恩師出口教授の御子息です。
    歯根吸収についてもきちんと考察を加えられました。最も大きいのが遺伝的要因で、吸収のタイミングはレベリングの際。heavy forceに起因する歯根吸収は、space closingなどの際に見られる、とのことでした。 何だかホッとしました。
    井川先生の講演も素晴らしく、久しぶりにたいへん感銘を受けました。

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    井川先生の講演です。

    12時30分から13時30分は、学術展示の奇数番号の質疑応答ですので、自分のパネルに向かいます。
    学会中、ポスターが剥がれていないか、模型が散乱していないか、時々チェックに行きましたが、常にたくさんの人がファイルを見ておられてホッとしました。

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    盛況、盛況。

    [そして3つ目のハプニング]
    質疑応答で何人かの先生から EBOならびに裏側からの治療の術式等について質問があり、説明していました。

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    これはですね、、。

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    皆さん、真剣に見ておられました。

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    大臼歯にもバンドは使っては いけません。
    バンドを巻くとですねえ、、。

    先生方と話をしていると、藤田欣也先生がお見えになりました。
    質問を記したコピーを渡され、記入して郵送するようにとのこと。
    「イヤです」と、お断り申し上げました。
    「じゃ、今、答えてくれますか」とのこと。
    まずは「リンガルブラケット矯正法」という語句について説明をとのこと。
    「これは今回、日矯事務局から用語についての指示があり、それに従ったまでです。先生も同様の発表をしていらっしゃるんですから、日矯から連絡が行っており、当然御存知でしょう」と申し上げると、「知らされていない」とのこと。
    次に「マッシュルームアーチを使われていますか」と尋ねられ、「当然です。何か問題が?」と返答、「特許の話なら、20年で特許権は消失しているでしょう」と申し上げると、「特許は20年で切れても、用語に対する知的財産所有権は50年間生きているんだ」とおっしゃる。
    そこから押し問答が続き、藤田先生が自分の聞いている事に答えないまま立ち去ろうとするので、「逃げるんですか?」と申し上げると、「誰が逃げるか!」と、かなりお怒りです。
    自分は何もやましい事もないし、間違ってはいない、謝る必要もないと思ったので、そのような対応を取りましたが、回りは黒山の人だかりです。
    5分後、質疑応答の時間が過ぎたので退席し、藤田先生が廊下にいらっしゃったので、もう一度お話をします。
    「藤田先生、あれは僕が卒業して矯正科に残って間がない頃、おそらく87年頃だったでしょうか、ある日曜日の朝、嫁さんが新聞を読んでいて、『フジタメソッド。歯の裏側に矯正の装置を付けるので装置が全く見えないんだって、すごいね、知ってた?』というので、この時は本当に『世の中には、なんてすごい人がいるんだ。一体全体、どうしたらそんな事を思いつくんだろう、、』と感動したのを昨日の事のように覚えています。藤田先生が舌側に装置を装着する方法を考案されたのが70年代初頭、歯科矯正学の歴史上、今までいろんな発明があり、いろんな人が名前を残していますが、藤田先生ほどの新旋風を起こした人はいません。正直な話、僕は毎日治療しているマルチブラケットを考案した人の名前は知りませんが、リンガルを発明したのは藤田先生だと知っています。世界中の人がそれを知っているのに、先生はなぜそこまでされるんですか。もうやめてください。先生がそうゆう事をしてもしなくても、リンガルの考案者は藤田欣也だということは動かしようのない事実であり、世界中の誰もが知っているんです。」と申し上げました。そうしたらスフェリカルアマルガムにまつわる話から、今までつらい思いをされた沢山の事を話して下さいました。
    「先生の仰る事はよーくわかりますが、僕個人のお願いとしては、目をつぶって頂きたい。来年もリンガル関連の発表が沢山あると思いますが、お願いですから、来年1度だけ我慢して、リンガルの展示の前にいつものように現れて、何も言わずにニコッと笑って立ち去って下さい」と、お願い申し上げました。

    藤田先生がおっしゃるには、「舌側矯正という4文字がどうしても我慢出来ない」とのことでしたが、自分流に解釈して、藤田先生をそこまで怒らしめたのは、藤田先生に感謝をするどころか、足蹴にしてきた日本の一部の先生達が原因ではないかと思います。
    今後、自分は日本で発表する場合、日本語は学会の指示する語句を使用しなければなりませんが、英訳に関してはは「Lingual Orthodontics」ではなくて「Fujita Method」と表記したいと思います。これは藤田先生に対するこびへつらいではなく、舌側にブラケットを付けて治療する全ての方法を「フジタメソッド」の範疇としてとらえ、その中にいろんな先生のテクニックがある、「リンガル」という言葉も、フジタメソッドの中のリンガルと考えるのが妥当ではないかと思いました。
    自分もRCIBSに関する特許を持っていますが、ちょっと変えただけで●●IBSと命名して自分の特許だと称し、業として使っている者や、僕が自作で作ったプライヤーやインスツルメントを見せたら勝手にコピーをして販売している者もいて、本当に腹立たしい思いをしているので、藤田先生のおっしゃる事は本当に我が事のように良く分かります。
    こうゆう事を平気でする人がいる限り、一番馬鹿を見るのは考案者です。
    頭に来るのはわかりますが、でも僕は藤田先生には我慢をして下さいとお願い申し上げます。
    僕のような未熟な人間でさえ我慢しているのですから。

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    藤田欣也先生と記念撮影です。 先生とお話が出来て良かったです。

    3時に展示を撤収し、学会場を後にします。
    松本行きの飛行機は1日1便、明日の昼の便で帰るので、今日はスタッフを連れて小樽に向かいます。
    いつも頑張ってくれているので、少しサービスです。
    三角市場で まずは腹ごしらえです。

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    ウニイクラ丼と、鮭いくらの親子丼

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    ああ、しあわせ、、。

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    小樽運河です。いつ来てもきれいだな、、。

    9月16日 移動日

    早く起きて食事をすませ、飛行機の時間まで市内観光です。
    北大のイチョウ並木、ポプラ並木、クラーク博士像、赤煉瓦の旧庁舎、時計台を見て空港に向かいます。
    来年の日矯は大阪で開催の予定です。

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    北大のポプラ並木で記念撮影

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    青年よ、大志を抱け

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    旧北海道庁です。

    追記:今から10年ほど前、自分はJLOAすなわち日本舌側矯正学術会に入会しました。ちょうど、地下鉄サリン事件のあの日です。 入会して以来、ずっと出席せず幽霊会員でしたが、3年ほど前からでしょうか、会で話をする機会を与えて頂きましたので、それ以後、会の先生方にも会いたくて、時々顔を出させて頂いてきました。 毎回理事会のたびに いろいろと揉めています。 揉めている内容がおかしい。自分はおかしい事はおかしいと、誰に対しても、いつもはっきりと申し上げてきました。 言いたい事があるのにイジメられるのがイヤだから、と黙っている人が多いですが、それは卑怯だと思います。 自分の事だけを考えているならば黙っていれば良いし、理事を辞めてただの会員として受け身でいれば良い。 僕は会での自分の立場よりも、今、世界で日本のリンガルの先生達がどうゆう位置にいるのか、今後のJLOAの発展や、リンガルそのものの将来の発展性を考えると、余計にスジの通らない事は正しておかなければならないと思い、今まで率直に意見を述べて来ました。 BrusselsのESLOで、外国の先生達がJLOAの事を何と評していたか、御存知でしょうか?  でも、いつの日にか、会の中では「廣はうるさい」、「お前が一番うるさい」と言われるようになり、14日は「今日の理事会はお前が来なくて良かった、来てたらもっと揉めてた」と言われました。 「そうですねー、僕が行っていたら火に油を注いでいたでしょうね」と笑って切り返しましたが、冗談じゃないです。 誰が好きこのんで喧嘩するでしょうか。 自分の限られた時間を今後はもっと有意義な事に使い、自分のエネルギーをもっと有効に使いたいので、僕は本日をもって日本舌側矯正学術会を退会します。

    9月19日、追記
    たくさんの先生から考え直せとお電話を頂いております。 ありがとうございます。 折角ですが、今のところ、そのつもりはありません。
    歯科関係者以外の方がこの頁を御覧になったら、廣ってヤバイ人? と驚かれるかと思いますが、事情の分かっている先生なら、なるほど、と御理解頂けると思います。 僕は決して滅茶苦茶な歯科医ではありませんので、患者さんの皆さんはご安心ください。

    9月26日、追記
    今、自分が辞めると、会長の居波先生に多大な迷惑がかかるから、もう少し待て、ということです。 ナスジの通らない話ではありますが、一旦保留ということでお返事申し上げました。

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