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院長日誌

舌側矯正

  • 34th JAAOに参加

    2026年 6月 4日、第34回 日本成人矯正歯科学会学術大会が神戸国際会議場で開催されました。

    自分は思うところあってこの学会は退会したのですが、本大会ではアメリカから出口徹先生が「米国矯正歯科大学におけるデジタルシステムの応用について」という演台で講演されるので、アメリカでの現状を聞くために、Toru先生の講演を聞くことを目的に非会員として参加しました。

     

     

    会場入り口では小谷田先生とバッタリ!

    小谷田先生は親分肌で、人望に熱く、弱きを助けてくれるお方です。

    久しぶりにお会い出来て嬉しかったです。

    お元気そうでなによりでした。

     

    小谷田先生の執筆された舌側矯正の本は必読です。

    まだ読んでいない方は、是非、購入してください。貴重な財産となります。

     

    会場にて。聞くだけで発表がないと気が楽です。

     

     

    Toru先生の講演について記します。

    現在、米国のほとんどの歯科大学において、Intra Oral Scannerや 3D Printerを用いた矯正歯科臨床が行われており、さらには A.I.を用いた自動診断システム、IOSを用いた Indirect Bonding System、Facial Scannerや CBCTを用いた 3D 診断、Digital Softwareを用いた Anchorや Maxillary Skeletal Expansion、Direct Printでの In House Alignerなどが行われています。

     

    Dr. Toru Deguchiです。金髪・長髪はトライアスロンのせいでしょうか?

     

    研究面においても、A.I. 関連のテーマが大きな割合を占めており、Louisvilleでも以前より、A.I. を用いた自動頸椎成熟度(Cervical Vertebral Maturation Stage)認識システム、歯槽骨欠損部位自動認識システム、自動埋伏犬歯位置同定システムなどの研究を行っている、さらに、In House Alignerの臨床効果、混合歯列期における Aligner矯正治療の効果、ならびに Direct Print Alignerの機械的・化学的特性に関する研究も進めておられ、Anchor植立の Simulation、外科的矯正治療の Simulation教育は VRを用いて行っているとのことでした。

     

    アメリカでは被曝の問題で CBCTを撮る機会が少ないそうで、Louisvilleでは埋伏か外科矯正以外は撮らせて貰えないそうですが、大学によっては全症例撮るところもあり、SouthwestMinesotaでは全症例撮っているとのことでした。

     

    当然患者さんには研究目的であるということを説明し、同意を得た上で撮影されているのですが、この「患者さんの同意書を貰う」というのがなかなか厄介な仕事で、例えば、ひろ矯正歯科では、治療開始時に資料の公開に関して同意を頂き、サインを頂いているにもかかわらず、専門医試験などで同意書にサインをお願いすると、断る患者さんがいます。

    事前に了承し、同意を得ているのに、です。

    断られると、正直、アレな気分になります。

     

    研究に関しても同様で、IRB(Institutional Review Board)を得なければ、患者さんが絡んでいる研究論文は書けません。

    私も書きたい論文が 5つほどあるのですが、この IRBと患者さんの同意書を取るのが面倒なので、お蔵入りしてしまっています。

    この書きかけの論文について、Toru先生と共同執筆で仕事をしたいと思い、お話しをしたかったのですが、講演後、あの非常識な Dr. SNSがず〜っと張り付いていたので、諦めて別の機会に相談することにしました。

     

    話を戻します。

    アメリカの大学では、Oral Scannerの使用は 70%で、20%の大学は Digital Set Upは全く使っていないそうで、使っている大学でも全症例の約40%ほど、3D Printerは 30%の大学が持っていないそうで、残る70%の大学の中の 10%のは全症例 print outしているとのことでした。思ったより低い数字で驚きました。

    私も 20年ほど前に IOSを導入して Lingualの set upも virtualにしようと考えていたのですが、ひろ矯正歯科では、今も Alginate印象を行っています。その理由は、IOSを導入することで医院から Alginateや石膏がゼロになるのならやりますが、Activatorや L.A.など、どうしても石膏模型でないと出来ない Lab. workがあります。

    L.A.は Bandせずに ST Lockを DBSして、口腔内で directに曲げる方法で数十症例行いましたが、早期治療の若年者では壊してしまう患者さんが多く、今は従来通り Banding、印象を採って作っています。

     

    Chair timeに関しても IOSで scanして PCで data処理するよりも Alginateで採った方が全然速いので、Digital化のために無駄な設備投資をして、診療時間を延長し、無駄な事をやっている、そのコストは患者さんに跳ね返ってくるということになりますので、見送りました。

     

    Alignerに関しては、全くやっていないという大学もアメリカにあり、やっている大学でも 60%が 8症例以下、In house Alignerについては 40%が経験無しで、授業でも Alignerを教えていない、その理由はちゃんと教えられる出来る先生がいないから、とのことでしたが、アメリカやヨーロッパでは、大学には Clinical Professorがいて、この人達はみな開業して成功している人が facultyになって学生達に教えに来ているわけです。

    アメリカの開業医の96%は Alignerを使っている、しかも 30%は in houseとのことですから、ちゃんと教えられる出来る先生がいないんじゃなくて、競合相手を作りたくないので教えない、っていうことだと思います。

     

    ちなみに、アメリカでは、

    1. Alignerでは簡単な症例しか使っていない
    2. Ext caseは使わない
    3. Invisalineは高いので使いたくない、殆ど In houseになっている
    4. Graphyは毒性あり、炎症を起こす
    5. 過蓋咬合の治療では、Alignerは前歯が圧下し、Wireは臼歯が挺出する

    とのことでしたが、1、2は適応症をわきまえている、と言って良いと思います。

    5はオカシイと思います。

    例えば、ひろ矯正歯科では、Deep bite症例には殆どの症例において Utility Archを使いますが、これは上顎前歯の圧下を最も確実に行うことが出来る方法ですし、Alignerでは臼歯だけが接触して前歯は離開、その結果、臼歯部の開咬が起こるというのは周知の事実だからです。

     

    Cephalogramの自動解析は、日本でも随分前から市販されていますが、Porion、Pogonion、L1などが間違って計測されていることが多いとのこと。

    レントゲンが Digitalになって画像が鮮明になり、Scannerの感度が良くなり、AIが使われているにもかかわらず、20年ほど前と何も変わっていないのには驚きました。

    私は、分析に関しては、レントゲンを自分の目でトレースをして、PCへも手入力しており、自動計測は使っていません。

    自動計測だと、マシンが読み込んだ計測点を 1つづつ全て目視でチェックして、間違っている計測点は修正して、計算をやり直さなければなりませんので、そんなことをしているよりも、手入力の方が断然速く、間違いもなく確実にプロット出来るからです。

    少し Digitalをカジッている先生は、そうでない先生のことを「遅れている」だの「アナログ」だの馬鹿にしますが、例えば、この Cephalo分析なども良い例です。

    Digital化、自動化してメリットがあればわかりますが、そうで無いならやっている事は無駄以外の何物でもありません。

     

    インドの優秀なドクターが Lingualの Virtual set upを1症例作るのに 1日かかるらしいですが、Manualでやれば 2時間程度で終わりますので、Digital化して、費用もかかる、時間もかかる、しかも出来上がったものはお粗末ならば、何をやっているんですか、ということです。

    これを読んで、またヒロが何か言ってるぞと言う先生、Hybrid Lingualなどというインチキリンガルをやっていないで、私以上の結果を出して見せて下さい。

     

    究極のLingualの Lab. workに関しては、理想的には2018年のDGLOで発表したとおり、Oral Scannerの dataを CBCTと combineして、PC上で Virtual set upを行い、そこから millingや castで Custom bracketを作るのではなく、Hiro bracketsやMienai bracketsのような Readymade Bracket に Compositeの Custom baseと Individual Trayを millingで作るという方法です。

    なぜなら CAD/CAMを用いた Custom Bracketsは slotが粗造で space closeに時間がかかるということがわかっていますし、私の提案する方法だと Tie wingの形状に関する問題もクリア出来るからです。

     

    Toru先生曰く、IBSに関しては、Manual、Digital、AIを比較して、ManualよりもDigital、AIが良好な結果を出しているとのことでしたが、これは Methodologyに問題ありです。

    つまり、一般的に行われている Soft trayを使った IBSと Hiro system(弾性の無い個歯トレーでのIBS)の比較をして頂ければ、Hiro systemがダントツに精度が高いことは明らかです。

    なぜなら、多数歯を一度に bondingする Soft trayを使った方法では、隣在歯との位置が変われば Tray は不適合になるので、例えば、Impression/Scanをしてからsetまでの間に抜歯したり bandingなどをすると不適合になるのですが、Hiro systemでは、隣在歯との位置関係には影響されませんので、精度が落ちることは無いからです。

    また、Soft trayを使った IBSでは、tray保持の状態が悪いと trayが変形し、bracket positionが狂ってしまいますが、Hiro systemではこういった errorとも無縁です。

    Hiro systemと soft trayでのIBSの精度を比較した研究が20年ほど前にUniv. Parisで行われており、Hiro systemのほうが抜群に高精度であるということを Prof. Alain Deckerから聞きましたが、彼が死んでしまって、そのpaperはお蔵入りになったようです。

    これを読んだら、またもや あのイタリア人と日本人のペアが Hiro systemは精度も劣り時間もかかる、というペーパーをJCOあたりに出してくるだろうなと思います。

     

    ちなみにこの 2人は、私が世界で初めて EBOに全症例 Lingualで合格したことや、世界で初めて ESLOの Titularに選ばれたことを妬んで、私をトップの座から引きずり下ろすことを目的として、講演でもいろんな妨害を行い、IBSは Hiro systemを改悪して Ko●●on baseなどという方法を世界に広めようとしましたが、結局精度が出ずに治療結果にまで影響したため、 Ko●●on baseを延長して切縁/咬合面の一部を覆って、bracket接着後にそこを切断するという方法を使っているようですが、これは私が日矯歯誌で論文にした原法とまったく同じで、何をやっているのかと笑ってしまいます。

    ちなみに、AIで調べると、Hiro systemはブラケットが外れた時の rebondingが出来ない、と解説していますが、これは間違った情報で、Hiro systemは Jigを有していますので、rebondingに対応しており、bracketが外れたり紛失したりしても何ら問題は無く、容易に再製作・再装着が可能です。

     

    最近、材料各社がIBSのオーダーを受けているようで、OrmcoではOral ScannerのdataとCBCTのdataをcombineさせてIBSを作る試みが行われており、CBCTを使った方が torque, angulationの controlが良好であるという結論でしたが、当たり前のことで、インドでは私の知る限り15年ほど前から行われていますので、今更感があります。

     

    長くなりましたが、今後、Digital、AIが発展すると、どうなるか、考えてみました。

    1. 電話の AI対応、ナンバーディスプレイからカルテを開き、音声を自動でテキスト化してカルテに自動で記載
    2. 受付〜会計、次回のアポイントまで AIが対応、アポイントの空白や渋滞も解消する
    3. IOS dataから AIが不正咬合の診断を行い、患者の主訴も考慮して治療方針を立案、家族の骨格パターンから成長予測もAIが行う
    4. 音声入力でアシスタント無しにチャーティング、カルテ記載が出来る
    5. AIの作った予測治療結果画像を見せて説明出来る
    6. スマホで口腔内写真を撮ることで、顎間ゴムや可撤式装置の使用状態の問題点や、歯磨きの問題点を指摘して指導してくれる。スマホは既に口腔内写真撮影に使われており、撮影した写真が瞬時にサーバーにアップロードされるようになっていますので、その利点を使ってチェアーサイドで瞬時に行えます
    7. 非協力な患者に対して AIが当たり障りの無い言い方で指導をしてくれ、患者-医師間のトラブルを避ける事が出来、患者に不当な口コミをネットや SNSで書かれることを避けれる可能性がある
    8. 近い将来、歯医者が背中を丸めて患者さんの口の中を覗き込んで、タービンで歯を削る、根管治療をする時代は終わり、Camera付きの小さな machineを口腔内にセットして、歯科医師はmonitorの3D imageを見ながら歯を削ったり、縁下歯石を除去したり、根管治療をする、という時代が間違い無くやってきます。矯正歯科に於いては、初診時の検査、診断、治療方針立案まで全て AIが行い、Bracketsの bondingも Scanner と Sensorのdataで口腔内にセットした machineがDBSを行い、Wire bendingは Wire Bending Machineが曲げて(Lingualの世界では20年以上前から使われています)、ドクターは wireを口腔内に setするだけ、結紮は Self-ligation、Brushing指導は Humanoidが行う、という時代がやってきます。おそらく10年以内に。そうしたら、少しでも楽をしようと思ってAlignerをやっている歯科医達は、AlignerからMulti bracketに戻って来るのでしょうかね〜(^^;)

     

    Digitalや AIが発展すると、その結果として、

    • 基礎的な技術や知識が学べなくなる
    • Drが出来なくなる
    • AIや PCが間違っていても、それに気付かない、修正することも出来ない
    • トレースも分析も出来なくなる
    • 分析項目や計測点もわからなくなる

    等々の実害が出ます。

    パソコンや携帯ばかり使っていると、漢字が書けなくなるのと同じです。

     

    私は、必要な部分は digital化しますが、この先も、私にしか出来ない治療をしてゆきたいと思います。

     

     

    学会前日に神戸入りしましたので、有馬温泉を散策、に金の湯と銀の湯に入りたかったですが、また今度。

     

    温泉街では賞味期限 5秒の炭酸煎餅と金箔アイスを頂きました。

     

     

    神戸市内のホテルにチェックインして、美味しいビールを飲みにモザイクに向かいました。

     

     

  • Welcome to Japan!

    今年の Angle meetingから帰って間もなく、Midwestの Dr. Jing Zhouから連絡があり、5月に松本に行くので会えるか、とのこと、もちろん大歓迎だよ、と返事しました。

    Zingは West China University of Medical Sciences(中国、四川大学華西口腔医院)を卒業後、Indiana Univ.に入学、Master course修了〜 Ph.Dを取得され、University of South Carolinaで 10年間  Professor & Program Directorをされ、現在は South Carolinaの Johns IslandとNorth Charlestonで Sweetgrass Orthodonticsという矯正専門の医院を開業しています。もちろん ABO holderです。

     

    Jingが言うには、私が Midwestに Applyした時から毎回、私が presentationした Caseを全てチェックしていたらしく、すごく難しい症例なのに 凄く綺麗に治っているということに驚いた、Fileを見て、全ての症例が上下リンガルで治療されていて、外側には何一つ装置が付いていないので、2度驚いた、とのことでした。

     

    私は European Board日本矯正歯科学会など、講演やプレゼンするときには、外側からの矯正ではなく、全てLingual、舌側矯正オンリーです。

    理由は、外側のマルチブラケットで治せるのは矯正専門医として当たり前、Hiroはベテランの矯正専門医でも出来ない舌側矯正でキチンと治せる技術を持っている、ということを世界中の先生に見て頂くのが目的だからです。

    なので、アライナー矯正とか、ハイブリッド・リンガルなどどいう誰でも出来る事には全く興味がありません。

     

    通常、海外から来られる先生には、ひろ矯正歯科にもご案内し、Lingualの治療を見学して頂いているのですが、今回は娘さんと一緒にいらっしゃったので、診療見学は無し、次回は診療見学をしたいとのことでしたので、welcomeだよ、とお話ししました。

     

    晩御飯には、寿司〜天麩羅のフルコースに御招待しました。

     

    訪日は今回が 2度目で、今回娘さんとは安曇野でサイクリング、松本城では着物を着て記念撮影をされたようで、信州での旅行を満喫されていたようでした。

    Jingは英語、中国語、フランス語が普通に話せます。

    海外のいろんな先生達と話していると、中国、韓国、台湾の先生達の優秀さには到底ついていけないと感じます。

    Jing, see you soon!

     

     

    2026年1月の Angle meetingにて Jingと

     

    2026年1月の Angle meetingでは、Texas San Antonioで開業する Dr. Drew Fallisが Gala dinnerのあと声をかけてくれました。

    Angleは退会しようかなと思っていたのですが、Long term stabilityの presentationをしたあと、何人かの先生が素晴らしい、と声をかけてくれ、少し友達が増えて来たかなと思いますので、もう暫く続けます。

     

  • 恩師 出口敏雄先生

    1月31日、Tucsonでの E. H. Angle Society Meetingに参加中、医局の先輩から Lineがあり、恩師の出口敏雄先生が永眠されたとの連絡を受け取りました。

     

     

    Angle meeting中に、しかも Tucsonにいる時に、と、Toru先生も私も驚きました。

    Tucsonは、36年前、出口先生と一緒に Tweedの講習会に参加した思い出の場所、そして  Angle学会は、これもまた出口先生に Hohlt先生を紹介して頂いて Applyした学会だからです。

    今回の Angle meetingでは、自分が Long term stability について発表しましたので、「廣〜、ちゃんとやっとるか〜」と、出口先生が聞きに来てくれたような気がしました。

     

    1990年に Tweed courseを受講した時です。

     

    Old Tucson行こう、

     

    Phoenix行こう、と、言ってくださり、当時はナビなんてありませんでしたので、僕が運転手を、出口先生が道案内をしてくれました。

     

    2012年、Angle Midwest meetingに Guestで参加した時の写真です。

     

    Angle meetingの Scientific programは朝 7:00からも昼までですので、午後、一緒にラウンドしました。

     

    Naplesでの Angle meeting、welcome cocktail partyにて

     

     

    今から 41年前、私が松本歯科大学を卒業する頃、橋本先生のもとで FDを勉強するか、それとも矯正専門医を目指すか迷っていましたが、矯正の出口先生はアメリカ帰りで、教授の中には研究面では長けていても臨床が全く出来ない先生が多い中、出口先生はインディアナ大学の大学院を出ていて、臨床も研究もバリバリで、日本の矯正歯科界をリードする存在だと知り、自分が矯正科の医局のドアを叩けば、出口先生から直々に矯正を教わることが出来る、こんなチャンスを逃してはならないと思い、矯正科に入局したのでした。

     

    ちなみに、出口先生は、1964年に東京医科歯科大学を卒業、1973年に大阪大学大学院歯科矯正学課程を修了されたあと、名古屋で 5年ほど GPをされ、そのあと、GPがつまらなかったのか、矯正歯科の必要性を感じたのかはわかりませんが、奥さんと子供さん3人を連れて渡米、Indiana大学 Master courseに入学し、1983年に同カリキュラムを修了されています。

    驚くべきは、当時の GPは物凄い高収入で、生活には何一つ困っていなかった筈なのですが、それを自ら断ち切って、しかも、単身では無く、奥様と幼い 3人のお子様達を連れて、家族で渡米されたということです。

    今では矯正専門医はたくさんいますが、50年前は矯正歯科専門など日本では考えられなかった時代ですから、出口先生の先見性がいかに凄いか、着眼点がいかに凄いか、行動力がいかに凄いか、並の人間にはとても真似の出来る事ではありません。

     

    出口先生は、当時から英語が堪能だったのかと思いきや、出口先生がある日私に話してくれたのは、「当時は英語が出来なかったもんだから、名古屋駅の河合塾に通って英語を勉強したんだよな〜」とのこと。

    その話を聞いたときに、なんで河合塾?と思いましたが、当時は英会話スクールとかも無かったのでしょう。

    Indiana Univ.で出口先生の指導教官であった Dr. Hohltは、Toshioが来たときは英語が喋れなかった、と仰っていましたので、まさに命がけで渡米され、大変な苦労をされたのだということがわかります。

     

     

    出口先生が Jarabak Awardを受賞された時の Indiana Univ.での祝賀会

     

    出口先生が Master courseを修了された Indiana Univ.でリンガルについて講演させて頂きました。

    帰りの空港で、先生の奥様から「主人が廣先生の講演にすごい感激していましたよ」との言葉を頂き、ものすごく嬉しかったのを覚えています。

     

     

    私が矯正科に入局してから 3年目、医局の臨床ゼミで自分の治療した症例を発表してから、先生はいつも廣、廣と気にかけて下さり、医局にはたくさん先生が居る中で、お前は他の奴らとレベルが違う、と、私にだけ USC Daugherty courseを受けるように話をつけて下さったり、M-Orth, European Boardなどの試験を受ける機会を与えて下さったり、家庭の事情でお金が無かった私のことを気遣って、タイポドントの講習会を手伝ってくれるかな〜、と呼んで下さったり、大学院が無かった当時、福岡歯科で学位を取らせて下さったり、Dr. Alexanderには “He is my friend”と紹介して下さったり、Indiana大学で Lingualの講演をしてくれと呼んで下さったり、Class III bookを執筆するから Lingualの C/3治療について書いてくれるかな〜、と執筆の機会を下さったり、先生が ABOに提出した Activator Headgearの治療について教えて下さったり、一緒にゴルフに連れて行って下さったり、仲人もして頂きましたし、Tweed courseを一緒に受講したときの思い出や、M-Orthで香港に行ったときの思い出や、EBOで Amsterdamに行った時の思い出や、何度か Angle学会で御一緒させて頂いた時の思い出や、まだまだ先生との思い出はたくさんありますが、2015年、Naplesでの Angle meetingで出口先生は  “Deformation of Clear Aligners”という演台で講演され、午後に私が運転して一緒に食事に出掛けたのが最後の思い出です。

     

    Naples の Tin cityで海を見ながら Lunchを頂きました。

     

    2005年、Amsterdamで EBOを受験、合格した時です。

     

    先生はロンドン、シンガポール、ドバイ、中国などなど、世界中で教授の職に就かれ、業績はあまりにも多くて  1冊の本になるほどですので、とてもここに書ききれるものではありませんが、個人的に凄いなと思うのは、松本歯科大学に来られた際に、地元小学生を対象に数年間、発育研究をされたこと、そしてもう一つは Chin capに関する研究です。

    Chin capはアメリカでは否定的で、日本でも否定する先生が多いですが、私は Chin capの効果を長年のセファロで確認しており、下顎の成長方向を変えることが出来る有効な治療だと考えています。

     

    出口先生 15周年の際に業績集を発刊された際の記念祝賀会

     

    先生の名古屋でのお葬式は平日でしたので、ひろ矯正歯科には 40名近くアポイントが入っていて移動することは不可能でしたので、葬儀にはお伺いすることが出来ませんでした。

    出来れば四十九日までに先生のお宅にお伺いして、仏前で御焼香させて頂きたかったのですが、奥様も体調が優れないとのことで、御遠慮させて頂きました。

    3月15日に予定されていた松本歯科大学矯正同門会は中止となり、「出口先生を偲ぶ会」が塩尻市のホテル中村屋で行われましたので、出席させて頂きました。

     

    故・吉川仁育先生が学位を取得された際の祝賀会にて

     

    自分と西本先生が学位を頂いた時にも祝賀会をしてくださいました

     

    毎年恒例の八方スキー新年会にて

    医局員や歯科衛生士には、研究や臨床だけでなく、こういった息抜きも忘れない先生でした。

     

    出口先生はゴルフが大好きで、毎年医局のゴルフコンペ以外にもプライベートでしょっちゅう誘ってくださいました。

     

    当時の僕のスイングです、、イイ感じですね。

    ジャンボ尾崎に憧れて、Taylor madeの 8°のドライバー、ハイティーで 300Y飛ばしていました。

    当時は上手かったんだけどなあ、、開業してから 20年ブランクがあり、今は下手っぴです。

     

    恒例、医局の同門会・忘年会にて

    出口先生は殆どお酒が飲めませんでしたが、お酌されると、断ること無く付き合ってくれました。

     

    これは第 11回 甲北信越矯正歯科学会の懇親会ですが、当時、最寄りの学会が近畿東海矯正歯科学会だったのですが、長野、山梨、新潟、富山、福井で学会を作ろうと、出口先生が新潟の花田先生、亀田先生を誘って甲北信越矯正歯科学会を設立されました。

     

     

    出口先生が松本歯科大学矯正歯科教授を退官された時の記念式典です。

    この時も寂しかったです。

     

    出口先生には仲人もして頂きました、、2回も(笑)

    「出口先生、もう一回仲人して頂けますか?」と、教授室に行った時、笑って「いいよ」って言って、快く引き受けてくださいました。

     

    医局に在籍した当時、出口先生から「ひろ〜、この症例アメリカに持っていきたいから、キチッと仕上げてくれるかな」と頼まれることも多く、僕がワイヤーをヘコヘコって曲げてセットすると、「おい、おい、大丈夫か〜い」と仰いましたが、1ヶ月後にその患者さんが 来院して、ビシッと決まっていると、「スッゲえなあ、、」と仰ったのを覚えています。

     

     

     

    花に囲まれた先生の遺影に供花、合掌したあと、お食事を頂いたのですが、医局にいた先輩から順にマイクで一言、みんな医局員時代のことを淡々と、中には笑いを取ってお話しされる先生も居る中、自分はマイクを持った瞬間、悲しくて言葉が出なくなってしまいました。

    偲ぶ会というのは、あの時はこうでしたよね〜等々、思い出話をするのが普通だと思いますが、今まで 41年間、公私共々たいへんお世話になり、自分にとってはもう一人の親のように私は思っていましたので、先生がお元気だった時のことを思い出すと、涙がどっと溢れて、声が詰まって普通に喋れませんでした。

     

    なんとか頑張って、それでも思っていることの半分くらいしかお話し出来ませんでしたが、自分が今、矯正歯科専門医として活躍出来るのも、海外で活躍出来るのも、今日のメシが食えるのも、出口先生のおかげです。

    人はいつか死ぬ、それはわかっているのですが、本当に悲しいです。

    出口先生、今まで、本当に有り難うございました。

    ゆっくりとお休みください。

     

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