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院長日誌

  • 第1回 World Society of Lingual Orthodontics 開催さる

    舌側矯正の世界大会、 World Society of Lingual Orthodonticsの第1回大会が 3月2-4日、New York の Jazz at Lincolin Centerで開催されました。
     
    僭越ながら、本大会では2題の口演発表と1題の展示発表、Pre- congress Courseの講師、Active memberになるための症例の審査などをさせて頂きました。 
    学会場内では写真、ビデオの撮影が禁止されており、写真を撮ろうとすると警備の人がすぐに飛んでくるので、学会の写真はあまり御紹介出来ません。  
    読んで頂いて退屈ではいけませんので、観光案内をたくさん盛り込みます。
     
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    舌側矯正の世界最大の学会といえば ESLOですが、European Society of Lingual Orthodontics はその名の示すとおり、Europeanの Societyです。
    ところが、一部の先生達は、Active memberであれば、Non-Europeanでも Europeanと同じに扱え、と要求してきました。
     
    私が思うに、これは「軒先貸したら母屋まで」のような話で、彼等のほうから迎え入れてくれるならば話はわかりますが、Non-Europeanのほうから要求し、ごり押しするのは スジ違いであると思います。
     
    私は EBOを持っていますが、例えば ABOや EBOを日本人が受けようとすれば、門戸は開かれている反面、ABOであればアメリカの大学を上がっていないといけないとか、EBOであれば M-Orthoを受験・合格し、かつ、日矯専門医を持っていないといけない等々の厳しい条件があり、それをクリアしていなければなりません。
    ましてや、各国の学会と試験制度を混同してはいけません。
     
    私は1998年、Romeでの ESLO以来、毎回必ず ESLOに参加し、講演をしてきました。
    私は ESLOという Societyが好きだから、ただそれだけの理由です。
    政治的なことには全くノータッチ、Financial interestも一切無しですが、永年この世界を見てきましたので、誰が裏表のある人間か、誰が本当の事を言っているか、誰が何を企んでいるか、裏事情は熟知しています。
     
    ESLOは Europeanの学会だと記しましたが、実際には、2002年の頃から Non-Europeanを歓迎しよう、ESLOを worldwideな学会にしよう、という動きがあります。
    ところが、彼等が ESLOの垣根を取り払おうとすると、、、(中略)、、ここには書けない裏事情が山ほどあります。
     
    裏事情はともかくとして、「世界中のdoctorが平等な権利で、対等な立場で集まれる会を」という趣旨のもと、WSLOが設立されましたので、行って参りました。
     

    2月27日(月)、行ってきま~す!
    いつもながら、自宅から成田までタクシーです。 
    いつも「ひろ先生、成田までどうやって来たのですか?」との問いに、「タクシーです」と答えると、みなさん「タ、タ、タ、タ、タクシー!!??」と、目を点にして驚かれますが、中央タクシーは長野県人なら知らない人はいない、自宅まで迎えに来てくれて成田まで直行のジャンボタクシーです。
     
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    いつもながら行きは僕1人、貸し切りです。
     
    この日は成田全日空ホテルに前泊です。 
    この時期、長野県の天候はいつどんな雪がふるかわからないので、大切な学会に出席する時は必ず前泊するようにしています。 
    「ン? 全日空ホテル?」
    そ~なんです、今回からJALはやめてANAにしました。 
    JALは最近、機体整備不良や幹部の不祥事など、様々な問題が報道されていますが、これは今に始まった事ではない。
    JALは利益追求で安全は二の次、ANAは安全第一・顧客最優先というカラーは、僕たちが小学生の頃から知られています。 
    僕自身のJALに関わる問題としては、数年前に成田から上海に向かう際に油圧計の故障で墜落しかけ、酸素マスクが降りてきて、高度はみるみる低下、東京湾上空で燃料を殆ど捨てて、墜落からがら成田に緊急着陸した事がありました。 
    その際には、説明やお詫びなどは一切ありませんでした。 
    一昨年は、Indiana Univ.に向かう時のJAL側のダブルブッキングで、あやうく Washingtonに飛ばされそうになるわ、その他にも機内食の不手際で子供がアナフィラキシーを起こす一歩手前になったり、Cabin attendantの対応の悪さ等々の理由で、JALにはもう二度と乗りたくないというのが本音です。 
    JAL関連のホテルなども二度と泊まりたくないので、今まで貯まったマイレージは全て食料品やお酒などに交換していますが、今回ANAにして本当に良かったです。 
     

    2月28日(火)、いざManhattanへ
    28日の朝の便でNew Yorkに向かいます。 
    今回、NYに着くまで機内で休まずパソコンで仕事が出来た事が良かったです。
    12時間ぶっ通しで、誰にも邪魔されずに集中出来る時間はそうめったにあるものではありませんから。
    もちろん、機内でのサービスも抜群、食事も美味しかったです。
     
    朝9時半、NYのJFK空港に到着しました。
     
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    今回はレンタカーを借りずにタクシーでホテルに向かいます。
    運転手は黒人のお爺さん、料金メーターをセットしませんが、心配ご無用。
    JFKから Manhattanの downtownまでは flat fareで$45(tall road, tipは別)ですので、ご参考までに。
     
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    ホテルに到着、今回は会場の近くの Holiday Inn Midtownです。 
    時間は10:30a.m.、まだ部屋には入れて貰えないだろうけど荷物を預けて出掛けようと思い、フロントに向かいます。 
    クロークを目指しますが、receptionのオジサンが呼んでいる。 
    行って、予約してある旨を伝えると、部屋に入れてくれました。
    ああ、ありがたい。
    荷物を運んで切れた Bell captainに tipを渡し、internet accessについて尋ねると、なんと、部屋では High speed internetが無料で使い放題とのこと。
    ホテルによっては1週間で15,000円ほど取られますので、これはラッキーです。
     
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    部屋はゴージャスではないが、十分です。
    早々に荷物の整理を終え、メールのチェックをしたら、会場の下見に Down Townに出かけます。
     
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    これが会場の Columbus Circle前の Jazz at Lincoln Centerです。
     

    3月上旬の松本も寒いが、NYはもっと寒い。
    最低気温-8度、最高2度です。 
    僕は暑いよりは寒い方が好きなので、むしろ心地よく感じますが、それでも1時間ほど歩くと足の裏から冷え込んできます。 
    学会場の下見を終え、晩飯を食べに Down Townを歩きます。
     
    晩飯は HootersのBeerと Buffalo Chickenに決まり。 
    Hootersというと、短パンのお姉さんがローラスケートで運んできてくれる、どちらかというと助平オヤジの行くお店だと思っている人が多いですが、実際には親子連れやカップルなどが多く、安い予算で飲んで騒げる健全なお店です。
    ビールを3杯程と、チキン、オニオンフライを食べてホテルに帰ります。
     
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    Hooters名物、バッファローチキンです。
     
     
    3月1日(水)予備日
    翌日、3月1日は予備日です。
    観光のために予備日を取っているのではなくて、交通事情で予定どおり学会場に到着出来ないと大変な事になるので、前日入りするわけです。
    On scheduleで到着したので、結果的には1日観光です。 
    でも、あちこち写真を撮りまくり、いつものように講演の際のスライドに引っぱります。 
    この日は、19時半から明日の Pre-congress courseの打ち合わせがあるので、まずは打ち合わせ場所のレストランの下見です。
    歩いていけない距離ではないので、歩いて行く事にします。 
    地図を見ながら、レストランに向かいますが、途中、Rock Feller Centerを見つけます。
    クリスマスになると、このビルの前のコンコースに巨大クリスマスツリーが飾られます。
     
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    買い物かごを下げたおばさんに、「ここはクリスマスになるとみんながスケートをするところですか?」と聞くと、「スケートをするのはここではなくて、その交差点を右に曲がって2ブロックほど行くと、左側に国旗がたくさん立っている所があるので、そこがスケートをするところよ。今もみんな滑っていると思いますよ。」と教えてくれました。 
    レストランと同じ方向なので、おばさんに御礼を言って、そちらに向かってみます。 
    すると、あった、あった、みんな滑っています。 
     
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    おや、ここにもロックフェラーコンコースと書いてあります。 
    ヒエー、凄いな、ロックフェラーさんは。 
    これ以外にもロックフェラー大学、ロックフェラー病院など、ロックフェラーと名の付く物が山ほどあります。
    僕もいつかは、、。
     
    少し歩くと、目的のレストランを発見。 ホリデイ・インから歩いて20分弱です。
    OK、ここだな、わかった、、、さて、どうしようかな、、。
    まだ10時です。
    歩いてタイムズ・スクエアを訪れ、その後は観光船 Circle Lineに乗ることに。
    それにしても、NYというのは、なんと汚い街だ。 
    カリフォルニアなどでは歩きながらタバコを吸っている人、タバコの投げ捨てをする人、ゴミを捨てる人などあまり見かけないが、NYはみんな、平気で歩きタバコをして、ポイポイポイ。 
    タクシーの運転手なんて、走りながらコーラの空き缶を投げ捨てます。
    考えられない。 
    もっと綺麗で、オシャレで、洗練された街だと思っていましたが、偉い違いです。 
    建物も古く汚いビルが多い。
    ヨーロッパだと、古くても威厳があり、趣があるのですが、NYにはガッカリしました。 
     
    歩く事、小一時間。 Circle line乗り場に到着、切符を買って、船に乗ります。 
    3時間かけてマンハッタン島を1周します。 
    早速デッキの後ろのオープンテラスに座ります。 
    出発してから15分位でしょうか、自由の女神の前を通ります。 「おー、これが自由の女神か、、、」。
     
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    World Trade Centerの無き Manhattanの Down Townを海から眺め、Brooklyn Bridgeをくぐります。 
    ヤンキースタジアムを右手に眺め、左手には Empire State Buildingと Chrysler Buildingを望みます。
    これらのビルはほぼ同じ時期に工事が行われ、Chryslerのほうが Empire Stateよりも高かったのですが、Chryslerに負けている事を知った Empire Stateの設計士が、後からビルのテッペンの尖っている部分を追加工事しました。 これによって、Empire State buld.は当時では世界一高いビルとなったのです。
     
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    赤い矢印がエンパイアステート、緑の矢印がクライスラーです。
     

    コロンビア大学を右手に眺めた後、ダウンタウンに少しづつ近づいて行きます。 
     
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    このクルーズの間、音声による案内が流れていたのですが、僕はテープだと思っていました。 
    そしたらなんと、これはオジサンがずっと生でガイドをしてくれていたのです。 
    僕はずっと外にいたので気がつきませんでしたが、ガイドが終わると同時にみんなで拍手拍手の嵐です。 
    本当に楽しい3時間でした。 
    結局、昼飯は抜きでホテルに帰り、少し横になってから着替えて打ち合わせに出掛けます。
     
    打ち合わせを終えると、夜10時過ぎです。 
    夜のダウンタウンを1人で歩くのは少々抵抗がありますが、一人歩きの女性なども結構歩いているので、「郷に入りては郷に従え」で、1人で歩いて帰ります。
     
     
    3月2日(木) Pre-Congress Course at Rose Theater
    今日はPre-Congress Courseの日です。 
    8時に会場に向かいます。
    Registrationを済ませ、Takemoto先生、Scuzzo先生、Fillion先生、LeClerc先生などに挨拶、昨日はお疲れ様でしたと。
    9時半から講演が始まります。
    最初は Takemoto先生、次が Sccuzo先生です。
     
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    お昼ご飯を3階の「Masa」という日本料理屋で食べました。
    天麩羅ランチを食べましたが、あつあつ、サクサク、安くて、美味しい! 
    皆さんもNYに行かれたら、是非寄ってみてください。
     
    お昼を済ませて、いざ、僕の講演の番です。時間は1時間半です。
    369枚の Power Point Slide Showに2つの movieを入れて、2つの musicを入れて、total 160M程の presentationです。 
    Windows machineならいくつかに分けないといけないところでしょうが、さすがは Mac、僕の12inch Power Bookはこの程度の presentationは物ともせず、快調にプレゼンが出来ます。
     
    まずは Lingual の Indirectの歴史から説明します。 
    Allen roomは一杯の人で埋め尽くされています。
    San DiegoのRoncone先生も一番前に座っていますが、いつもどおり緊張することもなく、むしろ楽しみながら話を進めます。 
    TARG, CLASS, それから最新の Hiro Systemについて説明したあと、STbの治療例を17例紹介し、講演を終えます。
    最後に質問はありませんか、と聞くと、数名の先生から Wire sequence、Bracket height、 模型の分離材、 materials等に関する質問があり、答えて講演を終わります。
    受講された方々の反応がイマイチだったかな、、、と思いきや、コーヒーブレイクの時に沢山の先生が直接聞きに来てくれて、休む暇がありません。 
    時間をかけて準備をした甲斐がありました。
     
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    しんがりはFillion先生。
    コンピューターを使ったラボワーク等々についての説明でした。
    5時過ぎに Pre-congress copurseを終え、Fair Well Partyが始まります。
     
    その夜は、明日の Case presentationの evaluationについての会議です。 
    自分を含め、審査をする先生達が集まり、評価の方法等、詳細についての打ち合わせです。 
    大切な事なのでじっくりと話し合い、結局終わったのは23時頃だったでしょうか、、、疲れました。 
    深夜ですが、勝手はわかったのでホテルまで歩いて帰ります。
     
     
    3月3日(金) WSLO第1日目
    WSLO大会初日は、朝9時からです。 
    本日の僕の役目は、Active memberになるために提出された症例を採点する事です。 
    まずは展示室に向かい、自分のケースをDemonstrative presentationとして展示します。
    そのあと、Rose theaterに向かうと、最初、Takemoto先生、Fillion先生の挨拶があり、続いて Wick Alexanderの講演が始まります。
    続いて、Ronald Roncone, Couteny Gorman, Mario Paz先生達の話を聞き、もっと聞きたいのですが、症例の評価をしなければならないので展示室に向かいます。 
     
    症例審査を始めます。 
    試験は完全に匿名で行われましたので、どのファイルが誰の物であるか、一応、わからないようになっています。 
    これは当初、完全に匿名にするには非常に難しいと思いましたが、実際にやってみると、まあ有効であったと思います。
    Candidateは全部で50人ほどですので、自分に割り当てられた症例を評価します。 
    採点を始めて、驚いたのは、日本の先生達のレベルの高さです。 
    よく、日本の矯正はアメリカのレベルまで達していないとか、ヨーロッパの先生の治療の質が高い、などと言う人がいますが、それは矯正の事がわかっていない人が言う事です。 
    もともと白人とアジア人は治療の難易度が全然違います。 
    白人の90%はNon-extraction、Low angle、Minor crowdingですが、日本人の患者さんは約70%がExtraction, High angle, severe crowdingです。 
    こうゆう患者さんは彼らにはとてもじゃないですが、治せません。 
    日本の先生達の治療のレベル、特に舌側矯正に関しては世界をリードしています。
     
    症例を採点していて、残念であったのは、治療はとても上手いのに、レギュレーションに沿っていないために “Incomplete”として不合格にせざるを得なかった candidateが数名いたことです。 
    例えば、治療前、治療後、保定後のシールの色を守っていない先生、平行模型でない先生、治療中の写真が違うケースの物が入っている先生など。 
    レギュレーションは、皆が同じ条件で、公平に審査をされるためには絶対に守られなければならないもので、例えて言うと、いくら運転が上手くても、信号の青、赤、黄を守らなければ、運転免許試験には合格しないのと同じです。
    つまり、最低限揃えなければならない物が揃っていなければ、いくらプラスアルファをアピールしたところで、それらは加点にはならず、揃っていないということで減点されるのみであるということです。
    例えば、模型は「平行模型、中心咬合位で、プラスターベースの高さ7cm、トリミング角度が55°、所定の位置に所定の色のシールを貼ること」と規定されていれば、そのとおりに平行模型を準備しておかなければなりません。
    咬合器にマウントした模型を出したいならば、平行模型を提出した上で、咬合器に装着した模型を説明とともに展示すべきで、平行模型を出さずにマウンティングの模型だけで提出したら、“incomplete”で審査対象から外されるのが普通です。 
    ましてや、マウンティング模型が咬合器なしで転がしてあれば、試験官は中心咬合位が再現出来ませんので、審査中止となります。 
    これは、私が決めたことではなく、ABOやEBO、M-Orthoなどの試験では決められていることですので、ご承知頂きますようお願いいたします。 
    治療がきちんと出来ているだけに、どうしようか随分悩みましたが、ここはやはりきちんとしておかなければいけないと思い、公平に採点しました。 
    ある先生から、「コイツは俺の友達だ、通してくれ!」と、執拗に頼まれましたが、そんなナンセンスな要求はお断りしたのは言うまでもありません。
    あとから聞いた話ですが、僕が incompleteにしたのは、僕のよく知っている先生だったそうで、恨み節が聞こえてきそうですが、裏を返せば、私情を挟まず公平な判定が出来たという事の証明であると、プラス思考に考えて頂ければ幸いです。
    特に、先に述べたように、日本の先生達の治療のレベルは非常に高度である事、この先、世界の舌側矯正を引っぱって行くのは間違いなく、日本の先生であると思いますので、余計にこうゆう基本的な事はきちんと守って頂かなければならないと思います。
    今回、合格出来なかった先生、私は決して自惚れて落としたのでもなければ、私的感情で落としたのでもありません。 もう一度、case presentationの原文(英語のほう)を注意深く読み直して頂くようにお願い致します。
     
    症例の採点を終えて会場に戻ります。
    Allen roomでは義澤先生が講演しています。
    英語が上手いです。
    後で聞くと、若い頃から外人と交流があったとの事です。
    英語下手の自分には羨ましい限りです。
    Greeceの Kanarelis先生、Kokkas先生らの講演を聞いた後、Cocktail Partyです。 
    国内外のいろんな先生と交流できる楽しいひとときです。
     
    wslo13
    北京大学の先生方と
     

    3月4日(土) WSLO第2日目
    学会最終日です。 
    嘉ノ海先生と朝ご飯を一緒に食べようと、嘉ノ海先生の泊まるTrump Hotelに向かいます。 
    Trump Hotelは Central Parkの前に位置する超高級なDesigners Hotel です。
    Receptionに向かい、嘉ノ海先生を呼び出して貰って待つ事数分。 
    嘉ノ海先生が現れましたが、な、な、なんとレストランが閉まっている。 
    Receptionで聞くと、今日は土曜日だから、レストランは11時からとのこと。
    近所のホテルもみんな同じで、朝食を取る事が出来ません。 
    Receptionの人があちこち聞いてくれますが、みんなダメだというので、こうなったら、アソコしかない。
    「そこの角のStarbucksは?」と聞くと、reseptionの人が「良く気が付いたなあ! そうさ、スタバならやっているよ!」とのこと。
    嘉ノ海先生とスタバで朝食をとり、学会場に向かいます。
     
    Rose theaterでは、Whiteningについての講演をしています。
    この先生は以前、ホワイトニングの講習会で質問した矯正専門医に対して、質問に答えようともせずに、「矯正専門医は矯正だけやっていればいいじゃん」と、信じがたい罵倒をしています。 
    こんな先生の話は聞いても時間の無駄、Allen roomに移動します。
     
    ラボに関するテーマで、松野先生のハイブリッドに関する講演を聞いた後、1題はさんで自分の出番です。
    Indirect bonding の備えるべき条件をまとめ、最新のヒロシステムについてムービーを含めて紹介します。
    「先ほど松野先生が、ハイブリッドでボンディングすると片顎6~7分で出来ます、と言っていましたが、このニューヒロシステムを使えば、5~6分で出来ます、、!」と、冗談を飛ばします。
    会場内バカウケでした。 
    松野先生は冗談がわかってくれる人なので、こんな事を超満員の学会で言えるわけです。
     
    昼食をとったあと、講演のため、Rose theaterに向かいます。
    僕の講演は European Boardの報告ですが、なんとなんと、僕の出番は一番最後、まさに大トリです。
    こんな田舎のドクターにこんな栄誉を与えて頂いて、本当に光栄です。 
     
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    次は僕の出番だ!!
     

    3月5日(日) 帰国
    学会が終わって、JFKからANAで日本に向かい、翌日、無事田園風景の空気の綺麗な町に到着しました。
    家に帰ると、何人かの先生が僕のところに見学に来たいとメールをくれています。
    「うちは田舎だよ」、「東京から電車で3時間もかかるんだよ」、「なーんにもないよ」と言っても、とにかく「感激したので、うちに来たい」、「Dr.Hiroのオフィスを見てみたい」とのこと。 
    学会か何かのついでに来るのか、と聞くと、うちに来るためだけにヨーロッパから飛行機に何時間も乗って来るというので、そんなに来たければおいでよと、OKしました。
    近々また見学の先生が来ますが、患者さんの皆さんには迷惑がかからないように注意しますので、皆様、御理解くださいますよう、お願いいたします。

  • ヨーロッパ矯正専門医試験に舌側矯正で挑戦、合格しました!

    6月3日~7日、アムステルダムの RAI Conference & Exhibition Centre で 第81回 European Orthodontic Society Annual Meetingが開催されました。
    学会の前々日、前日と、ヨーロッパの矯正専門医の試験である European Board of Orthodontistsが行われ、私は全て舌側矯正で受験し、合格しました。
    舌側矯正での受験・合格は世界初です。

    世間では舌側矯正のことを「治療期間が長く、ちゃんと治らない」と悪く言いますが、これは出来ない先生が言っていることで、事実は異なります。
    私は、舌側矯正の治療結果を自画自賛し、自己満足にひたるではなく、治療結果を公的機関に第三者評価をして貰うことが必要であると考え、今回この試験に全て舌側矯正で挑戦しました。

    この試験はヨーロッパの矯正専門医のための試験ですが、ヨーロッパ全域でも合格している先生は僅か66名と、非常に難しい試験です。
    自分は2003年に英国矯正歯科認定医試験(M-ortho RCSEd)に合格しているので受験資格があり、今回、恩師の出口先生に勧められて受験しました。

    試験は学会の定めたカテゴリー別に Treatment Recordを8例用意してプレゼンテーションを行い、Examinerが Candidateの治療のクオリティを評価します。さらに Examinerの用意した患者資料2例を自分で診断し、治療方針を立て、それについて口頭試問が行われます。
    歯医者というと「楽で高収入」と思っている人が多いですが(そうゆう先生もいますが)、実際には肉体的にも精神的にも本当に重労働で、家に帰ると晩飯を食べながら眠ってしまうこともあるのです。

    今回、European Board of Orthodontistsを受験するのは本当に過酷で、受験のための準備に何ヶ月間も毎日毎日、朝はスタッフのみんなが出勤する前から、夜は明け方まで受験準備です。
    毎日毎日、診療だけでもクタクタになるのに、それに加えてのオーバーワークですから、本当にキツくて、何度か挫折しかけましたが、何とかやり通すことが出来ました。

    学会発表の準備などをしていると、いつも「もう今回で最後にしよう」と思うのですが、毎年毎年、新しい目標が出てくるので、一生死ぬまでこうゆう生活かも知れません。でも、勉強しないと迷惑するのは患者さん達ですから、医療人として当然の生き方であると思います。

    いざ、試験が始まりました。
    2症例を60分で分析、診断をします。
    試験は完全に匿名で行われ、Candidateは名前など一切記載せずに、公平な審査が行われます。
    1例目はClass II div.2の症例。
    試問が始まり、現症を説明しますが、2人の試験官はいずれも、入って来て握手をしてから、「Start it!」と言ったきり、ニコリともしない。
    「うっ、まずい雰囲気だ、、、」と思いながらも、自分の立てた診断、治療方針、その理由等々について説明する。
    第一症例は、普通なら「抜歯」と判断しそうなところだが、まず患者さんの Hand Wrist(左手の写真)を撮り、Growth potentialがあるならば、非抜歯で治療すると主張。
    説明している間も、試験官は2人とも黙ったまま、何の反応もなし、、、かまわずに続ける。

    2症例目は Skeletal IIIの Adult caseで、治療方針を2つ立案して説明。
    「外科矯正だが、もしも患者さんが手術を受け入れなかったら、こうゆうふうに治療する」と説明。
    試験官は、「そのとおりだ、これは外科症例だ」と、同意するが、2つ目の「もしも患者さんがオペを受け入れなかったら」という治療方針については首を横に振り、「It is not possible.」を繰り返す。
    でも、自分は同様の症例をすでに治療して、良好な結果を得ているので、「出来る」と主張する。
    Examiner VS Candidateは、Teacher VS Studentではないのだから、自分の主張を曲げるべきではない(と思う)。
    「ここに MIAを打って、下顎の臼歯をこうゆうふうにUp rightすると Mandibleが Clockwise rotationするので、こうして、こうして治療する」と、治療のメカニクスを説明するが、聞く耳持たず。
    何度も何度も「It is not possible.」を繰り返すので、
    「I’m sure it is possible. I have a quite similar case, and obtained a satisfactory result. I would show you my case if you give me a chance to show it.」と言ってやった。
    でも喧嘩ではないので、きちんと挨拶をし、握手をして部屋を後にした。


    ACTAのロビーには歴史的なデンタルチェアーが展示してあります。


    矯正歯科のエレベーター横には、矯正歯科学の歴史が。これは指しゃぶり防止用の指サックでしょうか。


    これは Simonの顎態診断法でしょうか。


    エレベーター横には、歯ブラシやフロスなどの自販機があります。

    その日の午後はフリーなので、他の先生達と昼食を兼ねて市内観光に出かけます。


    アムステルダム名物の風車です。


    市内には縦横に運河が流れており、とてもロマンチックです。


    6ユーロほどで キャナル・クルーズが楽しめます。

    翌日、結果発表のため、RAIのEBOデスクに向かう。
    封筒を開けてみると、

    “We are pleased to inform you that you were successful in the Examination,,,”

    やった!

    今回、日本からのapplyは、出口教授、黒田先生、橋場先生、そして僕の計4名で、全員合格。
    過去には、三村先生、正木先生、嘉ノ海先生、高木先生が受験して合格している。
    今回の合格者を入れると日本人は8名合格、日本人の合格率は100%(!) というと、簡単な試験のように聞こえるでしょうが、とんでもない。
    言語のハンディの無いヨーロッパの先生たち(自国語で受験出来る)でさえ、今回6人applyして、2人はリタイア、2人は不合格、合格は2人ですからきびしい試験なのです。


    合格通知です! やった!!

    合格者は試験に提出したファイルを学会場に展示することが決まっているので、ホテルに戻って資料を持って再び学会場に。
    展示を終えて、昼前には学会のメインホールで合格証書の授与式です。
    お昼は近くのイタリアンレストランで済ませ、再び学会場に。
    親友のDr.Weichmannの口演を聴いて、出てきた彼と話そうと、、すると、僕の顔を見るなり、駆け寄ってきて
    “Toshi!!  I saw your EBO cases!  You are the first people who submitted all 8 cases treated with Lingual Orthodontics, and passed it!   It’s incredible!   Congratulations!!” と我が事のように喜んでくれる。
    彼の住むBad Essenからは会場まで車で2時間。
    納車されたばかりの最新型のフェラーリF430でカッ飛んで来たとのこと。
    うらやましいなあ、、。


    EOS学会会場に資料を展示。僕のファイルを見るのに行列が出来る事も。へへへ。

    その夜はConvention Factoryにて、カクテル・パーティ。
    会場に入ってワインを飲んでいると、ESLOで顔見知りのドイツの先生達が声をかけてくれる。
    「Toshi, お前のファイルを見たぞ!全部リンガルじゃないか!!すごいぞ!歴史に残るぞ!」
    と我が事のように喜んでくれる。
    和気藹々楽しく飲んでいると、近くに Examinerの1人がいるのを発見。
    向こうも僕の存在に気付いているようなので、話しかけてみる。
    名前がわからないので、とりあえず握手をして、御礼を言い、一通りの挨拶を。
    で、得意のジョーク、
    “Excuse me, Dr. Iceman, are you a,,,,”
    と話しかける。
    すると「ドクター・アイスマンってのは誰だ?」と、回りを見回すので、思い切り指を指して
    「あんたや、あんた。だって試験の時、入ってきてから出てゆくまで、1度もニコリともしなかったじゃないか!僕が何を言っても、微笑みかけても無反応で、氷のように冷たい表情だったから、あんたはドクター・アイスマンだ!!」
    と言ってやった。
    そうしたら大爆笑して、
    「いやいや、違うんだ、口頭試問の前に俺たち試験官は、お前のファイルを見たんだ。そしたら8症例全部リンガルだから、大騒ぎになったんだ。 な、な、何だ?? 一体どんな奴が試験を受けに来ているんだって。 あの時は俺たちが逆に緊張していたんだ!!」
    とのこと。
    ま、そこまで言われると嬉しい限りですが、まあ半分は社交辞令だろうと受けとめ、ワイン片手に話を続けます。
    趣味の事、矯正の事などを話していても「お前は矯正歯科医というより、アーティストだ!」と、あまりにも褒めてくれるので、
    「僕はアーティストなんかじゃないよ、20年間、精一杯勉強し続けているけど、いまだに矯正歯科は僕には難しくて仕方がないよ。ただ、僕は頭が悪くて普通の人の半分しか働かない分、神が人より少しよく働く右手を与えてくれたんだよ。」
    と話すが、納得して貰えたかな?
    何はともあれ、今回も頑張った甲斐があった。


    黒い上着を着ているのが試験官の一人の Dr.Moser、僕の左側にいるのが Dr.Moss.
    みんないい先生ばかりです。
    自分の地位名誉の事ばかり考え、人の邪魔をするような先生は、ここにはいません。

    翌日、EBO Lunchに出席。

    このランチは EBOのExaminerと歴代合格者、New memberだけのランチで、私たち、New memberはランチの際に自己紹介をして、バッチを授与されました。


    バッジの授与です。
    なかなかバッジが通らず、「これを通すのは、リンガルのように難しい、、」と笑う先生。


    “Congratulations!”
    “Thank you very much!”


    ExaminerやEBO memberに自己紹介をします。

    7日は旅立つ日です。
    飛行機は夜発なので、この日だけ、やっと半日観光が出来ました。
    Canal cruseに、Lemblandt Houseに、と、いつものとおり、歩きまくりました。


    アムステルダムのロマンチックな街並み


    Canal Cruiseに tryしてみました。


    クロケットとホワイトビール。
    このクロケットがメチャメチャ美味しかった。もちろんビールも。

    いつもどおり、明日からまた患者さんがギッシリ入っています。
    勤務医がいれば楽なんですが、今のところ、自分一人で頑固一徹な治療を行っています。
    それがひろ矯正歯科に来てくれる患者さん達にとってベストだと信じています。

  • 2005/03/29

    第2回国際舌側矯正歯科学会開催さる

    3月26日~28日、赤坂のホテルニューオータニにて、第2回国際舌側矯正歯科学会が開催されました。
    僭越ながら、今回も口演発表をさせて頂きました。
    講演内容は、Lingual Straight Wire Applianceに関する治療、そして、私が現在使っている超小型の舌側矯正用ブラケット、Micro Lingual Applianceについてです。
    前者は第4回ヨーロッパ舌側矯正歯科学会(ベルリン)で、後者は第5回ヨーロッパ舌側矯正歯科学会(バルセロナ)および、アメリカ舌側矯正歯科学会(オーランド)で報告したものですが、本邦においては未だ未公開となっていましたので、報告をさせて頂きました。
     

     
    毎年恒例の Dr.Fillionの Pre-congress course.舌側矯正初心者、これから舌側矯正を始めようと思っている先生は受けた方が良いと思います。
     
    Micro Lingual Applianceは、現在世界中で広く用いられているKurz Applianceが抱えている問題点、すなわち、
     

    1. ダブルオーバータイ、
    2. 発音障害、
    3. 舌の痛みに関する問題、
    4. ブラケット脱離、
    5. ブラケットが大きいことによる隣在歯・対合歯への干渉、
    6. ブラケットのコスト、

    等々の問題を改善するために、私がオリジナルで開発した超小型ブラケット(現在、ひろ矯正歯科での治療に用いられている装置です)です。
    この装置を用いるようになってから、以前とは比較にならないほど快適に舌側矯正が受けられるようになっています。
     
    よく、舌側矯正の事を「治療期間が長い」とか、「ちゃんと治らない」等々、悪く言う先生が多いですが、現在では、外側からの矯正と同じ治療結果を、外側からの治療期間よりも短期間で治せるようになっています。
     

     
    学会最終日の最後の講演だというのに殆ど帰る人も見られず、皆さん聞き入って下さったのには感激しました。
     
    口演は2日目の最後から2つ目、俗に言う「大トリ」で、こんなゴールデンタイムに時間を与えていただきました日本舌側矯正学術会の幹部の先生方に心からお礼申し上げます。
     
    学会前夜から終了まで、世界を代表する舌側矯正の先生方と交流をはかりました。
    舌側矯正学術会は今期で会長が交代し、新たなスタートを切ります。

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