menu
MENU

院長日誌

  • 日本成人矯正歯科学会 & 日本顎関節学会参加

    6月21日に、一ツ橋の学術総合センターにて、第23回日本成人矯正歯科学会大会が、7月4,5日に名古屋国際会議場で第28回日本顎関節学会総会/学術大会が開催されましたので、参加してきました。
     
    日本成人矯正歯科学会とは、その名のとおり成人の矯正治療に関する学会で、学術大会は結構アカデミックで、ためになる講演が多いですので、未入会の先生は是非入会されることをお勧めします。
    私が本会に入会したのは、20年ほど前だと思いますが、毎年、海外の学会や日矯関連学会と重なってしまって、あまり参加できていません。
    前回参加したのは、スタッフを連れて行った2011でしょうか、、。
    本会からは以前より理事を拝命されておりますが、この度、甲北信越地区の地区役員も依頼されましたので、なんとか時間調整し、行って来ました。
     
    大会では、一般講演4題、依頼講演7題、特別講演1題、RTD 6題、学術展示8題が発表され、たいへんな盛況でした。
     

     
    なかでもティースアートの椿知之先生の「矯正歯科におけるホワイトニングの留意点」という講演は、自分のホワイトニングについての知識をアップデート出来ました。
     
    ひろ矯正歯科では、ホームページの「しません」に詠ってあるように、現在はホワイトニングを行っていません。
     
    その理由として、
    1、一度ホワイトニングをすると、2〜3ヶ月に一度、ホワイトニングを繰り返さないといけなくなる
    2、虫歯の治療をしてある患者さんが多く、ホワイトニングで天然歯の部分は白くなっても、レジン充填は白くならないために、ホワイトニングする前の歯冠色に合わせて充填されたレ充の色が合わなくなり、白い色で再充填が必要になる
    3、しかしながら、患者さんがホワイトニングをやめると、今度は歯の色は白さを失うが、白い色で充填し直したレジン充填は色が変わらないので、そこだけ白くなってしまう
    4、薬剤刺激によって、知覚過敏を起こすことがある
    5、個人的な考えとして、日本人は黄色人種で有り、肌の色も歯の色も白人とは違って黄味がかっているのが本来の色で、歯だけ不自然に白いのは「変」、、(芸能人に何人かいます)。 なので、ひろ矯正歯科では今まで汚れ落としは無料で行ってきましたが、ホワイトニングはしてきませんでした。
    6、ホワイトニングをするのに特に技術の習得などは不要で、歯科医師であれば誰でも出来る事なので、自分はもっと専門性の高いことに時間を使いたい、ホワイトニングはやりたい先生がやれば良いかな、という考えが私にありました。
     
    ところが、先日、有名なモデルの方と話す機会があり、その人は矯正治療をされてきれいな歯並びでしたが、色が不自然に白く、「ああ、この人も不自然に白い歯、、」と最初は感じました。
    ところが暫く話しているうちに、もしもこの人の歯がホワイトニングされたこの白さでは無くて、日本人の本来の歯の色だったら、写真の写り映えは落ち、モデル業に影響するだろうなあと思いました。
    それ以来、「人によっては」不自然なくらい白いのもアリかな、と考えるようになりました。
     
    椿先生が講演で紹介されていたように、日本国内未承認の薬剤には優れたものもいくつかあり、これらの国内認可が取れ、ひろ矯正歯科でレジン充填等への対応も出来る環境が整えば、ひろ矯正歯科でもホワイトニングをやろうかな、と考えています。
    以前から、ホワイトニングについて患者さんからはよく聞かれますが、今現時点では、やる方向で考えてはいますが、いつからやるかは未定です。
     
     
    7月4,5日は、名古屋国際会議場で第28回日本顎関節学会総会/学術大会が開催されました。
     

     
    自分は、7月4日の土曜日は一日診療でしたので、日曜日の朝、始発の特急しなので名古屋に向かい、5日の学術大会のみ参加してきました。
     

     
    シンポジウム6題、特別講演2題、教育セミナー6題、教育講演1題、学術奨励賞受賞講演1題、オーラル3題、学術展示146題のほか、イブニングセミナー、ランチョンセミナー、ランチタイムセミナー、ハンズオンセミナーなどが行われ、会場はたいへんな賑わいでした。
     

     
    ひろ矯正歯科は矯正専門の医院で、一般歯科治療や顎関節症の治療は行いませんが、一般歯科治療の知識や、顎関節疾患の診断・治療に関する基本的な知識は必要ですので、日々文献を渉猟し、学会にも参加して知識のアップデートをおこなっております。
    本学会では関節症の診断や治療法に関する講演を聞くことが出来ました。
    特に DC/TMD (Diagnostic Criteria for Temporomandibular  Disorders) Diagnostic Decision Treeは自分の臨床にも関わることですので、整備中とはいえ、参考になりました。
    DC/TMDとは、1992年にDworkin らが中心となって作成された RDC/TMD(Research Diagnostic Criteria /TMD)を IADRの International RDC/TMD Consortium Network と IASPの口腔顔面痛グループが中心となって修正を重ねたもので、日本顎関節学会では、「学会症型分類とRDC/TMD分類の検証委員会」が2012年に組織され、顎関節症診断基準に種々の改訂がなされてきましたが、従来の症型分類からDC/TMDと整合性を持たせた改訂分類への移行はまだ徹底しておらず、日本顎関節学会としては「これまでとは何がどう変わったのか」を各都道府県の歯科医師会と協力して説明会を開催する予定、とのことです(抄録より引用)。
    学会では、International RDC/TMD Consortium Network memberである 九大の築山能大先生、北大の有馬太郎先生がDC/TMDの診断基準と診査法について講演をされていらっしゃいました。
    内容がかなり難しいので、一般の方は何の事だか全くわからないと思いますが、うちのHPを見られる歯科医の先生方のために記しておきます。
     
    患者さんのみなさんは、顎関節治療に関しては、次の事に注意してください。
    1, 顎関節の治療には、専門機関でのトレーニング、専門の知識と検査が必要であるということ
    2, 一般歯科開業医で治療できるものではないということ
    3, 一般歯科で検査もしないで咬合調整と称して歯を削るのは絶対に行ってはならないこと
    4, 顎関節治療は、基本的に健康保険適用であるので、いろいろ理由を付けて保険外の治療をすすめるような医院は避けた方が良いということ
    5, 矯正をすると顎関節症が治る、とか、顎関節症を治すために矯正治療をしましょう、などと言う歯科医がいますが、歯並びが原因で顎関節症を起こしているのであれば、矯正をすれば治ることもありますが、基本的に顎関節症は複数の原因が重なって発症していることが多いので(マルチファクター)、私自身のコメントとしては、矯正をして顎関節が楽になったという患者さんを私もたくさん持っていますが、それは結果的にそうなったのであり、私は顎関節の治療をするために矯正治療をしたのではない、私には顎関節の治療は出来ません、ということ
    6, 顎関節の治療を整体師が行っていることが多く、よくテレビで「背骨が曲がっている、骨盤が歪んでいる」、と言い、足を引っぱって、割り箸を噛ませて、ほら治った、という整体師がいますが、あれは滅茶苦茶な嘘八百であるということ。なかには、「頭の骨は何十個のパーツから出来ている、そのパーツをバラバラにして頭蓋骨を組み直すことで小顔になる」、などといい、数百万円の施術量を取る詐欺同然の整体師がいるということ
     
    などなどです。
     
    顎関節学会終了後、新幹線で大阪に向かい、翌日技工士の川端下君と落ち合い、大阪市内の技工所を見学してきました。
    この記事を書き終えたら、明日は診療後、新潟に向かいます。
    甲北信越矯正歯科学会に出席してきます。
    本当に忙しいです。
     

to top