2026年 6月 28日、第 41回 甲北信越矯正歯科学会学術大会が松本歯科大学にて開催されました。

本大会では、日本矯正歯科学会 認定医委員会委員長の玉置幸雄先生から認定医・指導医に関する御講演を賜り、御講演のあと質疑の機会がありましたので、挙手、2つお願いをさせて頂きました。
一点目は、認定医提出症例の難易度に関する件です。
私は 10年以上前から日本矯正歯科学会大会において、DIを導入してください、とお願いしてきていますが、いまだに DIが導入されておらず、本会・支部会等の認定医講習会では、その都度「あまりにも簡単な症例は減点対象となることがあります」という注意点が委員会より伝えられておりますが、これは受験者にとっては混乱を招く上に、試験の公平さを欠く要因になる点ですので、症例難易度の明確な数値化が必要だと考えます。
ABOや EBO、Angle societyや ESLO titularなど、海外の board試験では DIは当たり前のことですので、早急に導入を検討して頂けないでしょうか」と、あらためて提案、お願いをさせて頂きました。

もう一点は、日本の矯正歯科の将来に影響を及ぼす、矯正歯科医の人生をも左右する大変重要なことで、なんとしても御検討をお願いしたいことです。
それは、日本矯正歯科学会の認定医を取りたくても、家庭の事情や諸々の事情で認定医を申請出来ない先生が相当数いるということで、これは特に女性ドクターに多く、結婚、出産、育児などの事情で研修施設に所定の期間在籍することが出来なかったために、長年矯正歯科だけを専門に行っていて、知識も経験も実力も十分にあるにもかかわらず、認定医試験を受験をする機会さえ与えられていなということです。

私の知る限り、認定医制度が発足して以来 36年間で、1度だけバイパス制度による試験が行われましたが、それ以来 1度も行われていません。
私のよく知っている某先生は、今後も矯正専門医として生きてゆきたいので、認定医を取るために研究生として 2年間在籍させて欲しいと、母校の矯正歯科の教授にお伺いをたてたところ、教授からは「それは無いでしょう」と一笑されて、相談にのってさえも貰えませんでした。
研究生や専修生は大学にお金を支払って勉強に行くわけですので、大学側から断る理由も見あたらない筈ですし(出口先生の頃はそうでした)、専修生には研究歴がつきませんが、研究生は国の認める研究歴が残りますので、何故「それは無いでしょう」なのか理解に苦しみます。
日本矯正歯科学会が基礎研修施設 2年、臨床研修施設で 3年の研修歴を定めているにもかかわらず、大学が受け入れを拒否していては、臨床研修施設の設定そのものが 意味の無い物になります。
基礎研修 2年という要件が 大学が歯科医師を確保するための手段になっていてはならない筈です。
さらに、研修到達目標はあっても、カリキュラム詳細までは日本矯正歯科学会学会が明確に定めていないために、研修期間が大学によって 2年の大学もあれば、3年の大学もあるというのも納得の出来ない話です。
海外では、過去 5年間矯正歯科に専従していたということを証明し、誓約書を提出すれば専門医の資格に apply出来る学会が多いということを考えても、日本矯正歯科学会は Global standardに合わせて頂けることを強く希望します。
もちろん、簡単に認定医を与えろと言っているわけではありませんし、誰にでも認定医を与えろなどとは思ってもおりませんので、試験内容は、筆記試験、口頭試問、面接、臨床試験は症例審査と口頭試問等が厳格に行われることが前提ですし、試験の公平性、透明性も絶対条件です。
日本で最も難しい試験の代表である司法試験でも、「予備試験制度」が設けられており、法科大学院を卒業していない人にも司法試験に挑戦出来る機会が与えられています。
自動車の免許も、「一発試験」が設けられており、教習所や合宿に行けない人にも運転免許取得の機会が与えられています。
日本矯正歯科学会も研修履歴が取れない先生にも認定医や専門医資格に挑戦できるチャンスを拡げてゆくことで、粗悪な矯正治療によるトラブルを撲滅し、日本の矯正歯科レベルの向上に繋がり、国民の歯の健康を守り、日本矯正歯科学会学会の発展に繋がると思います。
是非、検討して頂けることを希望します。
2026年 6月 28日、第 41回 甲北信越矯正歯科学会学術大会が松本歯科大学にて開催されましたので、参加しました。

本学会は、シンポジウム「難治症例における矯正歯科治療について再考する」と、日矯認定医委員会委員長の玉置幸雄先生の認定医・指導医に関する講演を聞くことを目的に参加しました。
特別講演は、福山市で開業の小川晴也先生が「Ⅱ級 1類の治療を成功に導く”6 keys”」という演題で講演をされました。
玉置先生御講演の認定医関連については、重みが違いますので、別の頁で改めて書きたいと思います。
シンポジウムでは、埋伏歯の牽引の適応症、引っ張っても出てこない症例等について、こうゆう場合は牽引不可等々の Discussionがありましたが、私は口腔外科が開窓してくれる埋伏歯であれば、基本的に全て牽引し、歯列内に誘導しています。
移転が著しく、1歯 2歯飛び越えて移転している場合には牽引されずに抜歯されてしまうのが普通ですが、私は出来る限り抜歯せずに その歯本来の位置に牽引誘導するようにしています。
埋伏歯が Ankylosisを起こしているものは、脱臼・unlockして牽引しています。
40年以上の矯正臨床で、牽引できなかった埋伏歯は 1症例だけ、しかもそれは技術的な問題では無く、患者さんの希望により牽引を中止して抜歯になったものです。
以下に埋伏歯牽引症例を紹介します。
このような 1本〜数本の歯を飛び越えて移動するという症例は 他では見れないと思いますので、大学病院等で認定医等の研修中の先生方の参考になれば幸いです。
症例 1

変なところから歯が生えて来たと心配して来院されました。

パノラマでは、本来赤い矢印のところに生えてこなければいけない左上の犬歯(黄色い矢印)が小臼歯を飛び越えて後ろに生えてきているのが観察されました。

左上の犬歯を開窓し、小臼歯を飛び越させて、犬歯を本来の位置に牽引誘導します。

牽引開始から 4ヶ月、犬歯は 4番を飛び越えて本来の位置に移動しました。移動の際には、犬歯の歯冠と4番の歯根が干渉して 4番の歯根がダメにならないように、4番の歯根を内側に振っています。

上顎にマルチブラケットを装着し、牽引した犬歯を歯列内に誘導します。

マルチブラケット装着から 8ヶ月、犬歯は歯列内に納まりました。

第二大臼歯の萌出が遅かったために、マルチブラケットの治療期間は 3年 5ヶ月かかりましたが、手を抜かず第二大臼歯までキチンと治療しました。次回装置を外します。

無事動的治療が終了して、治療終了から 3年後の状態です。牽引誘導した犬歯も、飛び越えた小臼歯も問題無く、経過良好です。

治療終了から 3年後のパノラマです。牽引誘導した犬歯も、飛び越えた小臼歯も、歯槽骨および歯根に問題は無いのがわかります。
症例 2

前歯の反対咬合を主訴に来院されました。

検査をしたら、左下の犬歯が水平埋伏し、歯冠は右下の 1-2の間に位置しているのが見つかりました。普通なら 100%抜歯か、外科的に摘出して再植でしょうが、再植は歯根吸収を起こしてダメになることが多いので、再植はせずに、リスクを説明の上で 開窓・牽引誘導としました。

左下にインプラントアンカーを打ち、埋伏犬歯は開窓して歯冠にボタンを接着、インプラントからエラスティックチェーンで牽引します。

下顎にリンガルアーチをセット、アームを延ばして犬歯を遠心に牽引します。

牽引開始から 1年 3ヶ月です。下顎にマルチブラケットを装着、左下の犬歯を歯列内に誘導します。

上記の1ヶ月後です。左下犬歯はだいぶ上がってきましたが、歯根露出が著しいので、ブラッシング指導を行いました。

マルチブラケット装着から 1年 4ヶ月です。左下の犬歯は本来の位置に誘導され、歯列内に納まりました。歯肉退縮はブラッシング指導を行っています。

だいぶ仕上がってきました。左下の犬歯の歯肉はかなり上がってきました。

マルチブラケット装着から 2年 9ヶ月、牽引開始からから 4年 0ヶ月で治療終了しました。左下犬歯の歯肉退縮は引き続きブラッシング指導で様子をみて行きます。

移動した左下犬歯も、飛び越された 3本の下顎前歯も、歯槽骨・歯根共に問題無い状態です。

治療終了から 11年 3ヶ月、左下犬歯の歯肉退縮はほぼ問題の無いレベルまで回復しました。歯周外科手術などは行っていません。上顎正中に僅かなスペースを認めますが、反対咬合も再発せず、経過良好です。
症例 3

出っ歯を主訴に来院されました。

右上の犬歯が 1番 2番の間に割り込んで生えてきています。幸いにも 2番の歯根は まだダメージはありませんので、犬歯を開窓して、後方に牽引誘導を行います。

右上の犬歯を開窓し、歯冠に小さい装置を付けて、犬歯の牽引を開始しました。

犬歯は 2番を乗り越え、本来の位置に持ってくることが出来ました。

牽引した犬歯は歯列内に納まり、側方歯群が萌出しました。これで、歯を抜かずに治療が出来ます。

マルチブラケット装置を装着し、治療を行いました。治療期間は牽引開始から 3年、マルチブラケット開始から 1年 3ヶ月です。

治療が終了して 10年後の状態です。牽引誘導した犬歯はよく安定しており、前歯も臼歯も良好な状態を維持しています。
症例 4

前歯の噛み合わせが深く、犬歯が内側に生えていることを主訴に来院されました。下顎前歯が全く見えない状態です。右上犬歯は生えておらず、乳犬歯が残っています。

生えてきていない右上の犬歯は前歯の歯根尖付近に埋伏していることが確認されました。前歯の歯根はダメージは受けていないようです。

口蓋には動脈が走っているので、口腔外科専門医に頼んで開窓して貰いました。リンガルアーチにスプリングを付けて、まずは引っ張り出します。

無事牽引出来ましたので、今度は歯列内に誘導します。

上顎にマルチブラケット装置を付け、犬歯を歯列内に移動します。

下顎にもマルチブラケット装置を付けて治療を進めます。

牽引開始から 2年 6ヶ月、マルチブラケット開始から 1年 7ヶで治療を終了しました。治療前に前歯の噛み合わせが深かったので、浅く仕上げてあります。
午後の特別講演の小川先生とは、USC courseも同期で、元々は仲が良かった(?)のですが、あの LTSOAの SNSの一件で非常に気分が悪く、この書き込んだ奴とイイネした人とは今後のお付き合いは遠慮させて頂くつもりで、講演も聞かずに帰るつもりでした。

見てのとおり、公開範囲は限定されておらず、世界中の誰でもが見れる設定で、いまだに掲載されていますので、ボカシを入れずに掲載をしました。
小川先生が 2023年に東京矯正歯科学会で講演された内容(東京矯正歯科学会雑誌 33(2), 172-185)、すなわち「Ⅱ級 1類、その骨格パターンや治療方針の違いによる術後長期経過の相違について」を読んでみると、納得出来ない部分が多々あり、なおかつ、今回の講演に関しても抄録にも納得出来ない部分がいくつかありましたが、”まあイイか、気分宜しくないので帰ろう”と心に決めて学会に参加、朝イチ会場にいたら、小川先生のほうからお声がけ頂いたこともあり、折角なので、上記について質問してやろうと思い、聴講しました。
まず、1つめの質問。
「先生の言う“6 keys”、すなわち、①習癖に対する患者啓発、②口唇閉鎖不全のない良好なプロファイルの獲得、③適切なアンテリアガイダンスの確立、④長期安定のための矯正学的ルールの遵守、⑤大臼歯の遠心・圧下移動に過度に依存しない治療方針、⑥保定装置の設計と保定管理への配慮、とのことですが、これらはⅡ級 1類の治療に限った事では無く、全ての治療について言えることですので、何故にⅡ級 1類に特定しているのですか?」と質問しましたが、これに関しては明快な回答は無し。
そこで、東京矯正の話を出して、
「Class Ⅱ div.1は 4つのグループに分けられています。すなわち、Group 1が Skeletal、Group 2が Alveolar、Group 3が Horizontal、Group 4が Verticalで、これは先生も受講された USCの syllabusに書いてありますが、東京矯正の講演を含めて、これら各グループとの関連と考察についてお教え下さい」
とお聞きしたところ、そのような Groupは知らない、とのこと、、。
え〜っ、USC受けたんじゃないの? と思いましたが、小川先生から「廣先生はどう思いますか?」と逆に振られましたので、私は恩師の出口先生のお言葉を拝借して返答しましたが、コレって、質問に答えないで、逆に振るってのは反則技で、やってはいけない事な筈です。
それからもう一つ。
「先生は、LTSOAの”長期安定と長期保定は違う”という SNSへの書き込みに賛同しておられます。つまり、長期安定と長期保定は違うというお考えの筈ですが、本日は “長期安定”というタイトルですが、提示された症例は、27年間、30年間、Fixed retainerが入っていますが、どうゆうことですか?」とお聞きしたら、先生からの答は「どーでもいいんですよ」とのこと、、、。
いや、どーでも良くはないでしょう。

小川先生曰く、「でもね、保定していなくても、長期間変わらない症例もあるんですよ、あの材料屋さんの、、」と言われましたが、これもおかしな話で、咬合は常に変化する、歯並びは年々悪くなる、しかも矯正治療後の歯並びはずっと同じでは無い事はわかっているわけですから、矯正治療後の咬合が長期間変わらないっていうことはあり得ないわけで、パット見、綺麗な咬合状態を維持していても、咬合が変わっていないわけがないので、先生が今回の講演の中で話された臼歯部の咬合安定の精度追求の考えと矛盾しているのではないでしょうか。

咬合接触についてのお話しで、臼歯は図右のように咬合していなければならない、それは矯正で歯を動かして調整する、或いは咬合調整を行う、とのことですが、こんなこと無意味であり、無理であると思います。
なぜなら仮に矯正でこのような精密な咬合を作ったとして、それがいつまで変化せずに維持して行けるか考えればわかる問題です。
私がいつも言っていることですが、矯正治療後は総義歯の人工歯排列のような歯並びではなく、治療前の状態を考慮して Over treatmentを組み込んだ Finishingが絶対に必要ですから、治療終了時には Anterior guidanceを含め、いろんな点で理想咬合になっていないことがありますし、その方が良いと考えます。
このへんが一般歯科で矯正を少し囓った先生には分からない/出来ない ことです。
本当は小川先生には、「先生は長期保定と長期安定は違うと言う意見に同意しておいて、長期安定の演題で長期保定の症例を出してくる、一体何を考えてるんですか⁉」と、ガンガンに質問して、先生の口から あの SNS野郎の言っていることを否定する言葉を引き出してやろうと思っていたんですが、甲北信越矯正歯科学会は日本矯正歯科学会の地方学会であり、ESLOの会長になれない日本人が ESLOをぶっ潰す目的で作った 某学会などとは違って由緒ある学会ですので、節度を保たねばなりませんし、聞いている人が不愉快になるような言い方は慎まなければなりませんので、丸〜く質問させて頂き、あまり突っ込まずに終わりました。
私は最前列に座っていましたので、講演終了後、小川先生に握手を求められて、握手して終わり、という形になりましたが、学会終了後、後輩から「廣先生、なんで握手なんですか!?」と言われましたが、公の場で握手を求められているのに拒否するのはマズいでしょう、、。。
このブログを読まれた方には、自分は SNSでボロクソ書かれて怒ってるのに、院長日誌でこうゆうこと書いて良いのか、と思われるかも知れませんが、違いは相手に了承を得ているかどうかだと考えます。
上記の SNS野郎とは、海外の学会でも一緒に食事したり、ドライブした仲でしたが、一言の断りも無しにボロクソ書いて、その後も謝罪も無し、掲載削除も無しですが、私は一応、小川先生には会場でお伝えして、事前に同意を得てあります。
以下、小川先生の抄録を記しておきますので、御参考までに。
矯正歯科治療の目的は、審美的にも機能的にも良好で長期に安定し得る治療結果を獲得し、患者の健康に永く寄与することである。デジタル技術の進化に伴い矯正装置はより扱いやすくなったとはいえ、重要なのは歯を安定すべき位置へ移動させることである。一方、治療後の歯列・咬合状態が審美的に良好であっても機能的に適応していない場合には、歯・筋・顎関節・歯周組織のみならず身体のさまざまな部位に悪影響が及ぶことが知られている。したがって、加齢変化を伴いながら長期間安定を維持するためには、適切な診断と治療方針のもとに歯を移動させるとともに、咬合干渉や悪習癖など矯正装置以外の要因にも十分配慮することが重要である。
演者は長期安定症例の観察から、口唇閉鎖不全のない良好な側貌とアンテリアガイダンスを備えた咬合が長期安定のために必要であると考えてきた。本講演では、これら2 要件をII 級1 類症例の治療目標に組み込み、治療後の長期安定を獲得するための“6 つのKey”について述べる。すなわち、①習癖に対する患者啓発、②口唇閉鎖不全のない良好なプロファイルの獲得、③適切なアンテリアガイダンスの確立、④長期安定のための矯正学的ルールの遵守、⑤大臼歯の遠心・圧下移動に過度に依存しない治療方針、⑥保定装置の設計と保定管理への配慮である。
さらに、安定症例の保定管理は重要であるが、アンテリアガイダンスの喪失や臼歯部咬合の崩壊が危惧される後戻り症例に対し、習癖への患者啓発や保定装置を兼ねた適切な形態のスプリントを用いた術後管理を行うことも極めて重要である。このような不安定症例にも術後対応を続けることが、患者に長期的な安心を提供する術後管理につながり、ひいては矯正歯科治療が国民に信頼される医療として認められることに繋がると考えている。
本講演が、II 級1 類症例に対する治療戦略の立案と術後管理の実践における一助となれば幸いである。
2026年 6月 4日、第34回 日本成人矯正歯科学会学術大会が神戸国際会議場で開催されました。
自分は思うところあってこの学会は退会したのですが、本大会ではアメリカから出口徹先生が「米国矯正歯科大学におけるデジタルシステムの応用について」という演台で講演されるので、アメリカでの現状を聞くために、Toru先生の講演を聞くことを目的に非会員として参加しました。

会場入り口では小谷田先生とバッタリ!
小谷田先生は親分肌で、人望に熱く、弱きを助けてくれるお方です。
久しぶりにお会い出来て嬉しかったです。
お元気そうでなによりでした。

小谷田先生の執筆された舌側矯正の本は必読です。
まだ読んでいない方は、是非、購入してください。貴重な財産となります。

会場にて。聞くだけで発表がないと気が楽です。
Toru先生の講演について記します。
現在、米国のほとんどの歯科大学において、Intra Oral Scannerや 3D Printerを用いた矯正歯科臨床が行われており、さらには A.I.を用いた自動診断システム、IOSを用いた Indirect Bonding System、Facial Scannerや CBCTを用いた 3D 診断、Digital Softwareを用いた Anchorや Maxillary Skeletal Expansion、Direct Printでの In House Alignerなどが行われています。

Dr. Toru Deguchiです。金髪・長髪はトライアスロンのせいでしょうか?
研究面においても、A.I. 関連のテーマが大きな割合を占めており、Louisvilleでも以前より、A.I. を用いた自動頸椎成熟度(Cervical Vertebral Maturation Stage)認識システム、歯槽骨欠損部位自動認識システム、自動埋伏犬歯位置同定システムなどの研究を行っている、さらに、In House Alignerの臨床効果、混合歯列期における Aligner矯正治療の効果、ならびに Direct Print Alignerの機械的・化学的特性に関する研究も進めておられ、Anchor植立の Simulation、外科的矯正治療の Simulation教育は VRを用いて行っているとのことでした。
アメリカでは被曝の問題で CBCTを撮る機会が少ないそうで、Louisvilleでは埋伏か外科矯正以外は撮らせて貰えないそうですが、大学によっては全症例撮るところもあり、Southwestや Minesotaでは全症例撮っているとのことでした。
当然患者さんには研究目的であるということを説明し、同意を得た上で撮影されているのですが、この「患者さんの同意書を貰う」というのがなかなか厄介な仕事で、例えば、ひろ矯正歯科では、治療開始時に資料の公開に関して同意を頂き、サインを頂いているにもかかわらず、専門医試験などで同意書にサインをお願いすると、断る患者さんがいます。
事前に了承し、同意を得ているのに、です。
断られると、正直、アレな気分になります。
研究に関しても同様で、IRB(Institutional Review Board)を得なければ、患者さんが絡んでいる研究論文は書けません。
私も書きたい論文が 5つほどあるのですが、この IRBと患者さんの同意書を取るのが面倒なので、お蔵入りしてしまっています。
この書きかけの論文について、Toru先生と共同執筆で仕事をしたいと思い、お話しをしたかったのですが、講演後、あの非常識な Dr. SNSがず〜っと張り付いていたので、諦めて別の機会に相談することにしました。
話を戻します。
アメリカの大学では、Oral Scannerの使用は 70%で、20%の大学は Digital Set Upは全く使っていないそうで、使っている大学でも全症例の約40%ほど、3D Printerは 30%の大学が持っていないそうで、残る70%の大学の中の 10%のは全症例 print outしているとのことでした。思ったより低い数字で驚きました。
私も 20年ほど前に IOSを導入して Lingualの set upも virtualにしようと考えていたのですが、ひろ矯正歯科では、今も Alginate印象を行っています。その理由は、IOSを導入することで医院から Alginateや石膏がゼロになるのならやりますが、Activatorや L.A.など、どうしても石膏模型でないと出来ない Lab. workがあります。
L.A.は Bandせずに ST Lockを DBSして、口腔内で directに曲げる方法で数十症例行いましたが、早期治療の若年者では壊してしまう患者さんが多く、今は従来通り Banding、印象を採って作っています。
Chair timeに関しても IOSで scanして PCで data処理するよりも Alginateで採った方が全然速いので、Digital化のために無駄な設備投資をして、診療時間を延長し、無駄な事をやっている、そのコストは患者さんに跳ね返ってくるということになりますので、見送りました。
Alignerに関しては、全くやっていないという大学もアメリカにあり、やっている大学でも 60%が 8症例以下、In house Alignerについては 40%が経験無しで、授業でも Alignerを教えていない、その理由はちゃんと教えられる出来る先生がいないから、とのことでしたが、アメリカやヨーロッパでは、大学には Clinical Professorがいて、この人達はみな開業して成功している人が facultyになって学生達に教えに来ているわけです。
アメリカの開業医の96%は Alignerを使っている、しかも 30%は in houseとのことですから、ちゃんと教えられる出来る先生がいないんじゃなくて、競合相手を作りたくないので教えない、っていうことだと思います。
ちなみに、アメリカでは、
とのことでしたが、1、2は適応症をわきまえている、と言って良いと思います。
5はオカシイと思います。
例えば、ひろ矯正歯科では、Deep bite症例には殆どの症例において Utility Archを使いますが、これは上顎前歯の圧下を最も確実に行うことが出来る方法ですし、Alignerでは臼歯だけが接触して前歯は離開、その結果、臼歯部の開咬が起こるというのは周知の事実だからです。
Cephalogramの自動解析は、日本でも随分前から市販されていますが、Porion、Pogonion、L1などが間違って計測されていることが多いとのこと。
レントゲンが Digitalになって画像が鮮明になり、Scannerの感度が良くなり、AIが使われているにもかかわらず、20年ほど前と何も変わっていないのには驚きました。
私は、分析に関しては、レントゲンを自分の目でトレースをして、PCへも手入力しており、自動計測は使っていません。
自動計測だと、マシンが読み込んだ計測点を 1つづつ全て目視でチェックして、間違っている計測点は修正して、計算をやり直さなければなりませんので、そんなことをしているよりも、手入力の方が断然速く、間違いもなく確実にプロット出来るからです。
少し Digitalをカジッている先生は、そうでない先生のことを「遅れている」だの「アナログ」だの馬鹿にしますが、例えば、この Cephalo分析なども良い例です。
Digital化、自動化してメリットがあればわかりますが、そうで無いならやっている事は無駄以外の何物でもありません。
インドの優秀なドクターが Lingualの Virtual set upを1症例作るのに 1日かかるらしいですが、Manualでやれば 2時間程度で終わりますので、Digital化して、費用もかかる、時間もかかる、しかも出来上がったものはお粗末ならば、何をやっているんですか、ということです。
これを読んで、またヒロが何か言ってるぞと言う先生、Hybrid Lingualなどというインチキリンガルをやっていないで、私以上の結果を出して見せて下さい。
究極のLingualの Lab. workに関しては、理想的には2018年のDGLOで発表したとおり、Oral Scannerの dataを CBCTと combineして、PC上で Virtual set upを行い、そこから millingや castで Custom bracketを作るのではなく、Hiro bracketsやMienai bracketsのような Readymade Bracket に Compositeの Custom baseと Individual Trayを millingで作るという方法です。
なぜなら CAD/CAMを用いた Custom Bracketsは slotが粗造で space closeに時間がかかるということがわかっていますし、私の提案する方法だと Tie wingの形状に関する問題もクリア出来るからです。
Toru先生曰く、IBSに関しては、Manual、Digital、AIを比較して、ManualよりもDigital、AIが良好な結果を出しているとのことでしたが、これは Methodologyに問題ありです。
つまり、一般的に行われている Soft trayを使った IBSと Hiro system(弾性の無い個歯トレーでのIBS)の比較をして頂ければ、Hiro systemがダントツに精度が高いことは明らかです。
なぜなら、多数歯を一度に bondingする Soft trayを使った方法では、隣在歯との位置が変われば Tray は不適合になるので、例えば、Impression/Scanをしてからsetまでの間に抜歯したり bandingなどをすると不適合になるのですが、Hiro systemでは、隣在歯との位置関係には影響されませんので、精度が落ちることは無いからです。
また、Soft trayを使った IBSでは、tray保持の状態が悪いと trayが変形し、bracket positionが狂ってしまいますが、Hiro systemではこういった errorとも無縁です。
Hiro systemと soft trayでのIBSの精度を比較した研究が20年ほど前にUniv. Parisで行われており、Hiro systemのほうが抜群に高精度であるということを Prof. Alain Deckerから聞きましたが、彼が死んでしまって、そのpaperはお蔵入りになったようです。
これを読んだら、またもや あのイタリア人と日本人のペアが Hiro systemは精度も劣り時間もかかる、というペーパーをJCOあたりに出してくるだろうなと思います。
ちなみにこの 2人は、私が世界で初めて EBOに全症例 Lingualで合格したことや、世界で初めて ESLOの Titularに選ばれたことを妬んで、私をトップの座から引きずり下ろすことを目的として、講演でもいろんな妨害を行い、IBSは Hiro systemを改悪して Ko●●on baseなどという方法を世界に広めようとしましたが、結局精度が出ずに治療結果にまで影響したため、 Ko●●on baseを延長して切縁/咬合面の一部を覆って、bracket接着後にそこを切断するという方法を使っているようですが、これは私が日矯歯誌で論文にした原法とまったく同じで、何をやっているのかと笑ってしまいます。
ちなみに、AIで調べると、Hiro systemはブラケットが外れた時の rebondingが出来ない、と解説していますが、これは間違った情報で、Hiro systemは Jigを有していますので、rebondingに対応しており、bracketが外れたり紛失したりしても何ら問題は無く、容易に再製作・再装着が可能です。
最近、材料各社がIBSのオーダーを受けているようで、OrmcoではOral ScannerのdataとCBCTのdataをcombineさせてIBSを作る試みが行われており、CBCTを使った方が torque, angulationの controlが良好であるという結論でしたが、当たり前のことで、インドでは私の知る限り15年ほど前から行われていますので、今更感があります。
長くなりましたが、今後、Digital、AIが発展すると、どうなるか、考えてみました。
Digitalや AIが発展すると、その結果として、
等々の実害が出ます。
パソコンや携帯ばかり使っていると、漢字が書けなくなるのと同じです。
私は、必要な部分は digital化しますが、この先も、私にしか出来ない治療をしてゆきたいと思います。

学会前日に神戸入りしましたので、有馬温泉を散策、に金の湯と銀の湯に入りたかったですが、また今度。

温泉街では賞味期限 5秒の炭酸煎餅と金箔アイスを頂きました。

神戸市内のホテルにチェックインして、美味しいビールを飲みにモザイクに向かいました。